映画感想・レビュー 37/2520ページ

狼よさらば:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-22

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こうして、法によって守られ保証されたブロンソンは、晴れ晴れとした表情でシカゴの街へと去っていく--------。

この映画が製作された1970年代の前半は、ヴェトナム戦争の終末期であり、その戦後処理の過程にある時期でもあった。
ウォーターゲート事件を頂点に、上は大統領から、あらゆるものの権威が失墜し、精神的にも生活的にも混乱の最中にあったのだ。

この映画の邦題である「狼よさらば」というのは、当時のブロンソン主演の話題作の「狼の挽歌」と「さらば友よ」を安易に合成したもので、原題は「デス・ウィッシュ」、つまり"死の願望とか殺人願望"という意味で、この映画のテーマは、アメリカ人好みの"西部開拓期の自衛精神"を攻撃的に塗り替えたものとして、アメリカで好評だったのだろうと思う。

現に、このドラマの主人公は、アリゾナへ出張した時、この精神を拳銃と共に仕入れてくるのだ。
愛する妻と娘の復讐をする父親とは、まるでジョン・ウェインの西部劇を観ているような設定だ。

狼よさらば:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-22

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当時のニューヨークという街は、かつては"人種のるつぼ"であったが、近代化の波が押し寄せ、都市の中間層がすっぽりと抜け、大ビルとスラムに変貌し、同時に都市として破産状態に陥っていたのだ。

警察による街の治安の不徹底という要因もあったのではないかと思う。
肝心のその警察も、シドニー・ルメット監督、アル・パチーノ主演の映画「セルピコ」で描かれていたように、汚職と腐敗にまみれていたのだろう。

しかし、低賃金で危険にさらされる現場の警官はやり切れたものではない。
もちろん、市民の不信、非協力も相関関係をなしていたのかも知れない。
そして、拳銃の入手の容易さは言うまでもない。

この映画の中で、市民はチンピラ掃除をする死刑執行人のブロンソンを支持している。
いわゆる、目には目をということだ。
警察のメンツ丸つぶれの警部は、闇から闇へ事件を葬ろうと、市街への退去を提案する。

狼よさらば:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-22

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「都会人は銃を毒ヘビのように恐れているがバカげている。ここでは単なる道具で、誰もが持っているから平和なのだ」と。

そして、復讐心を駆り立てられたブロンソンは、銃を手に入れ、都会に帰ってチンピラ掃除を始めるのだ。
それも、妻や娘を苦しめた直接の犯人を探すのではなく、一人、二人、三人と手当たり次第に、彼が認めた"悪"を抹殺していくのだ。

世論はこの無名の粛清者を支持し、警察も黙認する。
そして、最後にはブロンソンと身許がバレるのだが、警部は「この街を出て行くなら、今まで使用した銃は川へ捨てよう」と提案し、ブロンソンはシカゴへ去るというストーリーだ。

考えてみると、この映画には様々な問題が内包されていると思う。
まず、ストリート・クライムと言われるひったくり、窃盗から強盗、殺人までの暴力が、日常的にはびこっている、この映画で描かれた1970年代の荒廃し切ったニューヨークという街の生々しい実態がある。

狼よさらば:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★
投稿日
2024-07-22

チャールズ・ブロンソンという俳優は、アメリカ時代は脇役専門の俳優で、割りと地味な存在だったが、フランスへと渡り、アラン・ドロンと共演した「さらば友よ」や、名匠ルネ・クレマン監督と組んだ「雨の訪問者」で一躍有名になり、先にヨーロッパと日本で人気が爆発し、その後、1970年代の初めにハリウッド映画に返り咲き、次々とヒット作を飛ばし、百万ドルスターになっていったのだ。

しかし、拳銃をぶっ放して復讐するマフィア等を演じているうちは、単なるフラストレーション解消用の代償作業としての暴力派スターだったが、マイケル・ウィナー監督と組んで主演したこの「狼よさらば」で、ニューヨークに住む一市民、一父親が、街のダニに復讐する役を演じて、初めてアメリカ人の琴線に触れることになるのだ。

三人組のチンピラが家に押し入り、妻を殺し、娘を暴行する。
娘はそのため気が狂ってしまう。
残されたブロンソンは、設計技師という設定で、それまで良心的な反戦論者だったが、仕事先のアリゾナへ行った時、西部の人間から銃の魅力をたきつけられるのである。

バベル:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-22

それにエピソードとしても、この日本編だけ浮いている。
聾啞の少女の孤独の描写は良かったが、脚本段階で思い切って削除してしまう勇気も欲しかったところだ。

この映画には、構成や物語の作り方において、いろいろと問題点はあると思う。
しかし、愛のすれちがいを丁寧に描いており、感動的な余韻を残していると思う。
人によって好き嫌いは分かれそうな気がするが、個人的には大好きな作品だ。

バベル:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★
投稿日
2024-07-22

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この映画は、バベルの塔の建設がきっかけで世界の言語が分かれ、互いの意思疎通ができなくなったという、聖書の逸話をメタファーとして掲げた作品だ。

メタファーからわかることだが、この映画を一言で語るならば、愛のすれ違いを描いた作品と言えるだろう。
映画の中で悪いことなどしていない、愚かなことをしただけだ、といったニュアンスのセリフをメキシコ人の家政婦が口にしているが、そのセリフが映画全体を象徴しているように思う。

その愚かしい、言うなれば、強情な意地から、夫婦や親子や兄弟の愛のすれ違いが生まれているという印象を受けたからだ。

さすがにアカデミー賞にノミネートされるだけあり、菊池凛子演じるチエコの孤独が丹念に伝わってくるのが印象深い。
だが個人的にはテーマの描き込みが言葉足らずという印象があり、ラストの親子で抱き合うシーンもさして心には響いて来なかった。

神弓 KAMIYUMI:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-22

特に後半は、キム・ハンミン監督の畳み掛けるような演出で一気に見せるのですが、クライマックスはもちろん「神弓」対「長弓」の戦い。

ちょうど西部劇の拳銃が、弓に取って代わったようなもので、これでもか、これでもかと双方が死力を尽くすんですね。
そして、その迫力たるや、まるで弓が画面の中から観ている私の方へ飛んでくるような錯覚に陥り、思わず首をすくめることもしばしば。

これは、やはり今はやりのCGに頼らず、高速度カメラで矢の軌跡を再現する、高度な技術力の勝利と言っていいだろう。
そして、それは巧みな編集技術と、クロースアップの多用のおかげでもあるのですが、黒澤明ばりのアクションシーンは、十分堪能できましたね。

神弓 KAMIYUMI:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-07-22

この韓国映画「神弓-KAMIYUMI-」は、アクションに次ぐアクションで息つく暇もないほどの迫力の、"弓"対決が堪能できる傑作だ。

鉄砲が登場する前は、刀や槍が主要な武器だったはずだが、この映画では何と弓矢が主役の座に踊り出た。

この作品は、韓国映画の大ヒット作で、主演のパク・ヘイルがその年の韓国国内の映画賞において、主演男優賞を総なめにしたことでも話題になりましたね。

1636年に実際に起きた清と李氏朝鮮との戦い「丙氏の乱」に材を取り、結果的に清軍は、多数の朝鮮人を捕虜として連行したというが、この映画では李氏朝鮮の「神弓」の名手(パク・ヘイル)と清の「長弓」の名手(リュ・スンリョン)が、正面から対決する。

それでも最後は「神弓」の勝利に終わることから、韓国人のナショナリズムを相当、刺激したに違いありません。
韓国で2011年度の興行成績ナンバーワンを記録したのも頷けます。

とにかく、この映画は冒頭からアクションに次ぐアクションの連続で、のんびり構えている暇はないのです。

水は海に向かって流れる:P.N.「雪風」さんからの投稿

評価
★★★☆☆
投稿日
2024-07-22

ダラダラした展開でテンポが悪い。個性的な役者の脇役が生かされてなく、もったいない。広瀬すずさんはさすがに存在感があったけど、相手役がちょっと残念やった。もう少し編集で削除して100分位にしたら引き締まったかも。當真あみさんが可愛くてキラキラしてました。

第十七捕虜収容所:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-22

この映画は、実体験に基づいて書かれた戯曲の映画化作品ですが、収容所経験のない者には、信じられないようなことが多いんですね。

それを、ビリー・ワイルダー監督のまさに名人芸ともいえる演出と、ウィリアム・ホールデンの巧みな演技が、見事にカバーして見せてくれる。

「帰らざる河」や「栄光への脱出」のオットー・プレミンジャー監督が、収容所長役で登場して、なかなかの役者ぶりを披露してくれるあたりも楽しいし、とにかく、ウェルメイドな作品だと思いますね。

第十七捕虜収容所:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-22

大きなカバンには、収容所にありそうもないものが、いっぱい詰まっており、煙草などで闇商売をやっているんですね。

"そんなバカな----"といったようなことが、そう思わせずに説得力を持って描かれているあたりは、さすがビリー・ワイルダー監督の職人芸だと思いますね。

この"収容所貴族"とでも言うべき男が、脱走者が捕らえられ、銃殺されてスパイがいるとの噂が流れ、疑われ出したところから、映画はちょっと趣を変えて、犯人探しから、それに続く脱走劇へとスリルとサスペンスに満ちたものになっていく。

ノンシャランとしていた男が、リンチされそうになるという状況はあるにしても、スパイ探しをはじめ、果ては窮地に立たされたダンバー中尉を救うため、収容所脱走という大勝負に出るというのは、あまりにも突然の変貌ゆえに、これまた"そんなバカな----"となるところなのだが、これはウィリアム・ホールデンの絶妙の演技によって納得させられてしまうんですね。

第十七捕虜収容所:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-07-22

このビリー・ワイルダー監督の映画「第十七捕虜収容所」は、第二次世界大戦末期のドイツ、アメリカ空軍の捕虜が集められた第十七捕虜収容所という、閉鎖的状況での人間の葛藤と、脱走に成功するまでの苦悩を描いた、収容所もののはしりとなった作品で、主演のウィリアム・ホールデンがアカデミー主演男優賞を受賞しましたね。

この"収容所もの"というと、何か暗くて重いというイメージがあるものです。
だが、この映画は暗さはありますが、決して重くはない。

ストーリーは、スリリングに展開するし、男ばかりの生活という特殊な環境の中にあって、登場人物たちは、かなり誇張して描かれており、時にそれは道化的にもなって滑稽ですらあるんですね。

数多い登場人物の中で最も面白いのが、セフトン軍曹(ウィリアム・ホールデン)という男。
この男はなかなか抜け目がなくて、収容所生活をできるだけ楽しくしようと、人造酒を作ったり、望遠鏡を作ったりしている。
その望遠鏡で女兵士のシラミ取り入浴をのぞき見るシーンは、爆笑ものだ。

華麗なる大泥棒:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★
投稿日
2024-07-22

かつてフランス映画界で、アラン・ドロンと人気を分け合ったジャン=ポール・ベルモンド主演、「地下室のメロディー」「シシリアン」の職人監督アンリ・ヴェルヌイユ監督の「華麗なる大泥棒」。

ジャン=ポール・ベルモンドがロベール・オッセン、レナート・サルヴァトーリ、恋人のニコール・カルファンと四人グループで、ある邸宅に忍び込み、透視テレビ付き携帯コンピュータという新兵器で、精巧な大金庫を開け、三億フラン相当のエメラルドを盗み出す場面がひとつの見せ場だが、続いてそのエメラルドを狙う腹黒い警部のオマー・シャリフに食い下がられるのが、興味の焦点になってくる。

舞台は地中海の観光都市で、断崖沿いの道でぶつかり合ったり、長い石段を逆落としに走り下りたり、追われるベルモンドと追うシャリフの猛スピードの曲芸的なカーチェイスが、ユーモアたっぷりに見せてくれる。

そして、バスに飛び乗って逃げるアクロバット的な場面や、ダンプの荷台に隠れて逃げたベルモンドが、断崖の上に運ばれ、砂利と一緒にぶちまけられて、急斜面をころげ落ちていく場面なども大いに楽しめる。

劇場版すとぷり はじまりの物語~Strawberry School Festival!!!~:P.N.「amkm」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-07-22

定番ストーリーの、コメディー感が強めの映画だと思いました。
話はフィクションだけど、登場人物はすとぷり本人で、誇張はされているけど、メンバーの特徴をうまく表現してあると思います。
私はすとぷりすなーなので、細かく散りばめられたファンが喜ぶエピソードや音楽が満載で、何度でも観たくなる映画です。
すとぷりを知らない人が観ると、すとぷりってこんな感じの人たちの集まりなんだと知ることができる映画だと思います。
ライブのシーンは、実際のライブを見ているようなので、映画であって、ライブでもあるのかと感じました(*^-^*)

まぼろしの市街戦:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-22

主人公以外、誰ひとりとしてまともな人間が出てこないのが素晴らしく、イギリス軍とドイツ軍が鉢合わせして全滅した後、患者たちが急に「もう十分遊んだ」と言って、病院に戻るというアイロニーに満ちた皮肉な結末に、戦争をしている人間と精神病院にいる人間-----狂っているのはどっち? というように痛烈に戦争を風刺しているんですね。

ジョルジュ・ドルリューの音楽もとても印象的で、サーカスの芸人のように綱渡りをするヒロインのジュヌヴィエーヴ・ビジョルドが、天使のような愛らしさで、最高に素敵でしたね。

まぼろしの市街戦:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-07-22

この映画「まぼろしの市街戦」は、コミカルな娯楽アクション監督のフィリップ・ド・ブロカが、痛烈な戦争風刺喜劇として描いた奇跡のファンタジーだ。

とにかく、この映画は、観た者すべてが魅了される不思議な魅力に満ちた、愛すべき大人のお伽噺になっていると思う。

この映画は、公開当時、フランスではコケたが、ベトナム戦争が泥沼化していたアメリカでは、ヒッピーたちや学生たちに熱烈に支持されたと言われているんですね。

第一次世界大戦下のフランスで、ドイツ軍が仕掛けた時限爆弾のために町はもぬけの殻になり、爆弾の撤去を命じられたイギリス軍の兵士アラン・ベイツが町に入ると、そこにいるのは、動物と精神病院を抜け出した患者ばかりだった-------。

このイギリス人兵士は、それぞれ派手に着飾って、将軍や貴族や司祭や娼婦や床屋になり切った善良な彼らに、ハートの王様として歓待され、カーニバルの動物たちを解き放って、町を上げてのどんちゃん騒ぎが開始される。

空の大怪獸 ラドン:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-22

ラドンの出現からラストに至るまで、全く間延びすることなく、ピシッと引き締まっている。
観る者を全く退屈させない鮮やかな作りになっていると思う。

舞台を阿蘇山や北九州に絞ったところ、主人公を記者や科学者、パイロットといった怪獣映画に便利な職業にせず、炭坑で働く若者に設定しているところも、ゴジラとは違ったものを作ろうという、作り手たちの姿勢が伺えていいと思いますね。

そのため若干、スケール感に欠けるきらいはあるが、ストーリーという点では「ゴジラ」と比べても遜色がないくらいだ。

ただ欠点もないではない。映像の繋ぎのぎこちなさ、メッセージ性の弱さ。
ラストのラドンの最期のわかりにくさなど。

とは言え、全体的にはよくできた映画であり、飛行する怪獣をどのように表現するかという円谷英二の挑戦は、やはり見どころ満載だ。

個人的には歴代怪獣映画の中でも特に好きな作品ですね。

空の大怪獸 ラドン:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★
投稿日
2024-07-22

東宝三大怪獣の地位にありながら、バイプレイヤーとしての活躍が多いラドン。
この「空の大怪獣ラドン」は、そのラドン唯一の単独主演作だ。

公開は1956年。東宝の怪獣映画第三作目にして、初のカラー映画。
監督は、お馴染み本多猪四郎、特技監督は、もちろん円谷英二、原作は黒沼健という陣容だ。

初期の東宝特撮映画は、原作者に香山滋や中村真一郎など一流の作家を起用しているが、この作品でも黒沼健を起用しているのが要注目だ。

今ではほとんど知られていない作家だが、SFやミステリの翻訳・著作で活躍し、とりわけオカルト系については、多くの著作を残している。

この原作が功を奏したのか、この作品のストーリーが、なかなか悪くないのだ。
尺は短いものの、阿蘇山近くの炭坑町で起こったトラブルから殺人事件への発展、意外な犯人、そこから、さらに大きな事件へと連鎖し、やがて、ラドンの出現へと繋がる流れは非常に上手い。

しかも、テンポがいいんですね。

三人の名付け親:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-22

自己を棄て他者のために生きる美しさが身に迫る。

このように、ジョン・フォード監督の映画には「詩情あふれる---」と形容される繊細な優しさが、いつも漂ってきて、どの映画も美しい。

「映像の詩人」と呼ばれるほどであり、映像の美しさはもちろんですが、それ以上に人間の美しさを描き続けてきたと思う。

それは、生き方の美しさであり、人の心の美しさなのだ。

最終更新日:2024-10-28 16:00:02

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