P.N.「グスタフ」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2019-09-29
「死刑台のエレベーター」「鬼火」「ルシアンの青春」と共にルイ・マル映画を代表する名作。クストーの海洋記録映画「沈黙の世界」で映画デビューしたマルの演出は、その後も記録映画手法の即物的な視点が特徴で、内容の特異性に対して、とてもオーソドックスなものでした。この初めての自伝映画も、劇的な演出を敢えて避け、冷静に淡々と子供時代の出来事を描きます。これまでの30年の映画監督のキャリアを通して、今伝えておきたいことを切実に。戦争やナチズムへの批判と、映画が表現すべきものは何か、真実を伝達する映画へ捧げたマルの偽りない心象がひしひしと感じられます。これは劇映画の形を借りたルイ・マル畢生の”記憶映画”と云えるでしょう。