映画感想・レビュー 94/2551ページ

戦争のはらわた:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-06-14

隊長ジェームズ・メイソンや副官デイヴィッド・ワーナーが点描されるうちに、コバーンは負傷して病院へ送られ、看護婦センタ・バーガーと仲良くなったりするが、再び前線に復帰して、ソ連軍の猛攻に遭い、生き残った部下と孤立し、敵中を突破して友軍と合流しようとする。

このコバーン扮する主人公は、いかにも映画の主人公らしく、人情的で英雄的だ。
シェルの命令を受けて、コバーンや彼の部下たちを殺そうとした中尉を殺す場面は、さすがに暴力映画の巨匠ペキンパー監督らしく迫力がある。

全体を通じて最もペキンパー監督らしい野心が窺えるのは、すごく細かいカットを複雑に丹念に編集して、大激戦の迫力を構成しようとしたところだ。

凄絶な戦闘に男たちの求めるものは何か。
ペキンパー監督は、戦場での男たちの生き様を、スローモーションを効かせたダイナミックな演出で鮮やかに描写していて、ジェリー・ゴールドスミス作曲のエモーショナルなテーマ音楽も胸をえぐる。

戦争のはらわた:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-06-14

ドイツ軍の側だけを扱った戦争映画には、ルイス・マイルストン監督の「西部戦線異状なし」という傑作があるが、この「戦争のはらわた」は、男の理想とする”闘い”と”夢”をひたすら追求してきたサム・ペキンパー監督が、1943年のロシア戦線において、死と対峙する兵士たちの中にそのテーマを求めた力作だ。

敗色濃厚なドイツ軍のある舞台で、第2小隊を率いる人間味あふれるスタイナー伍長のジェームズ・コバーンが、自分たちの命を守ることを信条に闘い続けているところへ、プロシア貴族の誇りに凝り固まり、名誉欲に取り憑かれた将校マクシミリアン・シェルが赴任して来て、男同士の激しい確執のドラマが展開していく。

彼の願いは、名誉ある鉄十字勲章(CROSS OF IRON)を手に入れることだけで、捕虜のソ連の少年兵を殺せというシェルの命令に、コバーンが反対したのが始まりで、二人の対立は激化していく。
そして、シェルは鉄十字勲章の申請書に、コバーンの署名を求めようとごきげんとり作戦を試みるが拒絶される。

ソーシャル・ネットワーク:P.N.「水口栄一」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-06-13

ソーシャル・ネットワークをまた観て、とても感動した。これは何よりも共感できるところがいっぱいあるからだ。私もSNSと関わっている。TikTokとインスタもさせて頂いているが、最近はフォローして頂ける方も増えてきて、両方で1万人に向かって増え続けている。とてもありがたいことだと思っている。けれども先日のニュースにもあったようにSNSはトラブルも多い。北海道の旭川市で17才の女子高生が橋から落とされ、殺害された事件だ。SNSでのトラブルがきっかけだったという。私は以前からSNSは少し距離を置いて、冷静に判断するほうがいいと思っているが、今もその気持ちは変わらない。この映画はその意味で様々なことを考えさせてくれる。ほんとに素晴らしいの一言に尽きると思う。

明日を綴る写真館:P.N.「ぼん」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-06-13

※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]

映画らしい映画でした。
ストーリーが読めてしまうところもありましたが、それはそれで期待を裏切ること無く、よかったです。
出演されている俳優陣が、平泉成さんのために一肌って感じがしました。
見て、後悔はさせません。
エンドロールの中のフォト写真のスライドショーも、ホッとする暖かさがありました。

地中海殺人事件:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-06-13

監督は、初期の「007」シリーズを数多く演出したガイ・ハミルトン。
殺人事件という事で、とかく陰湿になりがちなのを、明るく華麗なムードで見せ切った職人監督としての腕前はなかなかのものです。

なかでも、私が面白かったのは、真犯人が正体を現わした、その途端、ガラリとキャラクター・イメージを変えて見せるその転換の鮮やかさです。

ポワロの謎解き場面に、少々工夫が足りないなという不満を感じながらも、ここに人間の裏側のもう一つの奇怪さまで感じられて、楽しめた映画でしたね。

地中海殺人事件:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-06-13

被害者のミュージカル・スターを演じるのが「女王陛下の007」のダイアナ・リグ。まさに適役です。
そして、彼女を取り巻いてマギー・スミス、ジェームズ・メイスン、ロディ・マクドウォール、ジェーン・バーキンといった演技派や個性派俳優がずらりと脇を固めています。

この映画は、ベテラン・スターを配する事で、様々な人物が背負っている人生の影が、スター個人のキャリアと重なって、大きな効果を上げていると思います。

ピーター・ユスティノフのポワロ探偵に味があって良いのも、その人生の裏側に深くあたたかい眼差しを向ける人間味が、滲んでいるからだと思うのです。

そして、ホテルの女主人を演じるマギー・スミスが、往年のショウ・ガール時代のライバルだったダイアナ・リグと「ユーアー・ザ・トップ」を張り合って歌う場面なども、実に楽しめるのです。

地中海殺人事件:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★
投稿日
2024-06-13

この映画「地中海殺人事件」は、アガサ・クリスティ原作の「白昼の悪魔」の映画化ですが、「オリエント急行殺人事件」ほどの超豪華キャストとシドニー・ルメット監督による演出のうまさもなく、「ナイル殺人事件」のような風俗的な華やかさと壮大な景観の魅力も、あまり感じられない作品だったと思います。

燦さんたる陽光降りそそぐ、地中海に浮かぶ美しい孤島のリゾート・ホテルで、謎の殺人事件が起こる。
殺されたのは美貌の持ち主だが、傲慢なミュージカル・スター。そして、この孤島を訪れていた、お馴染みの名探偵エルキュール・ポワロの推理が始まるのです。

ここに滞在している様々な人物は、それぞれみんな意味ありげな過去を持ち、殺しの動機もあるのです。
その一方で、それぞれにアリバイもあるのです。

この孤島は外部と広い海でさえぎられ、まさに一つの密室なのです。
これはもう典型的なクリスティの謎解きの展開なのです。

魚が出てきた日:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-06-13

一応、舞台が近未来なので、衣装も未来仕様だが、今見るとシルク・ドゥ・ソレイユっぽいサーカス風で、派手過ぎて滑稽なくらいだ。

こういう描写が長いので正直、観ていて疲れるのだが、羊飼いがひょんなことから金属の箱を開ける方法を見つけたあたりから、そういう疲れが吹き飛ぶような展開が待っている。
とりわけ、原発事故が継続中の今の日本では、この展開はあまりにも怖すぎる。

魚が出てきた日:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-06-13

二人のパイロットは、当局と連絡を取ろうと右往左往。
違うルートで墜落の情報を得た当局の連中は、ホテル業者を装って島に乗り込み、開発という触れ込みで島の一部を買い取り、爆弾と金属の箱探し。

どうにか2基の爆弾は回収出来たが、最もヤバイ金属の箱がどうしても見つからないのだ。
その箱は、貧乏な羊飼いの夫婦がこの箱を発見し、お宝に違いないと思い、こっそりと家に持ち帰り、開けようとしていたのだ。

真っ赤に日焼けし、パンツ一枚の姿でお腹を空かして、うろうろする二人のパイロット。
ド派手なリゾートファッションに身を包み、その状況をエンジョイするホテル業者に化けた兵士たち。

そんな彼らの出現に、島の未来を確信して浮かれまくる村人たち。
新しいリゾート地登場という情報を得て、徒党を組んで詰めかける観光客。
そんな様子が、過剰過ぎるほどデフォルメされたマイケル・カコヤニス監督の演出で描かれる。

魚が出てきた日:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-06-13

この映画「魚が出てきた日」は、「その男ゾルバ」「エレクトラ」等で知られるギリシャ出身のマイケル・カコヤニス監督の問題作だ。

この映画の冒頭、スペインのフラメンコダンサーが登場して「原爆が落ちるのはスペインだけとは限らない」みたいな歌を唄う。

そして、舞台はギリシャの貧しい島に移り、その上空で爆撃機がトラブルを起こし、トム・コートネイとコリン・ブレイクリーのパイロットは、積荷の核爆弾2基、高濃度の放射性物質を閉じ込めた金属製の箱をパラシュートで落下させ、自分たちもその後を追って飛び降りる。

この件は、1966年1月17日、スペインのパロマレスという村の上空で、4基の核爆弾を搭載した米軍のB-52が事故を起こしたが、爆弾はパラシュートで落とした為、事無きを得たという事件が、実際に発生していたのだ。

この1年後に、その事件をいち早く頂戴して、近未来を舞台にSFブラックコメディに仕立てたのがこの「魚が出てきた日」なのだ。

フォロー・ミー:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-06-13

かつて彼女が出演した「ジョンとメリー」で彼女の相手役をしたダスティン・ホフマンもこういう表情がぴったりだったが、この映画でのトポルは、その点、申し分のない人の好さそうなところを、実に自然に見せてくれる。

トポルが、無言のまま、ゼスチャーでミア・ファローをロンドン中を案内する、お伽噺のような味わいのあるシークエンスが、その意味で、観ていて、実にいい気持ちになるんですね。

フォロー・ミー:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-06-13

このように、ストーリーそのものは、古風なお茶の間喜劇程度の材料で、特別新鮮味があるとも思えない。
1930年代、1940年代の風俗喜劇じゃないかとさえ思えてきます。

ただ、それが、花嫁にミア・ファローを配すると、ぐっと新鮮になって現代の空気感に満たされてくるし、探偵に「屋根の上のバイオリン弾き」で主役のテビエを演じたトポルを配すると、これがうまいのなんの、古いとか新しいとかいうことを抜きにして、心が和み、実に爽やかな気分にさせられてしまうんですね。

ミア・ファローは、何かあどけない子供のまま大人になったような女優で、バッチリとその大きな瞳を、いつも何かおねだりするような眼差しにしている。
相手役はそこで、きっとイイ子だね、何をあげようか? という顔をすることになるんですね。

フォロー・ミー:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-06-13

この映画「フォロー・ミー」は、「第三の男」や「オリバー!」などの名匠キャロル・リード監督が、ピーター・シェーファーのひと幕ものの舞台劇を映画化した作品で、テーマ曲も大ヒットし、ロンドンの穴場的なスポットを回るロケーションも楽しい、ロマンティックな恋愛劇の佳作です。

映画自体は小粒ですが、さすがにキャロル・リード監督の素晴らしさを堪能できる作品だと思う。

権威主義に凝り固まっているイギリスの上流階級の青年が、野育ちであまり教養もないアメリカ娘をお嫁さんに貰ったのはいいが、花嫁はこの固苦しいばかりで退屈な上流社会の生活が気づまりで、毎日外出してぼんやりとロンドンの街中を歩き回る。

夫はてっきり、妻が浮気をしているのだと思って探偵をつける。
するとこの探偵が尾行しながら、すっかり彼女を愛してしまう。

2010年:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-06-13

ロイ・シャイダー扮するアメリカの科学者たちが、ソ連の宇宙船に同乗し、謎の解明のために木星へと向かう。

前作のあまりにも壮大なスペクタクルと興奮に対決するには、ピーター・ハイアムズ監督としては、この手でいくしか方法がなかったのだろうと思う。

しかし、米ソの関係悪化が、宇宙船の乗組員にまで影響を及ぼし、石板の異変が起きるあたりは、作者のテーマと思想が露出して、我々の前作に対するイメージまで、否定してしまう不満もある。

しかし、「スターウォーズ/帝国の逆襲」や「レイダース」でアカデミー特殊効果賞を受賞したスタッフによる特撮は、実に見事だ。
宇宙船のドッキングや、木星を覆う石板のスペクタクルにも目を見張らされる。

まあ、前作との比較はさておいて、この作品はこの作品なりに、ドラマチックな宇宙サスペンスとして楽しめばいい娯楽作品なのだ。

2010年:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★
投稿日
2024-06-13

我々映画ファンを魅了したSF映画の傑作「2001年宇宙の旅」の続篇が、この映画「2010年」だ。
厳密に言えば、続篇というより解決篇だろう。

スタンリー・キューブリック監督による前作は、物語性を極度に排し、素晴らしい映像のシンフォニーで、独自の宇宙哲学を伝えたものだった。

何より、真理の判断を観る者自身のイマジネーションに委ねたところが、我々の興味を嫌が上にもかき立てたのだ。

それに対して、この娯楽職人監督のピーター・ハイアムズが撮ったこの作品は、よりわかりやすく、全ての謎を具体的に解いてみせる。

胎児となって宇宙へ消えた乗組員は?
叛乱を起こしたコンピュータは?
地球や月にあった石板の謎は? ----------。

レイズ・ザ・タイタニック:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-06-13

観ている者は、いつの間にか、これが現実の再現のように思えてしまうのだ。
だからこそ、引き揚げの瞬間と、ニューヨークの帰りのシーンは、強烈な現実感で感動してしまうのだ。

そして、この映画はこの後、”もう一つの謎の解明”を見せるのだが、夢を追う人間の心理を見事に読み取って、”虚構のスペクタクル”に現実的な感動を与えたジェリー・ジェームソン監督は、なかなかの切れ者だと思う。

レイズ・ザ・タイタニック:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-06-13

この「レイズ・ザ・タイタニック」と言う作品は、その”夢”に挑戦した映画なのだ。
当時、現実にタイタニック号の引き揚げの計画が話題になり、製作の進行と重なったのは偶然のようだが、アメリカやイギリスの人たちにとっては、いかに大きな”夢”であったのかがよくわかる。

それだけに、この映画のポイントは、タイタニック号浮上の瞬間と、再びニューヨーク港に入るシーンだ。
リシャの客船アテナイ号を改造して使用したのだそうだが、特撮とロケを合わせたその成果は、やはり息をのむスペクタクルだ。

それは、特撮のうまさという以上に、実は映画の作り方自体に巧みなトリックが絡んでいるからだと思う。

映画は北極海のソ連領からワシントンの政治の極点を結ぶドラマ・ラインを、あたかもニュース・ドキュメンタリーのように冷たく抑えて撮っていくのだ。

レイズ・ザ・タイタニック:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★
投稿日
2024-06-13

この映画「レイズ・ザ・タイタニック」は、異色のスペクタクル映画の傑作だ。

人間というものは、常に”夢と冒険”を追い求める存在だと思う。
かつてのタイタニック号引き揚げのニュースなどは、そんな夢を追う人間の挑戦の一つでもあるのだ。

このタイタニック号と言えば、1912年4月14日、処女航海で氷山とぶつかり、北大西洋の底に沈んでしまった超豪華客船で、その存在自体がまことにドラマチックである上に、この船には様々な人々が乗り合わせていて、人の世の定めを思わせるところから、それまでにも数多くの小説や映画の素材になって来たのは、衆知の事実だ。

だが、沈んでいくタイタニック号を描いた映画は多くても、再び浮上する姿を描いた映画はなかったと思う。
人々の夢であるだけに、映像化が難しかったのだろうし、CGの発達していなかった当時としては、巨体が浮き上がる瞬間の撮影が出来なかったからだと思う。

エクスカリバー(1981):P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-06-13

誰しもが心の中に抱いている、正義と勇気と愛という理想の”夢”は、今のような時代だからこそ、余計に膨らむもの。

現代における、人間性の回復を描きつづけて来た、ジョン・ブアマン監督は、そんな現代の若者の姿をこそ、中世伝説の中で、描こうとしたに違いないのだ。

エクスカリバー(1981):P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-06-13

美しいドレスを着て、高価な宝石を身に纏っているのではない。
布なのか革なのかわからない、つづれを纏い、自然の中を生き生きと闘い抜いていくのだ。

まるでヒッピーみたいな衣装。荘重、荘厳なムードよりも、テンポの速い、現代の若者たちが飛び跳ねている感じなのだ。

あの「スター・ウォーズ」が、宇宙の世界に現代のヤンチャ坊主どもを放り出して、暴れさせたのと同じ感覚なのだ。

それでいて、画面は実に美しいのだ。決して極彩色ではない。
いつか夢に見たことがある、遠い遠い憧れの見知らぬ国に来ているような気持ち。

あの誰もが経験する、夢の中のような、単色のベールがかかって、それが一種、夢幻の美しさを創り上げている。
夢幻の武者模様の美しさは、黒澤明監督の「影武者」の影響も大きいと思う。

最終更新日:2025-03-19 11:00:02

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