俳優・脚本家・映画監督としても活躍する佐藤二朗さんが、初の漫画原作を手掛け、脚本・主演を務める映画『名無し』が5月22日(金)より全国公開。
この度、公開に先駆け、佐藤二朗さん、丸山隆平さん、佐々木蔵之介さん、城定秀夫監督が登壇する完成披露試写会が実施されました。
大きな拍手の中、登壇した主演の佐藤さんは、「なんかすごいね!手痛いんじゃないのってくらい熱量の拍手の勢いで…ありがとうございます」と感謝を述べつつ、「5年前にうじうじ一人で考えた話がキャストスタッフみんなで形にしてくれて、今日一般の皆さんに初めて観ていただけるとのことで、結構賛否が分かれる作品だと思ってるんだけど今のところ試写では絶賛してくれる人が多くて。いやぁでもそんなはずはない…そんなはずはないって嬉しいんですけど!だってたくさん死ぬしね、賛否があっていいんです。初めて一般の人で目にする人達ですから、SNSにどんどん書いてください。以上で舞台挨拶を終わります」と、開始早々まるで締めのような挨拶をして帰ろうとし、周囲から「早い早い早い」と止められる事態に。佐藤二朗ワールド全開のユーモラスな幕開けとなりました。
続いて丸山さんは、「今回オファーいただいて、脚本いただいたときに、ここまで刺激的な作品に出演させていただくことが初めてのことだったので、戸惑いもありつつ、佐藤二朗さんの想いがこもった作品に僕も一端を担わせていただくというプレッシャーや覚悟の中で演じさせていただきました」と真摯にコメント。「賛否はあると思うんですよ。あるもののほうが色んな人がそれぞれの考え方でこの作品に向き合えるということなので、問題作と言われようが何であろうが、世に届いてたくさんの人に見ていただくことに意味がある作品だと思います」と作品の意義を語りました。
それを受けて佐藤さんは、「本当に過激なテーマと世界観が特殊で、お蔵入り寸前で諦めたやつがようやく今日皆さんに観ていただけるので、賛否は覚悟しております。色んな解釈が可能なので…私ちょっとしゃべりすぎだね!」と再びワールドを展開しようとして自らキャンセル。
佐々木さんは「さっきそこで待ってた時に丸(丸山さん)いるのに客席静かやなぁってなってたんですが、入ったらワァーって言ってくれたからホッとしてます。今はワァーってしてるけど終わってからどんより帰るかも(笑)」と冗談を飛ばすと、佐藤さんも「そうね、その可能性はある。ある種の覚悟は必要だよね」と同調。佐々木さんがさらに「えらいものを観た、と。絶対そうなると思います。……まあ、ちょっとしたライトコメディなんですけど!」とボケると、佐藤さんが「嘘をつくな!!」とツッコむなど、まるで漫才のような掛け合いを披露。同年代同士のじゃれ合いに丸山さんから「リハーサルしたやつやめてくださいよ!(笑)」と暴露が飛び出し、会場は大爆笑に包まれました。
改めて、ネタバレ無しで作品を鑑賞した感想を問われると、佐藤さんは「試写で観て本当に素晴らしいと思ったので、監督に(触れると消えてしまうという設定上、)本編では決してできない右手での握手を求めたんですけど、海外含めたくさんの映画を観てる城定さんが珍しく、他にない世界が描けた・他にない作品だと言ったので、皆さんの感想がどうなるか楽しみで仕方ない。賛であっても否であっても積極的にどんどん書いてください。」と期待を寄せました。
丸山さんは、「僕は血がいっぱい出てきたり、人がボコボコになる映画が大好きなので、単純に大好物な映画なんですけど、それだけじゃなく色んな奥行きがある人間ドラマです。次の日思い出してアレなんだったんだろうと思いながら自分の人生観を重ねてみたり、後味・余韻のある映画が好きで、この映画はまさにそれ。自分がその世界観の中に出てるってのも憧れの中に入ってる感じがして個人的には嬉しかった」と熱弁。一方で、「血や暴力が苦手な方も、ヒューマンとして見ていただけたらまた違った見方ができると思うので、食わず嫌いをせずこういう機会を通じてそういう見方だけじゃないのもあるぜっていうのも届けていただけたらなと思います」と呼びかけました。
佐々木さんは、「役者やってると映画観たときに長回ししてるのかなとか考えちゃってそこまで没入しなかったりする。この映画に関しては脚本を読んで明らかにフィクションで、己自身も出ているので現実じゃないはずなんだけど、見終わった後に生暖かい現実味を帯びた感覚があったんですよ。なんでこんなんにちょっとリアリティを感じるんだろうって、それくらい刺さるものとか殴られる根源的なものがあったんだろうなと思ってます。僕も本当にあまり見たことない映画を観たなという感じでしたね。これこそエンタメなんだろうなと思います」と、作品が持つ独特のリアリティについて語りました。
監督は、佐藤さんの脚本について「僕が出しても絶対通らないような、こんな変で面白い映画でね、こんなことやっていいんだという喜びはありました。現場はすごく楽しくて、まあ安産でしたね!当初予定していた通り変で面白い映画ができたと思います」と手応えを語りました。
映画の「右手で触れたものを消す」という能力になぞらえ、各キャストの「消し去ってしまいたいこと・もの」を右手での挙手制で発表。
「私は五十肩でなかなか手が挙がらない」と身体的に拒否した佐藤さんでしたが、強制的に指名されると「じゃあ…自分の五十肩を消し去りたいですね。どう?」と丸山さんにパス。
丸山さんは「消し去りたいものは…自分の弱さですかね?」とかっこつけた回答をしますが、佐藤さん&佐々木さんから「あとでちょっと職員室に来い」「何それ弱さて(笑)」と詰められる展開に。丸山さんも「五十肩に比べたらマシでしょ!」と反論し、会場を沸かせました。
佐々木さんは、「毎晩飲んでるやん?朝、意外に残ってるときがあるから、朝の血中アルコール濃度を消したい」と切実な望みを告白。そこから肝臓の代謝と年齢の話になり、佐藤さんが57歳、佐々木さんが58歳と答えると、会場からは佐々木さんの若々しさに驚きの声が。これには佐藤さんが「全然俺の時と違う!」と前に出て抗議する場面もありました。
城定監督は、「観終わったときに皆さんも自分だったら何やるか考えると思うんですが、犯罪チックなこと以外にはあまり使い道ないというか、部屋のごみを消したり、意外と法に触れないことで有効利用を考えるのも面白いかなと思います」と、監督らしい視点で語りました。
イベント後半には、劇中で佐藤二朗さんが演じた“名無し”の能力を象徴する、原寸大でリアルな“右手”の造形が登場しました。あまりにも精巧な出来に、監督も「現場でもこういうの作ったんですけど、それより出来がいいな…」と皆さん興味津々。自身の右手と対面した佐藤さんは、「あの~…僕の右手ですねという感想以外は何も(笑)皺まで指紋まで…くどいようですが本当に僕の右手ですね。すごい出来がいい!」と驚きを隠せない様子。この右手は今後、会場のロビー展示や各地を巡回することが発表され、キャスト陣も驚きの声を上げました。
最後に、城定監督は「色んな見方ができます。僕は変な映画が大好物なので、会心の出来だと思っています。観終わった後どういう感情になっていいかわかんない方が多分いっぱいいると思う。是非見て感想を聞かせていただければと思ってます」と挨拶。
佐藤さんは、「見どころとかテーマとか沢山の方に聞かれるし、それをお答えするのが僕らの仕事の一部なんですけど、この作品に関してはあまり言葉にしたくなくて、とにかく劇場で見ていただきたい。人間の存在という根源を揺らしかねないとてつもなく変な映画かと思いますので、賛でも否でもいいですから感想を書きなぐっていただければ思います」と言葉による先入観のない状態での体験を促しました。
そしてマスコミ向けのフォトセッション中、佐藤さんは異例のマイクなしで「そうだ俺言い忘れたことがあってね。映画に深く共感して主題歌を作ってくれたNovel Coreさんの『名前』という素晴らしい楽曲を提供してくださって、今日エンドロールで流れますけど、彼の言葉で『みんな当たり前のように名づけるけど、名前を名づけることってそれ自体カルマを背負うことだと思う。』これも心に止めて映画をご覧ください」と熱いメッセージを残し、イベントを締めくくりました。
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『名無し』5月22日(金)全国ロードショー
©佐藤二朗 永田諒 / ヒーローズ ©2026 映画「名無し」製作委員会
配給:キノフィルムズ









