映画感想・レビュー 167/2613ページ

告白 コンフェッション:P.N.「ige」さんからの投稿

評価
★★★★
投稿日
2024-06-03

メッチャ恐ろしく、メッチャストーリーが面白いスリラー映画。
本年度ベスト!!!

思った以上の面白さ!
予想を上回る恐ろしさが満載!

大学時代、山岳部だった生田斗真さん演じる浅井と韓国人のジヨンの二人がメイン。
登山中に行方不明になった奈緒さん演じる、さゆりの慰霊登山中、二人が遭難。
ジヨンは左足を負傷。
猛吹雪の雪山の中、絶体絶命な感じ。
死を覚悟したジヨン。
行方不明となった、さゆりは自分が殺したと浅井に告白するものの、目の前に山小屋が出現(笑)

本作は浅井とジヨンの2人が山小屋で一夜を明かす時の出来事を描いたストーリー。

生き延びたジヨンが浅井にさゆりを殺した事を告白した事で、ジヨンが警察に捕まる事を恐れ浅井を襲う展開。
左足を負傷しているジヨン。
でも浅井にも高山病の影響で体の一部に障害が発生。
このシチュエーションが面白い!

たまに出てくるベッドで横になってる奈緒さんがメッチャ美しい!

でも彼女のメッチャ恐ろしい顔のシーンが頭から離れません( ´∀`)

わたくしどもは。:P.N.「ige」さんからの投稿

評価
★★★☆☆
投稿日
2024-06-03

※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]

出だしから訳の解らない展開で謎だらけの作品。
本年度ベスト級。

台本を棒読みした感じのセリフ。
登場人物の名前が「ミドリ」や「アオ」とか名前は全て色。
生活感の無い部屋や街や観光施設。
全てが謎だらけ(笑)

中盤の「四十九日」と言う言葉で、本作は死後の世界を表現していたと理解する(笑)
そう言えば出だして小松菜奈&松田龍平さんが身を投げるシーンがあったな(笑)
二人で身を投げ命を断ったと思いきや、小松菜奈さん演じるミドリは目を開ける展開。
だけど死後の世界の松田龍平さん演じるアオが既に警備員として働いていたので死にきれなかったミドリが後追い自殺をしたと推測。

バスガイドが昔の心中は重罪だったと話していたけど既に死んだ人にどんな罪が与えられるのか?
気になるところ。

本作は終始小松菜奈さんの美しさに終始釘付け。
これだけでも大きな収穫だった(笑)
加えて佐渡島の美しい映像も良かった。

終わってみれば、何かを思う事も考えさせられる事もなく。
でも観たことに後悔は全くありません( ´∀`)

映画『からかい上手の高木さん』:P.N.「ige」さんからの投稿

評価
★★★☆☆
投稿日
2024-06-03

ちょっとしたストレスはあるけどメッチャ暖かい恋愛映画。
本年度ベスト級。

中学時代、同級だった永野芽郁さん演じる高木。
高橋文哉さん演じる西片の、なかなか煮え切らないラブストーリー。

二人が素直になれないシーンが多過ぎでストレスが発生するものの、終わってみれば良い作品だった。

本作は高木と西片メインのストーリーと思いきや、登校拒否の町田と女子生徒の大関(白鳥玉季さん)のストーリーが同時進行。

この2人の学生の出来事が高木と西片の行動に変化を与えた感じが良い!
学校って生徒が学ぶ場だけど、生徒から大人が学ぶ事もある感じが印象に残る。

本作は色んな登場人物の恋愛ストーリーがある中、やっぱり高木&西片の恋愛が最強だった感じ。

女子学生の大関を演じた白鳥玉季さん。
少し注目している女優さんだけど、本作でも素晴らしかった!
意外に身長が低かった感じは想定外でした( ´∀`)

オルフェ(1950):P.N.「pinewood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-06-03

美大で瀧口修造論を聴講,シュールレアリスムの自動筆記の話題が出た時にジャン・コクトーの本篇等のモノクロームのシーンが連想されて来た。ガラス売りの声と共に

マッドマックス フュリオサ:P.N.「ige」さんからの投稿

評価
★★★★
投稿日
2024-06-03

ストーリーはイマヒトツだけど独特の世界観がとても良い作品。
本年度ベスト!

本作は1章から5章で構成。
5本のショートムービーを観させられた感じ(笑)

本作の主役、フュリオサが章を跨ぐ毎に成長し力強くなって行く感じ。
子供のフュリオサがメッチヤ可愛い
けど賢い女の子。
フュリオサのお母さんも強く格好良かった!

大人になったフュリオサは更に強くなり自分を守る為、体の一部を犠牲にする驚きのシーンが印象に残る。

本作の醍醐味はやっぱりカーアクション。
バイクやトレーラーに加え、空からの攻撃が新鮮で迫力があった!
トレーラーの後部にある複数の鉄球が意味不明だったけど、まさかの破壊力(笑)

音響の良いスクリーンで観たのも良かった!
バイクや車のエンジンの重低音の振動が座席から体に伝わって来る!
マッサージチェアに座っている様な感覚(笑)

忘れた頃、フュリオサの本作での目的を思い出し納得の結末だった。

子供の頃に観た1作目が衝撃的だった作品って事は未だに記憶に残っています( ´∀`)

マッドマックス フュリオサ:P.N.「あなたは、新しい冒険譚をサーガす。」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-06-03

フュリオサの冒険譚を掘り下げて行く作品。

まるで、『スーター・ウォーズ』のルーク・スカイウォーカーより、ダース・ベーダー、ハン・ソロが、主役を追い越してしまうかのように、

作品としては、既に、完成品ではあるが、フュリオサを新たに掘り下げて行く物語でもある。

過去の作品と比べればややこしいかも知れない?

フュリオサを通して、『マッド・マックス』をどう掘り下げて行くかと言う視点で鑑賞すれば、新作として、楽しめる作品。

怒りの始まりの物語。

怒りには、エゴ的な自滅的なモノと、神なる力の宿るマッドな炎の様なモノとがある。

キリエのうた:P.N.「あ」さんからの投稿

評価
☆☆☆☆
投稿日
2024-06-03

※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]

まだ、こんな女性虐待の映画を作っているなんて、最低だと思います。
あのレイプのシーンだけは気分が悪くなりました。
歌声や、ストーリーは良かったのに。あれで全て台無し。
監督やめた方がいいよ。

関心領域:P.N.「冷徹な女王蜂~スマホな人間~」さんからの投稿

評価
★★★★
投稿日
2024-06-02

日本人には戦後の映画は、ホントに深く突き刺さるが、この映画は欧米人には響く作品なので、一概に世界で評価されると言い難い。

最近のマナーの悪い歩きスマホ人間は、正にエゴの塊、関心領域で生きている。

人生は、自由な選択の連続だが、他人を犠牲にした自由は命の本質から許されない。

なぜなら、愛とは自由だからだ。

他人の自由を奪う度、あなたは、自分の自由を制限している。

詰まり、命、寿命を削るか、行動を制限される(病気や様々な理由で)。

アウシュビッツの女王は、
エゴの理想で生きている。

その愚かさに実の母親さえ、黙って去って行く。

最愛の人に無言で去られたなら、あなたは、無関心のエゴの関心領域で生きているだろう?

日本の反戦映画が世界で評価されるなら、この映画も本当に世界で評価されるだろう?

人間は、誰しも例外なく関心領域で生きている。

他人の自由を奪う者は、所長の様に闇の階段を降るだけだ、上には、昇れない。

妻は、冷徹な女王蜂。

超劇場版 ケロロ軍曹 撃侵ドラゴンウォリアーズであります!:P.N.「小柳友香理好きな映画です」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-06-02

すごくて迫力あるスリムあってとてもいいことですカラフルですだからみんなあなたを愛してる歌が感動するようとてもいい曲いいですお願い見てください金曜日ロードショーやっていいですすごくドラゴンのかっこいい侵略者なので共鳴いいせんんすですのでどてもいいといいですみんなアニメ見てくださいマンガ話もそっくりですのでどてもいいといいですいいですのでよろしくおねがいします
だいじょうぶよきっとずっと前から観たいの見たいのですこれからだそう言えばいいですだからみんな
タママとギロロとドロロそれとも発明家のクルルずっとかっこいいもう人もケロロちょとわがままなので可愛いです冬樹さん
の声なくなったのでよろしくおねがいしますさいごのいいことです夏美さんおこりんぼうけど可愛いですそれで小雪さん可愛いです桃華さん冬樹さんこと好きかも知れてますサブローさん夏美カップルですこれでいいです
おしりフリフリするのはケロロ小隊受けてね面白いことです

炎上:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-06-02

"不世出の夭折の大スター市川雷蔵の初めての現代劇出演作 「炎上」"

37歳という若さで亡くなった、不世出の夭折の大スター、市川雷蔵。
雷蔵はどんな役柄でもこなせて、現代劇でも時代劇にも喜劇にも悲劇にも、娯楽映画にも芸術映画にも、あらゆるジャンルの映画でそのカリスマ的な魅力を表現出来た、稀有の役者だったと思います。

特に、歌舞伎界の出身という事からくる彼の"口跡の素晴らしさ、立ち姿、立ち居振る舞い、所作の美しさ、華麗さ"は、他の追随を許さない程の見事さだったと思います。
もう彼のような華のあるカリスマ性のあるスターは、二度と現われないだろうと思える程です。

しかも、彼は23歳で映画界入りして以来、「眠狂四郎シリーズ」「忍びの者シリーズ」「陸軍中野学校シリーズ」「若親分シリーズ」などのシリーズものの当たり役を数多く生み出して、我々、日本映画ファンを楽しませてくれました。

その背景には、昭和30年~40年代の映画界の黄金時代の活況というものがあったとしても、こんなに多角的で質、量ともに優れたスターは珍しいと、今更ながら思います。

やっぱりスターというものは、"顔"なんですね。 いかにも歌舞伎出身らしい面長中高の顔だちで、瞼が薄い切れ長の目、長めの鉤鼻。 とりたててハッとする程の美男ではない。 端正だが、平凡で標準的な日本人顔なんです。 しかし、この"平凡で標準的"というのが貴重なのだと思うのです。 雷蔵は自分の"平凡で標準的"な日本人顔を、無個性のサッパリ顔を、まるで能面のように様々なニュアンスをもたせて、自由自在に操るのです。 この市川崑監督の映画「炎上」は、市川雷蔵が27歳の時の出演作で、もちろん三島由紀夫の小説「金閣寺」を映画化したもので、以前から三島由紀夫のファンだった雷蔵は、周囲の反対を押し切って、主人公・溝口吾市の役に挑戦したと言われています。 溝口吾市は、驟閣寺がこの世で最も美しいものだと考えていますが、老師(中村鴈治郎)の女色を初めとするこの寺の俗化に復讐を企てようとするのですが--------。 市川雷蔵初めての現代劇出演作で、流麗で美しいモノクロ映像が絶品の味わいがあります。

小説「金閣寺」は、ある吃音症の青年が「美への反感」から、国宝の金閣寺に放火したという実際の事件にヒントを得て書かれたもので、三島由紀夫独特の、「美」や「絶対的なるもの」に対して、美の使徒である青年が美に殉じる姿を計算され尽くし、確固とした構築された文体で華麗に描いていましたが、映画の方は、金閣寺は驟閣寺と名前を変えられ、原作の小説ほどには、溝口吾市の屈折した心理はあまり伝わっては来ません。 しかし、監督・市川崑、撮影・宮川一夫という黄金コンビによる画面作りには素晴らしいものがあり、雷蔵の顔のアップが正面に捉えられていて、彼の頭に昔のいまわしい記憶が甦る時、彼の顔はそのままで、背景がスーッと変わっていきます。 こういう映像技法に、あらためて映画という物の凄さを感じてワクワクしてしまいます。 原作の小説でもそうでしたが、私が一番強い印象を受けたのは、溝口の大学のクラスメートである戸苅という男の登場シーンです。 溝口はドモリですが、この戸苅という男は足が不自由で、ほとんど前衛舞踊みたいな歩き方をするのです。

この辺りの表現は、実に三島由紀夫的な高等心理作戦なのだと思うのです。 この映画では、戸苅の役をまだ若々しい仲代達矢が演じていて、ポーンと広い、人影のない校庭を仲代が黒いシルエットになって、思いきり体を歪ませて歩くのです。 この場面は妙にシュールで、痛ましい美しさがあって、この映画の中でも強く印象に残っています。

間違えられた男:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-06-02

アルフレッド・ヒッチコック監督が、「実話に基づいた映画」を撮ったのは、この「間違えられた男」が、最初で最後だった。
そして彼が、自らカメオ出演しなかった作品も、この映画一本だけだ。

もっとも、映画の冒頭、彼は逆光の中にたたずみ、「これは、私の映画の中では異色の作品です」と観る者に語りかける。

ところが、この「間違えられた男」は、ドキュメンタリーよりも寓話の匂いを強く漂わせている。
黒白の簡潔な構図や、時間の直線的な処理は、ドキュメンタリー的なのだが、観終えるとなぜか、脂の乗った物語を聞かされたような後味が残る。

主人公は、ニューヨークのナイトクラブで働いている堅物のベース奏者マニー(ヘンリー・フォンダ)だ。

彼は、派手なクラブで黙々と演奏し、仕事が終わると毎朝、定刻に帰宅する。 そんなマーニーがある日、強盗犯に間違われて逮捕される。 顔や様子がそっくりという証言が相次いだからだ。 善良な羊を演じるヘンリー・フォンダの人相が、どこか邪悪で陰険な気配を放つのも、話の隈取りを濃くしていると思う。 さらに、随所で用いられるフェイドアウトの技法は、「——」で終わる文章のような効果をもたらす。 冒頭の宣言にもかかわらず、ヒッチコック監督は、快楽的な映画作家の本能をつい覗かせてしまったようだ。

狂った果実(1956):P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★
投稿日
2024-06-02

この中平康監督の日活映画「狂った果実」は、「太陽の季節」で芥川賞を受賞した石原慎太郎の、太陽族モノの第2弾。

公開当時、台頭しつつあった戦後世代の倦怠感を見事に切り取り、太陽族映画、即不良映画という烙印を押されながらも興行的には大ヒットした作品で、わずか23日で撮り上げた強行撮影にもかかわらず、カメラ・アングル、編集の巧みさで、印象的な映像を作り上げていると思う。

とにかく、この作品は、日本のある時代の青春の残酷さを鮮烈に描いた、青春映画の傑作であり、主演の石原裕次郎の存在は常に際立っていたし、1950年代後半から1960年代にかけての日本の青春のシンボルは、石原裕次郎であったということを、再認識させる作品でもある。

原作・脚本は、裕次郎の実兄の石原慎太郎で、ブルジョワ学生の残酷さみたいなものが、非常によく出ていたと思う。

感動的な映画であることは疑う余地はないが、この青春像に対しては、ある種の違和感、反発を感じる人もかなりいると思う。

聖衣:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-06-02

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この題材なら、きっと人が集まるだろうという魂胆が見え見えなのも面白いですね。

この映画の主人公は、キリストではなく、キリストを処刑したローマの護民官マーセラス(リチャード・バートン)なのです。このヒネリは凄くいいと思いますね。ストレートではないところが、実にうまいなと思います。

そして、この映画は私が好きな「ミイラ取りがミイラになった」系列のストーリーなのです。
つまり、悪人が善人に感化されて善人に変わるとか、性格の悪い人が恋愛などのきっかけで良い人になるとか、といった類の物語ですね。

この映画の主人公のマーセラスは、キリストの処刑直後、キリストが最後に纏っていた赤いローブをサイコロ賭博で手に入れたものの、自分ではおってみた途端に気分が悪くなり、呪われてしまったと思い込んで恐怖にかられてしまう小心者です。

きっかけは恐怖だったというわけで、人間が変わる理由としては至極もっともなことです。
昔も今も、国も民族も問わず、”呪い”とか”たたり”に恐怖を抱くのは、人間の本能に近いことではないかと思います。

マーセラスは、ローマ皇帝のカリギュラと一人の奴隷を争って勝利し、ディミトリアス(ヴィクター・マチュア)を買い取ります。奴隷のディミトリアスは、キリストを深く信心していたため、マーセラスも次第にキリストの教えに魅かれていきます。 そして、神の愛に目覚めたマーセラスは、やがて恋人のダイアナ姫(ジーン・シモンズ)と共に処刑されるのですが、スペクタクルなシーンを交えながら大迫力で描いていきます。 立体音響を効果的に演出した雷の響き、馬車の音も実に素晴らしかったと思います。

聖衣:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-06-02

この映画「聖衣」は、公開当時、ハリウッド映画界が新興のテレビに対抗するために、長年にわたり研究開発されてきた”シネマスコープ”方式の記念すべき第一回作品で、聖書に基づいたロイド・C・ダグラスのベストセラー小説の映画化です。

テレビという面白くて、日本では電気紙芝居とも言われたほどの、便利な媒体が生まれたものだから、ハリウッド映画界としては、相当焦ったことが想像されます。

もう何とかして映画館に来て貰わなくてはと必死になるのは当然です。
自宅のテレビで、ちまちまとした小さな画面を見るよりも、映画館の大スクリーンで迫力の映像を見る方がずっといいんだぞーと、思わせるための”シネマスコープ”だったということなのだろうと思う。

そして、この”シネマスコープ”の記念すべき第1作目が、聖書の物語だった、というのも非常に興味深いと思う。
日本人にはあまり馴染みのない聖書ですが、欧米人にとっては、とても身近なものだったのです。

西鶴一代女:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-06-02

優雅に、悲劇的に、ユーモラスに、そして全体に一本、男性本位の封建社会に対する痛烈な抗議の筋を通して、溝口健二監督は悠々とこの物語を描いている。 お春を演じた主演の田中絹代も”凛とした気迫”をたたえた好演で、芸達者の俳優たちが、入れ替わり立ち替わり現われて、厚味のある場面を作り出していると思う。 そして、隅々にまでよく神経の行き届いた美しいセット、流麗な白黒映像の粋とも言うべきカメラなど、あらゆる面での技術的な水準の高さが渾然一体となり、稀に見る”映画の美”を生み出していると思う。 この「西鶴一代女」は、日本映画史上において、ひとつの頂点を極めた作品だと思う。 そして、溝口健二監督の得意とした長回しが、最高に効果を発揮して、数々のヨーロッパ映画にも影響を与えたのだと思う。 尚、この作品は1952年度のヴェネチア国際映画祭で、国際賞を受賞しています。

西鶴一代女:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-06-02

※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]

この映画「西鶴一代女」は、17世紀、江戸時代中期の井原西鶴の名作「好色一代女」を、名シナリオライターの依田義賢が脚色した、巨匠・溝口健二監督の代表作の一本だ。

もう老残に近い年齢で街娼をしているお春(田中絹代)という女が、荒れ寺の百羅漢を眺めているうちに、その仏像のひとつひとつが、かつて自分と関係のあった男の顔に見えてくる。

こうしてお春は、男性遍歴の一生を回想することに—-。

侍の娘で、京の御所に勤めていたお春は、公卿の若党(三船敏郎)と愛し合っているところを、役人に摘発され、不義者として両親ともども洛外追放の身となる。

若党は「お春さま、真実に生きなされ!」という遺言を残して打ち首になった。
その後、お春は、奥方に子供が生まれなくて困っている大名の側室に召しかかえられた。

殿様がお春に夢中になると、お春も存分に尽くした。あげく、殿様は房事過多で病気になり、彼女は生んだ子を残してお払い箱になってしまう。

次に、お春は島原の廓に身売りし、大金持ちの田舎者(柳永二郎)に身請けされようとしたが、この男はニセ金づくりで、その場で役人に逮捕されてしまう。

そして、お春は次には堅気の大商人(新藤英太郎)の家の女中となる。
ところが、この主人が好色でお春に目をつけ、奥方(沢村貞子)に嫉妬され、いじめられ、この家を飛び出してしまう—-。

やがて、お春は乞食にまでおちぶれ、街娼たちに誘われて街の辻に立つようになる。
そんな、ある日、母親が彼女を訪ねてくる。お春の生んだ子が大名になって、お呼び出しがあったのだという。

喜んで行ってみると、大名の生母が街娼にまで身を落とすとはけしからん、と永の蟄居を命ぜられたのだった。
お春は一目だけでも我が子に会わせてくれと言い、息子の姿を眺めながら身をくらましてしまったのだ。
そして、尼となって巡礼しているお春の姿でこの映画は幕を閉じる。

醉いどれ天使:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-06-02

この映画「酔いどれ天使」は、黒澤明監督と三船敏郎のコンビによる、輝かしき第1作目の作品だ。

戦後の混乱が続く映画界で、ようやく占領下のお仕着せを脱却し、混乱期の日本を真正面から捉えた作品になっていると思う。

戦後の混乱の中に生きる人間像が、生き生きと描かれ、黒澤明監督は、独自の個性的なテーマや技法を確立し、新しい一面を鮮やかに示している。

戦後の焼け跡の闇市みたいな所を舞台に、志村喬の酔いどれの医者と、ヤクザの三船敏郎との間に、奇妙な友情が生まれてくる物語で、黒澤明監督の基本的な原点が見られる作品だ。

この黒澤明監督の特色だが、戦後のある時期を、単に淡々と描くのではなく、ある種どぎついものを印象的に描いて、映画の持つダイナミズムを強調している。

志村喬と三船敏郎の師弟的な関係も、黒澤映画の基本的なパターンで、これは彼の「姿三四郎」から「赤ひげ」まで続いていく構造だと思う。

大いなる別れ:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★
投稿日
2024-06-02

※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]

表面上は、すごく平凡な恋愛劇が進行し、その背後で男と女の熾烈な駆け引きが、火花を散らしている。

美女と探偵とが、互いに一芝居を打ち合って、愛の遊戯に興ずるふりをするという、いわば二枚舌の恋愛ゲームなのだ。

このパターンは、「007」シリーズなどでも、甚だしく俗化された形で繰り返されている。

リザベス・スコットは最後に、ボギーに向かって、「あなたのポケットに入れて欲しかった」なんて、健気なことを言いながら、死んでゆく。

男と女が最後に、めでたく結ばれるハッピーエンドが、昼のミステリの特徴であるのに対して、夜のミステリは、必ず悲劇で終わるのだ。

最終更新日:2025-11-10 11:00:02

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