P.N.「一匹のぞうさん」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2021-09-18
高校生の時に観ましたが、今もこの作品を越える音楽映画はありません。歌曲はほとんど「ただ一度の」と「新酒祭の唄」で構成されていますが、ハリウッドの歌だらけのミュージカルの退屈さが微塵もなく物語は流れるように進んでゆく。話が面白い上に楽しさの異様な明るさは来るべき戦争の影を予知したのではないでしょうか。映画はしばしば作り手の意図とは別に作品自体に生命力があり時代の体現者となることがあります。ラスト近くの舞踏会のクライマックスにナポレオンが脱出した事を伝える泥だらけの伝令兵が現れて、ワルツを踊っていた群衆があわてて去っていく印象的なシーンが、象徴的です。日本の宮崎駿や黒沢明もこの映画の大ファンで音楽や伝令シーンを引用しています。このオペレッタが舞台ではなく映画のオリジナルの脚本とは驚きです。若い世代も必見です。