羅生門(1950) 感想・レビュー 5件

らしょうもん

総合評価5点、「羅生門(1950)」を見た方の感想・レビュー情報です。投稿はこちらから受け付けております。

P.N.「水口栄一」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-01-19

羅生門をまた観た。私はこの映画を観るたびに思い出すのは羅生門の鬼のことだ。私の地元に茨木童子の伝説がある。本来は別々の鬼である羅生門の鬼と茨木童子がしばしば同一視されているのだ。茨木童子は頼光四天王の一人である渡辺綱と一条戻橋や羅生門で戦ったと語り継がれている。茨木童子は私の地元では有名で、昨年の暮れに文化・子育て複合施設ができたが、その名前もおにクルである。おには茨木童子のことだ。それだけにこの映画はひじょうに親近感があった。私はあらためて人間を見事に追求した作品だと思った。素晴らしいの一言に尽きると思う。

P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2023-12-12

黒澤明監督の「羅生門」は、1951年度ヴェネチア映画祭金獅子賞、アカデミー賞特別賞を受賞した作品で、世界中に黒澤明監督の名を知らしめた映画詩に残る傑作だ。

この作品の素晴らしさは、人間の本質がどこにあるのかという、人間存在そのものに対する根本的な疑問を、観る者に強く訴える力を持っている点だと思う。

また、単に疑問をなげかけるだけではなくて、例えば、捨てられた赤ん坊を育てていくというヒューマニズムも織り混ぜられ、それがこの作品の救いになっていると思う。

奔放なカメラワークで、映像の魔術師と絶賛された、宮川一夫のモノクロの撮影も素晴らしく、とりわけ世界的に有名な森の中を走る場面は出色の出来だと思う。

P.N.「水口栄一」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2020-10-02

羅生門を観た。とても感動した。これはあらためて人間というものを深く考えさせてくれたからだ。この映画は藪の中を原作としているが、私は羅生門の原作が大好きだ。初めて読んだのは小学時代だったが、今でも羅生門を飽きるほど朗読している。芥川龍之介さんの世界が大好きなのだ。だからこの映画はひじょうに興味深かった。人生は決して深く考えなくてもいいと思う。だが時には人間とは何か、人生とは何かということをじっくり考えることも必要だろう。そこから豊かさが生まれるのではないかと思う。これは素晴らしい作品だ。

P.N.「グスタフ」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2019-10-11

国内と西洋の評価に乖離があった黒澤作品。終戦後5年で映画先進国米仏伊に衝撃を持って高く評価された記念碑的日本映画の名作。
旅の侍金沢武弘と妻真砂、そして盗賊多襄丸が絡む殺人事件を法廷劇にして、三人三様の嘘を証言映像とした面白さ。熱い日差し、汗ばむ肌、妖艶な真砂の美しさを描く黒澤演出と宮川一夫キャメラの素晴らしさ。そして、三人の嘘を証言できない木こりの盗みを暴く下人の開き直り。旅法師の人間不信から捨て子を引き取る木こりの良心で終わる、練りつくされた黒澤・橋本忍の脚本の完成度。悪人に成り切れぬ盗賊多襄丸を三船敏郎が見事に演じ、京マチ子、森雅之も完璧。
聖書に誓いを立てて始まる法廷劇に慣れた西洋人には、嘘だけで終わる法廷劇の異色さとエキゾチックなコスチュームプレイに関心を持ったと思われる。人間の業を観察し仮面をはぎ、尚、人には救いがあってほしいと願う黒澤監督のヒューマニズムは広く評価されました。

P.N.「pinewood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2017-09-21

早坂文夫のボレロ風な音楽が激しい雨音と共に其の激情を高揚させて行くー。一体三人三様の何処に真相が在るのか?芥川龍之介の説話の世界をモノクロームの宮川一夫のカメラワークが流麗に又、荒々しく、美しく写し出す。ウデイ・アレン監督作品〈教授のおかしな妄想殺人〉もjazzセッションの音楽が情念と狂気を一層に急き立てていた…。

最終更新日:2024-04-05 02:00:09

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