映画感想・レビュー 39/2520ページ

欲望という名の電車:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-22

※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]

ところが映画化された「欲望という名の電車」では、ブランシュを「風と共に去りぬ」の大スター、ヴィヴィアン・リーが演じて決して悪い出来でもなかったにもかかわらず、彼女以上に、コワルスキーを演じた、当時新人のマーロン・ブランドの方がより評判になったと言われています。

この映画での彼の役は、ニューオーリンズの工場労働者で、ある日ふっと、自分の妹の家に訪ねて来て、居ついてしまった姉のブランシュが、親譲りの財産を使い尽くしてしまったばかりか、高校教師なのに教え子をホテルに引っ張り込むなどの淫乱ぶりのために、学校や町を追われて自分たちを頼って来たのだと知る。

ブランシュは、淫乱というより一種の神経症で、とてもかわいそうなハイ・ミスなのだが、お上品ぶったものに反感を持っているコワルスキーは、彼女がそんな正体を隠して、まるで貴族のように振る舞うのに腹を立て、キム・ハンター演じる妻がお産で入院している間に、ブランシュを犯してしまうのだ。

欲望という名の電車:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-07-22

このエリア・カザン監督の「欲望という名の電車」は、テネシー・ウィリアムズのアメリカ演劇を代表する戯曲の映画化作品ですが、この戯曲は単に戦後アメリカの生んだ最良の戯曲であるだけではなく、恐らくは20世紀以降の世界の戯曲の中でも屈指の傑作に数えられるものだと思う。

南部の地主階級に代表される古い文明が没落していって、それが貧しく粗野ではあるけれども、バイタリティー溢れる都市の労働者に組み伏せられていく。

ヴィヴィアン・リーが、今は無残な境遇なのに昔の夢にすがって生きる、没落地主の家のハイ・ミスの役で、マーロン・ブランドが、この女の夢をひっぺがえして、遂に発狂させてしまう、ニューオーリンズのポーランド系移民の労働者の役を演じている。

もともとこの戯曲は、このあわれにも誇り高き、ハイ・ミス、ブランシュ・デュボアがヒロインで、彼女の哀しい運命を切々と謳い上げるところに主眼が置かれている。

黒い警察:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-22

あのサンフランシスコを舞台にした「ダーティハリー2」もそうでした。
法律では裁けない凶悪犯たちを、現職の白バイ警官たちが、次々に処刑していく話でした。
「ダーティハリー4」では、ハリー自身が悪を処刑します。

それから、チャールズ・ブロンソン主演の「狼よさらば」。
あの映画は、ニューヨークが背景だったが、警察が捕まえても、すぐ釈放されてしまう街のチンピラたちを、一人のインテリが、自分で次々と処刑するというストーリーだった。

現行法の中でしか行動できない警察に対する、じれったさを感じて、犯罪を憎み、憤る庶民の気持ちは、よくわかります。

こうした映画がヒットするという事も、実は庶民一人一人の心の中に、そうした怒りがあるからなのだと思う。

しかし、こうした思想が、誤った形でエスカレートした時、それがファシズムを生む源になる事も、我々は同時に考えなければならないと思う。

黒い警察:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-07-22

このイタリア映画「黒い警察」は、現代の恐怖を鮮烈に描いた問題作だ。

国際都市ローマでは、凶悪犯罪が益々エスカレートし、警察は必死になって捜査網を広げていくのだが、捕まえた犯人たちは、罰せられる前に、次々と釈放されるのだった。

法の網の目をかいくぐって、犯罪はより強烈に、凶悪化していくのだった。
そんな中で、法を逃れた犯罪者たちを、次々と死刑にしていく、残酷な黒い集団が現われる。

本物の警察では、法律が邪魔して処罰できない犯罪者たちを、この集団は叩き殺し、縛り上げ、銃弾をぶち込んで、私刑の血祭にしていくのだった。

この黒い警察の正体は、いったい何なのか?

イタリア映画伝統のリアリズムと、残酷な手法が重なりあって、凄い迫力を盛り上げていく。

イタリアでは、上映禁止にまでなった問題作で、全篇に流れる哀調のテーマ曲が、たまらなく胸を打ちます。

とにかく、恐ろしい話です。混乱の時代だからこそ生まれた映画だと思う。
しかし、それにしても、こういう映画は、1970年代の初め頃は、世界各国で製作されていたんですね。

赤い影:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★
投稿日
2024-07-22

水の都ベネチア。幼い娘の死のショックから、まだ立ち直れないでいる夫婦が、この街を訪れる。

おりしも猟奇的な連続殺人事件が発生し、妻は盲目の霊媒師に会って以来、精神状態が益々マイナスの方向に傾くし、ホテルの部屋を全裸でチョロチョロしていた夫も、自分の葬式の幻影を見る。
そして、赤い服を着た子供の後ろ姿がちらつくのだった。

ラストには度肝を抜かれるので、要注意だ。

フェラーリ:P.N.「ige」さんからの投稿

評価
★★★☆☆
投稿日
2024-07-22

フェラーリの創始者。エンツォ・フェラーリの壮絶な半生を描いた作品。
本年度ベスト級。

カーレースメインの作品と思いきやちょっと違ってた(笑)
エンツォ・フェラーリの公私に渡る色々な出来事をメインに展開するストーリーだった。

エンツォ夫婦に起こった出来事がかなりエグい!
これは当事者でないと解らないけど関係する人々が皆、辛い感じで落とし所が見出だせない(笑)
でもエンドロールで本当の結末が解る親切設計(笑)

期待したレースのシーンは後半に登場。
年間に100台も売れないフェラーリが倒産の危機の中、イタリア全土1000マイルを走る「ミッレミリア」と言うレースに参加する展開。
街中には防護フェンスとかあるけど郊外には何も無し。
だけど郊外をレースカーが走るシーンの風景がとても美しい。
かなり危険な感じで走る郊外で案の定事故が発生。
かなりのインパクト!
シートベルトって当時は無かったの?

エンツォを演じたアダム・ドライラーさん。
今まで見た雰囲気とは異なった格好良い感じが印象的でした( ´∀`)

潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断:P.N.「ige」さんからの投稿

評価
★★★☆☆
投稿日
2024-07-22

イタリア潜水艦の艦長の生き様を描いた感じの作品。
本年度ベスト級。

派手なシーンも美しい映像も無かったけど観応えはあった感じだった。

イタリアの潜水艦が敵国の船を沈めるミッション。
その潜水艦の艦長を軸に進む展開。
登場人物像は男性ばかり。
唯一艦長の奥さんが登場するんだけど美しかった(笑)

出だしで1人の乗組員が艦長に乗船を拒否される謎の展開。
後で館長の人柄を知るシーンだった。

敵船に攻撃され反撃の上、船が沈没。
その乗組員を救う為、潜水艦に招き入れるも全員乗船する事が出来ず、数人の人間が甲板に取り残される事に。

この為、潜水艦は潜航する事が出来ず海上を進みながら安全な港まで向かう感じ。

途中、戦闘機や戦艦に攻撃されながら港に向かう展開。

ほぼ潜水艦の中の映像で男臭い(笑)

本作は実話ベースらしいけど、こんな艦長が実在していた事に驚く。

エンドロールは色々な料理名を語っていた感じ(笑)
乗組員達が食べたい食べ物だったのか?
気になります( ´∀`)

フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン:P.N.「ige」さんからの投稿

評価
★★★★
投稿日
2024-07-22

月面からの映像が真実なのか偽りなのか?
かなり引き込まれる作品。
本年度ベスト!

NASAの広報に抜擢された元マーケティング会社の敏腕女性社員のケリー。
アポロ11号の発射責任者のコール。
この二人の恋愛ストーリーを中心に進む展開。

ケリーがかなり有能な広報って感じ。
多くのスポンサーを獲得した上、反対する政治家を味方にする等、有能さを発揮(笑)
ケリーの偽りだらけの過去がそうさせた感じの彼女の姿が印象的。

一方、発射責任者のコール。
宇宙飛行士の夢が叶えられずも自分に正直に生きている姿が良かった。

全く異なる人生を歩んで来た二人がお互いを認め、寄り添い計画を進めて行く感じが本作の軸になっていた印象。

スクリーンに度々登場する黒猫。
何かあると思いきや終盤の大事なシーンにも出没!
緊張感があるシーンに更に緊張感が高まる(笑)
ラストも王道なハッピーエンドって感じでストレス無く鑑賞出来た感じ。

実際のアポロ11号。
当時の技術で本当に月面に行けたのか?
気になります( ´∀`)

Billie ビリー:P.N.「pinewood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-07-22

NHKラジオ深夜便は本篇出演のトニー・ベネット特集,霧のマンハッタン,ナイト・アンド・デイ,バーブラ・ストライサンドとのデイエットのスマイル他ムード歌謡曲

砂の女:P.N.「pinewood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-07-22

ラジオ深夜便の文芸館,名作短篇集は安部公房の小説・白い蛾,砂のミラージュと云う映画も想い出しながら幻想作品を味わう

異人たちとの夏:P.N.「pinewood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-07-22

🥀本篇出演の片岡鶴太郎,今朝NHKラジオ深夜便の鶴太郎の人生の愉しみ,画家・城戸真亜子guestの回を聴く。2人の共通点は絵を描くと云うこと。タレント時代の城戸真亜子に取ってお笑い芸人時代の鶴太郎は恩人でも有ったとか云々。川が好きで隅田川沿いに住み移った彼女の話。ふと早朝見かけた一輪の椿に誘われて絵を描き始めた鶴太郎の話。そういえば文房堂ギャラリーの個展に居たヒロイン,其の近くの茶房の装飾壁画の鮮やかな色彩が想出されてー

アウェイ・フロム・ハー君を想う:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-21

サラ・ポーリー監督は『死ぬまでにしたい10のこと』などに出演した若い女優だが、この作品では、カナダのベテラン先輩陣のバックアップもあって、非常に繊細な人間ドラマに仕上げていると思う。

誰もが迎える老後の変化。避けられない現実だが、人間の知性は、どうしたら感情や記憶をコントロールできるのか。

この作品の凄さは、人間への最後の原罪として、その人生の過去の償いを清算しようと迫るところだ。

介護しようとした夫の愛を拒む妻。ストイックだが、ベルイマン映画のような厳しさを感じましたね。

アウェイ・フロム・ハー君を想う:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-07-21

この映画「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」は、アルツハイマー病に冒された妻を、老後介護施設におくる夫の心境を描いた作品。

カナダ、オンタリオ地方の雪の世界。
そこに、老後の生活をおくる夫婦にも静かに試練が訪れる。
美しい雪も春の暖かさで、少しずつ消えて行く。
フライパンを冷蔵庫に入れてしまう妻。

ジュリー・クリスティは、この老妻の演技で、アカデミー主演女優賞にノミネートされました。

ごく自然に淡々とした生活だが、確実に彼女の記憶も雪のように消え出した。
黄色い花を見ても色彩がわからない--------。

三度目の殺人:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★☆☆
投稿日
2024-07-21

市川実日子演じる若手検事と、満島真之介の弁護士助手役に見え隠れする、真っすぐな正義感が、この作品のテーマを別角度からも鮮明にしてみせる。

市川実日子の上司役の岩谷健司の、ほとんど無言の演技が、形骸化した司法制度を象徴するかのように、心の澱となって、私の心にいつまでも残り続けるのだ。

三度目の殺人:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★☆☆
投稿日
2024-07-21

※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]

アメリカの古い犯罪映画や、黒澤明監督の「天国と地獄」を念頭に置いて、カメラを回したという、是枝裕和監督の「三度目の殺人」。

この作品で、福山雅治が切れ者の弁護士を演じる。
同期生だった吉田鋼太郎の頼みで、彼が引き継いだのは、食品加工会社の社長が殺害された事件だった。

被告の役所広司には、三十年前に、やはり殺人の前科があり、裁判官だった主人公の父親が、事件を裁いた因縁もあった。

しかし、再調査を始めた主人公に相談もなく、被告は被害者の妻である、斉藤由貴から殺人の依頼があったと週刊誌に告白し、世間を騒がせることになる。

社長殺しをめぐる謎が、二転三転する面白さは、法廷ものとして期待を裏切らない。
しかし、その一点のみに目を奪われると、この作品のテーマを見逃すことにもなりかねない。

真実は、トリックスター然とした役所広司の頭の中にしかなく、拘置所の接見室で、彼の話に耳を傾ける福山雅治は、繰り人形でしかないからだ。
そういう意味で、この作品は、司法の限界を描いた社会派のドラマであるとも言えるだろう。

家族の庭:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-21

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普通はあらかじめ出来上がった脚本に沿って、俳優に演技をつけていくものだが、マイク・リー監督は、まず俳優に即興で自由に演じさせてから脚本を書いていくという。

そこでは当然、俳優の裁量に任されるわけだから、自然といずれ劣らぬ演技派の勢揃いとなる。
夫のジム・ブロードベント、妻のルース・シーン、そしてほとんど主役ともいえる、妻の職場の同僚メアリーを演じるレスリー・マンヴィル。

最初の結婚に破れ、不倫の恋に傷つけられた独身の中年女性の悲哀を表現して、実に見事だ。

この映画のテーマは、ズバリ家族だ。
夫婦や親子関係を通して、家族とは何かという根源的な問いを投げかけるのだ。

さらに、撮影当時68歳という、マイク・リー監督の年齢を反映してか、そこに「老いと孤独」も加わり、現代人の「老い」の生き方を問うのだ。

それにしても、テンポの早い会話のやり取りや、そこで交わされるウィットと皮肉を込めたセリフの面白さは、他の追随を許さない。
そこに、イギリスだけでなく日本にも当てはまる、現代の"家族の肖像"を見る思いがする。

家族の庭:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-07-21

"家族とは何かという根源的な問いかけに、老いと孤独を絡ませた、マイク・リー監督の秀作「家族の庭」"

監督が「秘密と嘘」や「ヴェラ・ドレイク」のマイク・リーなら観ないわけにはいかない、いや、何が何でも観るべきだと半ば強迫観念にかられて、劇場に足を運んだ作品が「家族の庭」だ。

案の定、それまでのマイク・リー監督の作品同様、画面の隅々にまで神経が行き届いた演出と、俳優陣の熟練の演技を堪能しました。
久々に映画が終わるのが惜しいと思えるほど、充実した時間を味わえましたね。

特に秀逸なのは、導入部。冒頭で「ヴェラ・ドレイク」の主演女優のイメルダ・スタウントンが、初老の患者役で登場するから、てっきりこの女性が物語を引っ張っていくのかと思いきや、場面は病院内の女性カウンセラーに移り、さらに彼女の同僚の中年女性を映し出す。

短いカットを重ね合わせるように、人間関係を明らかにしていく巧みな語り口。
やがて、この映画の主人公は、カウンセラーと地質学者の初老の夫婦であり、その一家に集う様々な人物の人間模様であることがわかってくる。

ビッグ・ウェンズデー:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-21

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入隊検査を逃れるために、ありとあらゆる手を使って入隊拒否をするシーンには笑ってしまうが、しかし、戦争に行くことの義務感と、死の恐怖のジレンマ、そして戦争に対する悲劇が強烈に描かれているのだ。

この映画の脚本・監督のジョン・ミリアスは、自分の青春時代の体験をもとにこの作品を描いていて、真実であるからこそ、劇中、戦争に行った仲間が戻って来た時の喜びや涙が、感動へと変わっていくのだ。

そして、愛する恋人との再会、昔の思い出を取り戻すために、やっと待ち望んだ幻の波"ビッグ・ウェンズデー"に挑戦することで、サーフィンて結ばれた男の友情が復活するのだ。そして、私はそんな彼らの姿に、言いようもないほどの爽やかな感動を覚えるのです。

最終更新日:2024-10-28 16:00:02

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