恐怖の報酬 ディレクターズ・カット版(1952) 作品情報

きょうふのほうしゅうでぃれくたーずかっとばん

中央アメリカのラス・ピエドラスという町は世界各国の食いつめ者が集るところだ。コルシカ人マリオ(イヴ・モンタン)もその例外ではなかったが、彼には酒場の看板娘リンダ(ヴェラ・クルーゾー)という恋人がいた。そんな町へ、パリで食いつめた札つき男ジョー(シャルル・ヴァネル)が流れてきてマリオと親しくなった。ある日町から五〇〇キロ先の山の上の油井が火事になり、多くの犠牲者が出た。石油会社では緊急会議の結果、山上までニトログリセリンを運び上げ、それによって鎮火することにした。危険なニトログリセリン運搬の運転手は賞金つきで募集され、多く集った希望のない浮浪者の中からマリオ、ビンバ、ルイジ、スメルロフの四人が選ばれた。選に洩れたジョーは大いに不服だった。翌朝三時、マリオとルイジとビンバは約束通りやって来たがスメルロフは姿を見せず、ジョーが現れた。何故スメルロフが来ないのか、そんな詮索をする暇はない、ジョーが代りに加ってマリオとジョーの組が先発、三十分遅れてルイジとビンバの組が出発した。マリオの組は、ジョーが意外に意気地がなくて二人の協力がうまく行かず、後から来たビンバ組に追いこされてしまった。崖の中腹に突き出た吊棚の上を危うく通りぬけたのち、車は道路をふさいでいる大石のためストップしてしまった。しかし、沈着なビンバは少量のニトログリセリンを使用して大石を爆破し、無事に通りぬけることができた。そのあとは坦々とした行進がつづき、一同もほっとしたとき、突如ビンバの車が大爆発を起し、跡かたもなくけし飛んだ。爆発のあとは送油管が切れて石油がたまりかけていた。早くここを通りぬけないと油に車をとられて二進も三進も行かなくなる。マリオは思いきって車を油の中にのり入れた。そのとき、ジョーが油に足をとられて倒れたが、車を止めることができないばかりに、マリオは倒れたジョーの脚の上を通りぬけなければならなかった。そしてジョーを助け上げ、介抱しながらようやく目的地につくことができたが、そのとき、ジョーは既に息絶えていた。ニトログリセリンのおかげで火事は消しとめられ、マリオは賞金四千ドルをもらった。重責を果して空車を運転しながら帰途につくマリオの心は軽かった。しかし、リンダとの幸福な生活を眼前にしてはずむ彼の心を魔が捉えたのか、僅かのカーヴを切りそこねたトラックは、希望に開けたマリオをのせてもんどりうって崖下に転落した。

「恐怖の報酬 ディレクターズ・カット版(1952)」の解説

南米の油田で発生した大火災を消火するため、ニトログリセリンをトラックで運ぶ4人の男を描いた傑作サスペンスのディレクターズ・カット版。監督・脚本はアンリ=ジョルジュ・クルーゾー。出演はイヴ・モンタン、シャルル・ヴァネル、ペーター・ヴァン・アイク、フォルコ・ルリほか。2014年4月5日より、全国52か所の劇場で開催された「第二回 新・午前十時の映画祭」にてDCP上映。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 2014年5月31日
キャスト 監督アンリ=ジョルジュ・クルーゾー
原作ジョルジュ・アルノー
出演イヴ・モンタン シャルル・ヴァネル ペーター・ヴァン・アイク フォルコ・ルリ
制作国 フランス(1952)
上映時間 149分

ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、2件の投稿があります。

P.N.「おじさん」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-04-28

ラス・ピエドラスの町と言うのはGoogle mapで検索するとウルグアイの街になる。どの解説にもラス・ピエドラスの町と載ってるが架空に街なのかな?
それは兎も角、20年弱前コンビニでDVDとして売り出されたのを買い観たら、昔、観たのは後半部分のみで、作品的には今回復活した前半の街の描写に観入ってしまった。
そしてコレはベネズエラのカラカスの場末を舞台にした映画と解釈して観た。石油掘削現場はマラカイボ湖として。
そうすると、当時の仏の植民地ギアナの様子も想像出来る。当時の日本は貧しかったが、米以外の欧州諸国も大衆階層は日本と変わらず貧しかったろう事が、イブモンタンの街の場末の生活からも偲ばれる。

最終更新日:2024-05-02 16:00:01

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