「人と向き合うにはクラッシュするぐらいがいい」佐藤健、カークラッシュシーンでドライビングテク披露!『ひとよ』公開記念舞台挨拶

「人と向き合うにはクラッシュするぐらいがいい」佐藤健、カークラッシュシーンでドライビングテク披露!『ひとよ』公開記念舞台挨拶1
「人と向き合うにはクラッシュするぐらいがいい」佐藤健、カークラッシュシーンでドライビングテク披露!『ひとよ』公開記念舞台挨拶2

『凶悪』を世に送り出して以降、毎年のように作品・監督・俳優賞を中心に国内賞レースを席巻し、いま俳優たちが最も出演を熱望する映画監督のひとり、白石和彌監督の最新作『ひとよ』が上映中。

この度、公開翌日となる11月9日(土)に公開記念舞台挨拶イベントを実施。主演の佐藤健ほか、鈴木亮平、松岡茉優、MEGUMI、佐々木蔵之介、そして本作を手がけた白石和彌監督が登壇した。
会場は、土曜にも関わらず、豪華キャスト陣と、今最も俳優が出演を熱望する監督の登壇を待ちわびた観客で超満員!イベントが開始し、MCの呼びかけと共に、主演で稲村家の次男・雄二役の佐藤健、長男・大樹役の鈴木亮平、長女・園子役の松岡茉優、大樹の妻・二三子役のMEGUMI、新人タクシードライバー・堂下役の佐々木蔵之介、そして白石和彌監督がきらびやかな衣装に身を包んで登場すると、会場は大きな歓声と拍手に包まれた。

佐藤は「改めて、人ひとりの力はちっぽけで、映画はたくさんの人に支えられて作られていると感じました。特に今回、僕は助けられました。鈴木さんと松岡さんたち共演者の皆さん、白石監督に頼って、撮影で向き合った時に感じるものを活かそうと思って、あえてノープランで臨みました。本当に公開を迎えて嬉しいです。本日はどうぞよろしくお願いします」と、撮影を振り返って、満面の笑顔で挨拶。15年前に、子供たちの幸せを守るためと信じ、父親を手にかけてしまった母・こはる(演:田中裕子)が、雄二ら三兄妹の元に帰って来たことから始まる本作。第32回東京国際映画祭での上映や全国各地で行われた一般試写会によって、公開前から早くも感動作として話題沸騰となっている。反響について聞かれると、白石監督はたくさんの感想のメールが来ているといい、佐藤は「僕は、『このキャラクターたちとお別れしなければならないのか』と、寂しくなるような映画が好きなんです。そういう意味で、『この先、稲村家はどうなるのか気になる』というような感想をもらうことが多いですね。共感しやすいポイントが多いからかもしれません」と、映画についての持論も交えて語った。

続いて、共感したシーンやセリフについてのトーク。佐藤は「園子が仕事帰りベロベロに酔っぱらって、堂下の運転するタクシーに送ってもらったところで、リバースして、『まだ吐くよ』っていうセリフが好きです。あれめちゃくちゃいい。一番良かったよ(笑)」と、まさかのポイントでべた褒め。そこでそのセリフについて、脚本にはなく松岡のアドリブだったことが白石監督から語られると、会場はどよめきに包まれた。佐藤は、「流石ですね(笑)。セリフを変えることをどこまで許してくれるかというのは監督によって違って、こだわりが強い方も多いですが、もはや白石監督は意味合いが変わってもいい、という懐の大きさがあります(笑)」と暴露。すると、白石監督は「皆さんが知らないとこでどうにかしています(笑)。キャストさんたちを信頼してるんです」と、白石監督流の撮影術を語っていた。続いて松岡は、稲村家の稼業で、事件後は親せきの丸井家が支えていた稲丸タクシーの従業員・弓(演:筒井真理子)のセリフをピックアップ。「弓が介護疲れしていて、『私も私の時間欲しいもん』に共感しました。私の家庭と同じということではないですが、責任を一心に受けて頑張っている人は共感するのではないでしょうか?」と語った。また、佐々木は、「こはるが夫を手にかけて自首する前に、子供たちを抱きしめないんです。『今しか抱きしめられないよ!?』って観客の皆さんも思ったと思うんですけど。でも15年経って帰ってくると、ガシって抱きしめる。あれはたまらないですね」と、心なしか少し声を詰まらせながら語っていた。

トークはクライマックスの大きな見せ場であるカークラッシュのシーンについても。このシーンは、今回家族というテーマに初めて真正面から向き合った白石監督たっての希望で、撮影直前に変更されたとのこと。どうしてもこのシーンを入れたかった理由について白石監督は「準備していく中で、稲村家をはじめとしたキャラクターたちがちゃんとコミュニケーションを取れていないと感じました。この家族が前に進むためにはちゃんとぶつからないとと思って、その象徴としてクラッシュさせました。『雄二はこんなに運転が上手いんだ』と思いましたね(笑)」とコメント。佐藤は、「一部のシーンではありますが、本当に運転しました(笑)。車酔いしましたよね?」と、一緒に車に乗っていた鈴木と松岡を気遣い。かなり際どい運転が必要だったようだが、松岡は念のため酔い止めに梅干しを食べていたと言いつつ、鈴木や白石監督も、佐藤のドライビングテクニックを称賛していた。
カークラッシュシーン以外でも、気持ちをぶつけ合うシーンが多かった本作。三兄妹がスナックで喧嘩するシーンについて、松岡は疑問があったようで、「気付いたか観客の皆さんに聞きたいです。あそこで園子は、怒りのあまりピーナッツを雄二に投げるっていうシーンなんです。何カット目かで健さんの髪にピーナッツが頭についていたので、リテイクになったんですけど、実際本編に使われてたのはピーナッツがついているカットでした。あれはなぜですか?」と監督に質問。すると白石監督は、「ピーナッツ付いてるのにこんなにカッコいい人居るんだと思って…(笑)」と遊び心あふれるコメントで返し、会場は大きな笑いに包まれた。また、兄妹喧嘩のシーンでは、最後に大樹が割って入るが、「(体が大きいから)あそこが一番怖いですよね(笑)」と、松岡が佐藤に聞くと、佐藤も「そうなんですよ!ボーンって!」と身振り手振りで説明し、再び会場を沸かせていた。一方鈴木は、体格差のある佐藤に振り払われた際に、自然によろけなければならなかった苦労について、「どうしようと思って、振り払われても止めれるし…とかいろいろ考えました」と吐露していた。
また、大樹と二三子の夫婦喧嘩のシーンについて、MEGUMIは「大樹を怒るシーンばっかりなんだけど、パッと監督の方を見ると笑ってるんですよ」と暴露。白石監督は、「いい追い込み方してるなと思って(笑)」と愉快そうに語っていた。大樹が二三子を思わずビンタしてしまうシーンについては、「痛いと痛くないのギリギリの、良い匙加減のビンタをしてくれるんですよ。あれはぐっと来ました(笑)」と振り返ると、鈴木は「いつも他の現場でも、『あなたは自分が思っているより力が強いんです』と言われるんです…」と再び恵まれた体格ゆえの苦労を語っていた。

 トークは、「“家族”とは何か」というテーマになり、白石監督が、「最も大切なものです。子供としては親から頂いたものでもあるし、親としては、子供には無償の愛を捧げたいと思う。めんどくさいけど、だからこそ愛おしいと思います」とコメント。MEGUMIは「時としてめんどくさいことも多いですが、そこが崩れると自分にとっても一番良くない。だからこそ、めんどくさいときもあるけど、最も大事にしなければならい存在」、佐々木は、「共鳴し合えるものかな。悲しいことも嬉しいことも一緒に響き合える存在」と、それぞれの家族観を語っていた。また、松岡は「学校も会社も、他人と向き合わなければならない。そういう時に土台になってくれる。友達とか恋人は時期によって移りゆくこともあるけど、家族はそういう時に踏ん張らせてくれる存在だと思います」と、子役時代から長く働いている役者ならではのコメント。鈴木は「最も濃い人間関係だと思います。一緒に過ごした時間や、血がつながっている・つながっていないも含めて、良い意味でも悪い意味でもすごくつながっていると思います」とコメント。佐藤は「大切な存在であることは揺るがないです。僕は30歳で、これから家族を気付いていく立場ということを考えると、憧れでもあります」と、これからの先を見据えて、噛みしめるように語っていた。最後に集まった観客に向けて佐藤が感謝を述べつつ、「素直になれなかったり、家族と向き合わなければならなかったりするとき、一度クラッシュしなければならないかもしれないと、白石監督も取材でいつもおっしゃってました。僕もあんまり素直に物事を伝えられないタイプです。皆さんもクラッシュするぐらいの気持ちで向き合ってもいいのかもしれません」と、熱を込めて呼びかけ。観客を交えて記念撮影し、大歓声と万雷の拍手に包まれながら、イベントは幕を閉じた。

(C)2019「ひとよ」製作委員会

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最終更新日
2019-11-11 12:30:00
提供
映画の時間編集部

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