二十四の瞳(1954) 作品情報

にじゅうしのひとみ

昭和三年四月、大石久子は新任のおなご先生として、瀬戸内海小豆島の分校へ赴任した。一年生の磯吉、吉次、竹一、マスノミサ子、松江、早苗、小ツル、コトエなど十二人の二十四の瞳が、初めて教壇に立つ久子には特に愛らしく思えた。二十四の瞳は足を挫いて学校を休んでいる久子を、二里も歩いて訪れてきてくれた。しかし久子は自転車に乗れなくなり、近くの本校へ転任せねばならなかった。五年生になって二十四の瞳は本校へ通う様になった。久子は結婚していた。子供たちにも人生の荒波が押しよせ、母親が急死した松江は奉公に出された。修学旅行先の金比羅で偶然にも彼女を見かける久子。そして、子供たちの卒業とともに久子は教壇を去った。軍国主義の影が教室を覆い始めていたことに嫌気がさしてのことであった。八年後。大東亜戦争は久子の夫を殺した。島の男の子は次々と前線へ送られ、竹一等三人が戦死し、ミサ子は結婚し、早苗は教師に、小ツルは産婆に、そしてコトエは肺病で死んだ。久子には既に子供が三人あったが、二つになる末っ子は空腹に耐えかねた末に柿の実をもごうとして落下し死んだ。終戦の翌年--久子は再び岬の分教場におなご先生として就任した。教え児の中には、松江やミサ子の子供もいた。一夜、ミサ子、早苗、松江、マスノ、磯吉、吉次が久子を囲んで歓迎会を開いてくれた。二十四の瞳は揃わなかったけれど、想い出だけは今も彼等の胸に残っていた。数日後、岬の道には元気に自転車のペダルを踏む久子の姿があった。

「二十四の瞳(1954)」の解説

「女の園」に次ぐ木下恵介監督作品。壷井栄の原作を同監督自身が脚色している。撮影も「女の園」の楠田浩之、音楽は「三つの愛」の木下忠司。出演者は「女の園」の高峰秀子、田村高廣、天本英世、「昨日と明日の間」の月丘夢路「陽は沈まず」の小林トシ子、笠智衆など。第28回・1954年キネマ旬報ベスト・テン第1位。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督木下恵介
原作壷井栄
出演高峰秀子 天本英世 八代敏之 木下尚寅 夏川静江 笠智衆 浦辺粂子 明石潮 高橋豊子 小林十九二 草香田鶴子 清川虹子 高原駿雄 浪花千栄子 田村高廣 郷古仁史 郷古秀樹 三浦礼 渡辺四郎 渡辺五雄 戸井田康国 宮川純一 宮川真 大槻義一 寺下隆章 寺下雄朗 清水龍雄 佐藤武志 佐藤国男 月丘夢路 石井シサ子 石井裕子 篠原都代子 小池章子 小池泰代 井川邦子 草野貞子 草野節子 小林トシ子 加瀬香代子 加瀬かを子 田辺南穂子 田辺由実子 尾津豊子 神原いく子 永井美子 上原雅子 上原博子
配給 松竹
制作国 日本(1954)
上映時間 154分

ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、6件の投稿があります。

P.N.「pinewood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-02-26

今朝のNHKラジオ深夜便絶望名言は壺井栄著二十四の瞳,木下惠介監督の原作尊重の姿勢と泣かせるシーンの多い映画化の魅力

最終更新日:2024-11-08 02:00:08

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