映画感想・レビュー 103/2581ページ

ドライブ・マイ・カー:P.N.「pinewood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-07-16

自分の朗読テープを車内で聴く日常のシーン,繰り返されるルーティンは村上春樹の小説の創作方法と重なりまた映画パーフェクト・デイズの平山のトイレ清掃員の一日とも不思議にオーバーラップするんだなあ

サイコ2:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-16

しかし、何よりもこの映画で心に残るのは、22年という歳月の流れ。
それは主人公のアンソニー・パーキンスやヴェラ・マイルズの表情からも読みとる事が出来るのですが、なかでもショック表現の差に、そのことが歴然と表れているんですね。

ヒッチコックを信奉しながらも、自然に表れるリチャード・フランクリン監督のショック演出の違い。

この映画の冒頭で、「サイコ」の史上名高いシャワー殺人が出て来ますが、この殺しと最後のクライマックスでの殺しは、形は似ていても、血や凶器への感覚は、全く別物なんですね。

22年の歳月、我々の感覚がどう移っているのか。
より強い刺激を求めているという事実を思い知らされて、ゾッとするのです。

サイコ2:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-16

姉を殺された恨みは、22年たっても消えるはずはなく、パーキンスの釈放に徹底して反対するのです。
加えて、素性の不明な若い女性や精神科医が入り乱れて、再び恐ろしい連続殺人が展開していくのです。

パーキンスが、またもや罪を犯しているのか、それとも真犯人は別にいるのか?

「サイコ」の続篇を作りたいとの願望を込めて、3本の脚本が書かれ、その中から選ばれたというだけに、真犯人登場のトリックは、なかなかのものです。

この映画の監督は、リチャード・フランクリン。
アルフレッド・ヒッチコック監督に学んだ事を誇りとし、ヒッチコックへの愛をたっぷり込めて演出しているので、あちこちにヒッチコック・タッチの再現が見られて、嬉しいですね。

サイコ2:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★
投稿日
2024-07-16

この映画「サイコ2」は、アメリカ映画史上に残るスリラーの傑作「サイコ」の続篇。

あの映画で、"サイコ"という言葉を一般通用語にまで広げた犯人役をアンソニー・パーキンスが演じています。

彼が、精神病院に入院させられるところで「サイコ」は終わったのですが、現実の時の流れと同じ22年後、彼が精神病院を出て来るところから、この続篇は始まります。

あの淋しいモーテルに帰って来た、アンソニー・パーキンス扮するノーマン・ベイツが、何をするのか?
続篇の興味は、ここに集中します。

彼にまといつくヴェラ・マイルズ。
「サイコ」で殺されたジャネット・リーの妹役で、前作でも謎を追って、彼の正体を暴く役でした。

ことの終わり:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-16

だからこそ、サラの姿が輝いて見えるのであり、”天上的な愛を体現する存在”として、彼女は神々しいほど、美しく光輝く存在たり得たのだと思います。

自意識が強く、嫉妬と苦悩の狭間を揺れ動くベンドリックスを、繊細で深みのある演技を示したレイフ・ファインズはいつものように、私にインパクトを与えてくれましたが、この映画では何と言ってもジュリアン・ムーアの妖艶で芳醇な香りが漂うような美しさに見惚れてしまいました。

匂い立つような官能のラブシーンでも気品と優雅さに満ち溢れていて、”神との信仰上の約束”を守り通せなかったサラに、より人間である事の奥深さを感じさせてくれたのは、ジュリアン・ムーアの女優として、サラという人間の本質を理解し、完全になり切ったその役作りの凄さに圧倒されました。

ことの終わり:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-16

※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]

最終的にサラをベンドリックスから引き離したものが、”神への信仰”である以上、ベンドリックスは”神”へ嫉妬し、”神”を憎むしかありません。
サラも信仰によって、慰めと苦悩の狭間を彷徨う事になります。

ここに来て、この映画は普通のありきたりの三角関係のドラマだと思えたものが、物語の中心に”神”を介在させる事で、俄然、圧倒的な深みを帯びる事になって来ます。

そして、映画のラストに用意された、奇跡とも言えるエピソードは素晴らしいの一語に尽きます。
サラの崇高な愛は、天へと浄化され、心が癒される思いがします。

つまり、この映画は感性に訴える映画ではなく、知性に訴える映画であるという事がわかって来ます。
嫉妬に悶え苦しむベンドリックスの世俗的な姿というものは、客観的に見て愚かしく、認めたくはありませんが、嫉妬と愛情が表裏一体であるのもまた、ある意味、人生の真実なのかも知れません。

ことの終わり:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-16

※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]

ベンドリックスとサラの過去、サラが密かに会っているであろう”第三の男”—-様々な謎が絡み合う序盤のサスペンス・ミステリータッチの語り口は、我々観る者を惹きつけて離さない、ニール・ジョーダン監督の見事な演出です。

フラッシュバックの実に巧みな使用も効果的で、やがて解き明かされる真実には、謎解きの楽しみと共に、切実で真摯な”究極の愛の形”が、ズシリと確かな手応えを伴って、胸の奥底に響いて来ます。

そして、この映画全般の雰囲気をしっとりと濡れたような感覚で静かに、しかし狂おしく奏でるマイケル・ナイマンの音楽もこの映画のムードを盛り上げてくれます。

サラがベンドリックスと別れる契機になったのは、空襲を受け、仮死状態になった彼を蘇らせるために、必死で神へ懇願したサラの”神との信仰上の約束”に基づくものでした。
このサラと信仰との出会いは、カトリック作家グレアム・グリーンによる原作の”核”になるべきものだと思います。

愛というものに生きる人間が、情欲の嵐に溺れてしまうのを踏みとどまらせてしまうのは、人の人智を超えた”何かの支え”が必要なのかも知れません。

ことの終わり:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-16

※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]

主人公の作家ベンドリックスに「シンドラーのリスト」「イングリッシュ・ペイシェント」の名優レイフ・ファインズ、主人公の友人のサラに「アリスのままで」の名女優ジュリアン・ムーア、主人公の友人の高級官僚のヘンリーにニール・ジョーダン映画の常連で彼の盟友でもある「クライング・ゲーム」のスティーヴン・レイという、考えただけでワクワクするようなメンバーが集結していて、映画好きとしては、観る前から期待が高まります。

作家のベンドリックスは、高級官僚の友人の妻サラと激しくも狂おしい不倫の恋に落ちますが、情事の最中に空襲を受け、サラは突然、唐突に彼に別れを告げて去って行きます。

それから2年後に、サラの夫ヘンリーと逢った時にベンドリックスは、ヘンリーから、サラの様子がどうもおかしく、男ができたらしいと聞かされ、2年前に別れたサラへの未だに捨てきれない嫉妬心に悩み、自分と別れた原因かも知れない、その”第三の男”とも言うべき男の存在に興味を持ち、探偵に彼女の身辺調査を依頼します。

ことの終わり:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-07-16

この「ことの終わり」は、天上的な愛を体現するジュリアン・ムーアの見事な演技を堪能する映画だと思います。

映画「ことの終わり」の原作は、イギリスのカトリック作家でスパイ小説の名手のグレアム・グリーンです。

彼は映画史上に残る不朽の名作「第三の男」の脚本を手掛け、「ヒューマン・ファクター」などのスパイ小説でも有名な、もとイギリスのMI6のスパイ出身の作家なんですね。

この映画の原作は「情事の終わり」で、原題が”The End of The Affair”で、英語のAffairとは、”浮気”という隠れた意味もあるという、そのような映画ですね。

また、この映画は原作者のグレアム・グリーンのほぼ自伝的な要素の強い、実際にあった体験を基にした小説の映画化で、監督は「クライング・ゲーム」や「マイケル・コリンズ」で、いつもアイルランド紛争の問題を先鋭的に描いて来たニール・ジョーダン。

日本の黒い夏 冤罪:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-16

いわばこの映画は、"大人たちの人間ドラマ"であり、高校生二人は問題提起役にすぎませんが、この青春真っ只中の二人が、真剣に疑問を突き付けていくところが、この作品を引き締めていると思います。

この作品は、"正しい報道のあり方"を真面目に考えさせる映画で、一見の価値があると思います。

日本の黒い夏 冤罪:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-16

そのテレビ局は例外的に、犯人扱いすることを極力抑えて、良心的な報道をしようと努力してきていました。
実は、そのテレビ局内でも、良心では視聴率は稼げないとして、センセーショナリズムに走ろうとする動きは大いにあったのですが、そこをじっと抑えて頑張っている報道部長がいたんですね。
この報道部長を演じる中井貴一が、実にいいんですね。

この報道部長が、高校生たちの問いかけを正面から受け止めて、目下進行中のその報道を部下たちと、いちいち検証し、警察とマスコミの事件の取り組み方のどんなところに誤りが生じやすいかを考えつめていきます。
この映画の主役は、この報道部長と、冤罪になりかける市民を渾身の演技で表現する寺尾聡で、そして無実らしいと思いながらも上司の思い込みの圧力で、取り調べを続ける石橋蓮司の刑事などです。

日本の黒い夏 冤罪:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-07-16

この映画「日本の黒い夏 冤罪」は、ジャーナリスティックなテーマに果敢に挑み、重厚な社会派映画を得意とする熊井啓監督の秀作だと思います。

熊井啓監督は、1964年の彼のデビュー作となる「帝銀事件・死刑囚」でも昭和の事件史に残る帝銀事件を冤罪だったという立場から、ドキュメンタリー・タッチで撮っていて、この「日本の黒い夏 冤罪」は、彼のこの系譜に繋がる作品でもあると思います。

熊井啓監督の故郷でもある、長野県松本市でオウム真理教が起こした「松本サリン事件」の時、被害の第一通報者である一市民が警察によって犯人と疑われ、それをマスコミの多くが鵜呑みにして、人権侵害的な報道がセンセーショナルに長期間続きました。
この時、高校生の男女二人が、証拠もないのに犯人扱いのような報道はおかしいという疑問を持って、放送部のクラブ活動としての番組を作るために、地元のテレビ局に取材に来ます。

マネーボール:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-16

あの年、アスレチックスが歴史的な連勝記録を作ったことは、物語の重要な要素として扱われているけれども、それをクライマックスにしていないし、実にあっさりした見せ方になっていることは、そう考えれば当たり前のことだ。

気合が入ると「熱演」しがちなブラッド・ピットは、主人公を自然体で演じていて好印象。
娘役の子役と絡んでいる姿がとても板に付いている。

主人公の片腕となる統計専門家は、実在の人物にかわって用意された架空のキャラクターだが、「実在の」という制約から解き放たれているぶんだけ面白い描かれ方をしていて、これを演じるジョナ・ヒルも好演だと思う。

ただ、チームの監督役にフィリップ・シーモア・ホフマンを起用しておきながら、脚本も、演出も、この人物にあまり興味がなかったのかと思う無駄遣いをしていますね。

主人公と対立する立場としては、海千山千のスカウトたちの存在があるから、監督の独自の立ち位置を見出しにくかったんじゃないかと思いますね。

マネーボール:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-16

※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]

映画はこの人物のバックストーリーをこう紹介していく。
いわく、スタンフォードへの奨学金すら決まっていたのに、スカウト陣から素質万全とのお墨付きを得て、巨額の契約金と引換にプロの道へと足を踏み入れたが、結局のところ芽が出ることなく、未完の大器として現役を去ることになった、苦い挫折の経験の持ち主であると。

世間の常識に照らしあわせた人材の評価とは一体なんなのか、他人の評価や巨額のお金が一体何を意味するのか。
この映画の中で、人材の評価に新たな尺度を持ち込もうとする主人公の戦いは、そんなわけで、この人物が挫折から学び、人生をかけた雪辱戦に臨む戦いなのであるというわけだ。
そして、その戦いには、多分、終わりはない。チームがワールド・チャンピオンになれるか、なれないかに関わらず。

だから、この映画は野球を描いているようで、描いていない。
「弱かったチームが奇跡の連勝」といった、ありがちなフォーミュラに流し込んだりもしない。

マネーボール:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-16

統計的といってみても、分析の切り口や仮説の立て方、解釈次第で、いかようにも使えるものであることは、少し考えてみればすぐにわかることだ。

実際、この「理論」の映画の中での描写としては、旧来の常識に対するアンチテーゼとして波紋を呼びそうな極端なものばかりが強調されているように思います。
選手の評価という面はともかく、野球の試合における戦術という意味では、プリミティヴそのものなんじゃないか。

ただ、映画の中におけるこの理論の役割は明確で、要は、財務的に困窮していて、常識的には戦力補強ができない状況の中で、独自の着眼点で評価し直すことで「掘り出し物」を見つけようとした、そして、それがたまたま一定の成果を収め、注目を集めたということであり、それ以上のものではないと思いますね。

しかし、この映画が本当に描こうとしているのは、ブラッド・ピットが演じる主人公の個人的な戦いのドラマなのだと思います。

マネーボール:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-07-16

この映画は、主力選手の流出と予算制約に悩まされたメジャーリーグ球団、オークランド・アスレチックスで、1997年にジェネラル・マネージャーとなったビリー・ビーンが、邪道扱いされていた統計的な「セイバーメトリクス理論」を積極的に取り入れてチーム編成を行い、他チームと互角以上に戦えるように奮闘した物語ですね。

もちろん、米国のメジャーリーグ・ベースボールが題材ではあるが、なにしろチーム編成に責任をもつGMが主人公であるから、選手たちや試合の勝ち負けといった野球の「表側」ではなく、選手を評価し、他チームと交渉し、トレードし、チームを編成していく、舞台裏の部分に焦点が当たっていて、野球好きのみならず興味深く見ることができますね。

ただ、この映画は、必ずしも「セイバーメトリクス理論」を優れた手法として紹介し、礼賛するものではない。
だいたい、客観的にみても、映画の中で説明されている程度の「理論」は、手法において、それほど洗練されているようには思えない。

女囚701号 さそり:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-16

回り舞台風の設定や隈取メイクなど、アバンギャルドな描写も随所に見られる。

梶芽衣子は、「銀蝶渡り鳥」では、藤純子の人気ヒットシリーズ「緋牡丹博徒」の現代版の域を出なかったが、この作品では、黒いコートとアコーハットに身を包み、鋭い視線とクールな表情で、権力の体制に一矢報いる”女復讐人”を、見事に演じ切ったと思う。

この作品の持つ反体制色は、1970年安保の挫折を経験した若者層をも巻き込み、大ヒットを記録し、梶芽衣子の代表作になったのだ。

女囚701号 さそり:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-07-16

日活映画「野良猫ロック」シリーズでブレイクした梶芽衣子は、日活のロマンポルノへの転向に伴い、東映に移籍する。
そして、東映での主演第1作「銀蝶渡り鳥」に続く主演作が、この映画「女囚701号 さそり」だ。

原作は、篠原とおるの人気劇画で、梶芽衣子演じる主人公・松島ナミが、刑事の恋人の手先となるも、裏切られ刑務所に収監される。
過酷な女子刑務所でのリンチに耐え、脱走、最後に裏切った男への復讐を果たす物語だ。

伊藤俊也監督は、東映東京の労組委員長を務めた人物で、この作品が、監督第1作目となる。
刑務所内でのリンチやレズシーンなどを見ると、この作品が従来の東映スケバン路線の延長線上にあることがわかるが、それ以上に、ヒロインの怨念の深さに焦点を当てた、粘っこい演出は、スケバンものとは一線を画す出来になっていると思う。

大いなる不在:P.N.「ige」さんからの投稿

評価
★★★☆☆
投稿日
2024-07-16

認知症をテーマとしたキャスト陣のリアルな演技に引き込まれた作品。
本年度ベスト級。

ぶっちゃけ感動や共感などは無かったけど役者の方々のリアルな演技に引き込まれた感じの作品。
認知症の陽二を演じた藤竜也さん。
再婚相手の原日出子さん。
夫婦役の森山未來&真木よう子さん。
これらの方々の演技が素晴らしい!

時間軸が入り乱れる中、陽二の認知症が徐々に悪化して行く姿がリアル。

陽二の再婚相手の直美を演じた原日出子さん。
優しい妻を演じているのが印象に残る。

陽二が直美に書いたラブレターがロマンチックなんだけど、それを貰った直美の行動も素敵だった。
本作で唯一ほのぼのする行動(笑)
陽二が認知症になる前の直美との仲の良いシーンがあった方が良かったのでは?と自分的には思えた。

森山未來さん演じる役者の卓。
出だしとラストのリハーサルのシーンのセリフ。
本作のストーリーに被せたセリフと思うものの、自分には全く刺さらず(笑)

観賞後、認知症について調べたけどネガティブな人は認知症になりやすいらしいのでポジティブに生きて行きます( ´∀`)

最終更新日:2025-07-11 16:00:02

広告を非表示にするには