インド夜想曲 作品情報

いんどやそうきょく

友人のグザヴィエの行方を捜しにインドへやって来たロシニョル(ジャン・ユーグ・アングラード)。手掛かりの女性、ヴィムラ・サール(ディプティ・ダーヴェ)はグザヴィエが病気にかかっていたこと、マドラスの神智学協会から手紙が来ていたことなどを告げる。ロシニョルは病院を訪ねたが、膨大な量のカルテの前に、なす術もない。マドラス行きの列車の中で出会ったペーター・シュレミールと名乗る老人(オットー・タウシヒ)は、自分の影を無くしてしまった男について語る。翌日彼は神智学協会の教授から「私は夜鳴く鳥」と書いたグザヴィエの手紙を見せられ、その手紙が旅の最終目的地と決めていたゴアで書かれたことに驚く。教授は「私達は皆二つの人生を生きる」という言葉を教えた。ゴア行きのバスに乗り込んだ彼に、奇形の占い師は、あなたの魂はここに無いから、予言は出来ない、魂はとても遠いところにある、と言う。ゴアのボアベンチュラ大司教館へ、そしてカラングート海岸へと向かった彼は少女に「パナマのマンドヴィ・ホテルへ行くといい」と言われる。更に少女は「ロシニョル、英語にするとナイチンゲールさん」と言い残す。それを聞いて彼はグザヴィエの手紙の「夜鳴く鳥」(=ナイチンゲール)という言葉を思い出した。マンドヴィ・ホテルから更にフォート・アグアダ・ホテルへ向かった彼は、そこで出会った魅力的な女性クリスティーヌ(クレマンティーヌ・セラリエ)を食事に誘い、友人が僕を捜しているが、彼は僕を見つけられない、彼は僅かな手掛かりを頼りに僕を捜すが、上手くいかない、彼は自分自身を捜しているんだと話す。彼らが席を立とうとすると、勘定は支払われていて、しかもその人間の名は伏せられていた。割り切れない気持ちでクリスティーヌがこれは映画なのか、それとも現実なのかと尋ねるが、ロシニョルはそれには答えず、穏やかな微笑みを浮かべて佇んでいた。

「インド夜想曲」の解説

イタリアの人気作家・アントニア・タブッキの、ボンベイ、マドラス、ゴアを巡る若者の紀行を描いた同名短編小説を、「一匹の狼/ロンサム・コップ」(86/ビデオ公開)のアラン・コルノーが映像化した叙情詩的ドラマ。共同脚本は「フォート・サガン」の原作者・ルイ・ガルデル、インド側の製作スタッフは、「サラーム・ボンベイ!」と同じメンバーが担当。出演はジャン・ユーグ・アングラード、クレマンティーヌ・セラリエほか。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 1991年6月8日
キャスト 監督アラン・コルノー
原作アントニオ・タブッキ
出演ジャン・ユーグ・アングラード クレマンティーヌ・セラリエ オットー・タウシヒ T・P・ジャーイン イフテカール ディプティ・ダーヴェ
配給 アルシネテラン
制作国 フランス(1989)

ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。

P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-04-07

友人を追って、ボンベイ、マドラス、ゴアとインドを旅し続ける、ひとりのフランス人ロシニョル。

次第に、かれが追いかけている友人とは、もしかしたら、自分自身のことではないかと思えてくる。

いったい、彼の旅に終わりはあるのか----------。

ゴアで出会った女性に、そんなミステリアスな体験を語り出す。
まるで、どこかで魂を失くし、抜け殻のように異国の地を浮遊する主人公。

自分探しの旅とも違う、自らの幻影に酔う、不思議な映像詩とも言える作品だ。

最終更新日:2024-04-17 16:00:02

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