過酷な白色テロ時代を描き、金馬奨で4冠に輝いた「霧のごとく」。冒頭シーン映像と著名人コメント公開

過酷な白色テロ時代を描き、金馬奨で4冠に輝いた「霧のごとく」。冒頭シーン映像と著名人コメント公開
提供:キネマ旬報

「熱帯魚」「1秒先の彼女」のチェン・ユーシュン監督が、1950年代の台湾で白色テロに翻弄される者たちを描き、第62回金馬奨で最優秀作品賞を含む4冠に輝いた「霧のごとく」が5月8日(金)よりシネマート新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町、Strangerほか全国で公開される。兄妹がサトウキビ畑に身を潜めながら未来を語る冒頭シーンの映像、ならびに著名人のコメントが到着した。

〈コメント〉

人間を見つめる眼差しはいつものチェン・ユーシュンなのに、映画のラスト、不思議と今までとは違う涙が溢れました。
たぶんそれは台湾人としてあの時代に真摯に向き合った監督の覚悟に涙したんだと思います。
優しくて、可愛くて、ちょっと残酷なチェン・ユーシュン作品をこれからも観続けたいと思います。
──山下敦弘(映画監督)

無垢で不器用な主人公が次から次へとひどい出来事に見舞われるもんだから、見てる私は心配で心配で絶えずスクリーンに吸い寄せられてしまう。エンドクレジットの優しいメロディと歌声に胸が熱くなりました。ひどい時代の間違った政治をエンターテインメントに昇華していて、どんなかたちでも暴き描き続けて残してやるんだという表現者としての意地のようなものを感じました。
──大九明子(映画監督)

切実な時代を背景にしながら、センセーショナルに走らず一定のユーモアを失わないまま、見事なバランス感覚でそこにある暴力と希望を描き切っていた。
台湾の無法松(?)こと趙公道の人物像が最高で、ずっと見ていたくなるが、その期待に見事に応えてくれる脚本に嬉しくなった。
──深田晃司(映画監督)

台湾人の懐っこさと
優しいおせっかいの根源が
痛いほど詳らかに見てとれます。
運命に翻弄されながらも
人を信じることを貫いた
青年の純愛です。
大切なことが霧にかかって見えなくなったときに
ぜひ、おすすめしたい作品。
この景色があなたを人間として
いつまでも留めてくれるでしょう。
──一青窈(歌手)

政治に抹殺された真実の数々が、政治に推奨されて日の目を見るまでに、台湾では長い年月を要した。今では、多くの人々が、時代の犠牲となった力なき者の悲哀に涙する。この映画が、その証拠の一つだ。
歴史は警告する。覚えておけ。さもなくば、また巻き戻すぞ。
銃殺する側の末裔だろうが、銃殺された家族の子孫だろうが、関係ない。不幸な未来を招き寄せないために、不幸な過去を忘れまいとすることは、現在を生きる私たちみんなの義務だ。
──温又柔(小説家)

台湾の戒厳令は38年の長きにわたった。劇中で強調される「時の流れ」はいつの日か訪れる「夜明け」までのカウントダウンを示すものだ。その間、「白色テロ」により不当に未来を奪われた人々の犠牲のうえに台湾の人々は生きている。そこにあるのは悲哀だけではなく、次の世代の人々に託された「希望」である。時を超えて繋がれていく時計は、その「希望」を抱えながら刻んだ「時の流れ」を象徴するものだ。
──野嶋剛(ジャーナリスト、大東文化大学教授)

現代社会を生きる人間たちを描くことで評価を確立した映画作家が、ひとたび自国の歴史とその時代を歩んできた人間たちを題材にした時、それはその作家のフィルモグラフィを代表する名作中の名作となる。これは、台湾の優れた映画作家に特有の運命的な現象のようだ。侯孝賢の『悲情城市』しかり、エドワード・ヤンの『牯嶺街少年殺人事件』しかり。あるいはそこに、魏徳聖の『セデック・バレ』を加えてもいいだろう。そして今、この台湾映画史ならではの特徴に、陳玉勲の『霧のごとく』も加わった。
──暉峻創三(映画評論家、大阪アジアン映画祭プログラミング・ディレクター)

自由と尊厳が蝕まれた激動の時代でも助け合い、「より良い未来は必ず来る」と信じて生き抜くこと。その抵抗の積み重ねが社会を変えるうねりとなる。たとえ霧に覆われた暗い世でも、人が灯し続ける小さな光が未来へとつながっていくのだと、この映画は我々を優しく、そして力強く鼓舞してくれる。
──ISO(ライター)

Story
戒厳令下において中国国民党政権が反体制派を弾圧した、白色テロ時代の台湾。兄が捕らわれて処刑されたと知った阿月は、兄の形見である時計を手に、嘉義から一人で台北へやってきた。ところが少ない所持金では兄の遺体の引き取り料を払えず、途方に暮れる。そして怪しい男に騙されて遊郭に売り飛ばされそうになったところを、人力車の車夫・趙公道に救われた。
かつて国民党軍にいた公道は、広東から台湾に渡って以来、帰郷も叶わずその日暮らしをしている。白色テロでは仲間を失い、人生の行き場を見出せずにいた。阿月の思いに心を動かされた公道は手を差し伸べようと決め、二人の運命が大きく動き出す──。

「霧のごとく」監督・脚本:チェン・ユーシュン
出演:ケイトリン・ファン、ウィル・オー、9m88、ツェン・ジンホア、リウ・グァンティン、ビビアン・ソン
2025年/134分/台湾/カラー
原題:大濛
提供:JAIHO 配給:JAIHO/Stranger
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公式サイト:https://www.afoggytale.com

金馬奨で4冠。チェン・ユーシュン監督が白色テロに翻弄された二人を描く「霧のごとく」

最終更新日
2026-04-28 11:22:02
提供
キネマ旬報(引用元

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