「恐怖は美しいものでなくちゃね」 映画『クリムゾン・ピーク』デル・トロ監督のアート・ディレクションとは?

「恐怖は美しいものでなくちゃね」 映画『クリムゾン・ピーク』デル・トロ監督のアート・ディレクションとは?
提供:シネマクエスト

2016年1月8日(金)に公開を控えたギレルモ・デル・トロ監督史上、最も美しい極上のゴシック・ミステリー『クリムゾン・ピーク』。

細部まで作り込まれた屋敷を舞台に、“怖さ”と“美しさ”が創り出す、監督ならではの世界観が広がっている。監督自身、今年開催されたコミコンで、「これまでの中でも大好きな三本の映画のうちの一本。そして個人的に最も美しい映画だと思っている」と話すほど、ギレルモ・デル・トロ監督史上、最も美しい極上のゴシック・ミステリー作品である。

本作は“怖ろしくも美しい”秘密が隠された壮大な屋敷を舞台に、デル・トロ監督ならではのアート・ディレクションが取られているようで、神秘的な世界を創り出す秘訣が明かされた。

デル・トロ監督は、「この映画は、完全に違った2つの章を作りだすことから始まったんだ。第1章はアメリカが舞台であり、アメリカはタバコ、黄金、豊かなセピア色、“進歩と生命力”の色だ。やがて、クリムゾン・ピークに到着すると、すべてが冷たく暗い色に変わる。本当に不気味な感じになるんだ」 と話しており、その変化は見事に美しい映像へ映し出されている。そうして彼の選択する色調が、想像上の神秘的な世界を創り出しているのだ。

「彼には二つの面があって、オタク少年で、ロボットやモンスターが大好きという面と、もう一つはルネッサンス人なの。あらゆる分野についての知識の宝庫よ。目標のバーをすごく高くかかげるけど、とても協力的だし情熱的なのよ」と語っているのは、衣装担当のケイト・ホーリー。
監督はメインキャストたちの衣装のカラーコードを敷いて、特定の色を排除していた。いくつかの大事なシーンを除いて、誰も映画の中で赤い色を使うことは許されず、ケイトはその中で作業するのは困難だったと振り返っている。
しかし、ある場面で真っ赤な深紅色の衣装が使われる瞬間があったそう。ケイトは「とても劇的で、とても強烈なイメージだったわ」と、その時の強烈な感動を今も覚えていると語っている。そして、監督からは「バッファローでは一滴の血が必要だね」と言われたそうで、舞踏会シーンでルシールが着る真っ赤な深紅色のドレスを作り上げた。「それは“危険”という最初の目じるしね」

また、監督が「ルシールの衣装の大部分がその建物に溶け込むような感じなんだ。それこそが、この作品でどのように色に対してアプローチしたかの証拠だ」と語るように、ルシールの深紅色のドレスはこの映画のビジュアルでとても印象的に仕上がっている。
そして、本作では、今までのデル・トロ監督の描くゴーストと異なり、空気のような儚いものではなく、自分の前世の不気味な分身のようにリアルに描かれている、深紅色のゴーストたちも登場する。

「恐怖は美しいものでなくちゃね」と、いつも衣装担当のケイトとデル・トロ監督の議論は、最後は同じ結論に達して終わるという。監督の独特なアート・ディレクションによって創られる、その怖ろしくも美しい世界観が広がっている本作に、ぜひご注目を!

最終更新日
2015-12-18 15:09:26
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シネマクエスト(引用元

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