P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2024-01-22
ジェフリー・ラッシュが、老獪な美術品鑑定士として登場するジュゼッペ・トルナトーレ監督の「鑑定士と顔のない依頼人」は、謎めいた女性から舞い込む遺産処分の話が発端。
約束の日時に、屋敷を訪ねても相手の姿はなく、その後も壁の向こうの隠し部屋から話しかけてくるのみ。
好奇心と悪戯心から、その姿を盗み見てしまうが、その日を境に依頼人は心を開きはじめ、鑑定士は彼女の繊細な美しさに心ひかれていく。
巧みなミスリードと精緻な作りで、ひとりの男の孤独な人生を浮かび上がらせるあたりは、仲々のものなのに、真相が明らかになった後のカタルシスが、今ひとつに思えてしまうのはそのせいか。
オートマタ(自動人形)のガジェットとモリコーネの劇伴は、実に効果的なのだが。