ビルマの竪琴(1956) 作品情報

びるまのたてごと

一九四五年の夏、敗残の日本軍はビルマの国境を越え、タイ国へ逃れようとしていたが、その中にビルマの堅琴に似た手製の楽器に合せて、「荒城の月」を合唱する井上小隊があった。水島上等兵は竪琴の名人で、原住民に変装しては斥候の任務を果し、竪琴の音を合図に小隊を無事に進めていた。やがて、小隊は国境の近くで終戦を知り、武器を捨てた。彼らは遥か南のムドンに送られることになったが、水島だけは三角山を固守して抵抗を続ける日本軍に降伏の説得に向ったまま、消息を絶った。一方、ムドンに着いた小隊は、収容所に出入りする物売り婆さんに水島を探して貰うが生死のほども判らなかった。ある日、作業に出た小隊は青い鸚鵡を肩にのせた水島に瓜二つのビルマ僧を見掛けて声をかけるが、その僧侶は目を伏せて走り去った。水島は生きていたのである。三角山の戦闘のあと、僧侶姿の彼はムドンへ急ぐ道で数知れぬ日本兵の白骨化した死骸を見て、今は亡き同胞の霊を慰めるため、この地へとどまろうと決心した。物売り婆さんからあの僧侶の肩にとまっていた鸚鵡の弟という青い鸚鵡を譲り受けた井上隊長は「水島、いっしょに日本へ帰ろう」という言葉を熱心に教え込んだ。三日後に帰還ときまった日、隊長は物売り婆さんに弟鸚鵡をあの僧侶に渡してくれと頼んだ。すると、出発の前日になって水島が収容所の前に現われ、竪琴で「仰げば尊し」を弾いて姿を消した。あくる日、物売り婆さんが水島からの手紙と青い鸚鵡を持って来た。鸚鵡は歌うような声で「アア、ジブンハカへルワケニハイカナイ」と繰り返すのだった。それを聴く兵隊たちの眼には、涙が光っていた。

「ビルマの竪琴(1956)」の解説

竹山道雄の原作を、「青春怪談(1955 市川崑)」の和田夏十が脚色し、「こころ」の市川崑が監督、「銀座二十四帖」の横山実が撮影を担当した。主なる主演者は「悪の報酬」の三國連太郎、伊藤雄之助、「幼きものは訴える」の安井昌二、「あこがれ(1955)」の北林谷栄など。なお一部分はビルマにロケを行っている。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督市川崑
原作竹山道雄
出演三國連太郎 浜村純 安井昌二 内藤武敏 西村晃 春日俊二 中原啓七 土方弘 花村信輝 青木富夫 千代京二 伊藤寿章 小柴隆 宮原徳平 加藤義郎 峰三平 三橋達也 成瀬昌彦 天野創治郎 森塚敏 小笠原章二郎 佐野浅夫 中村栄二 北林谷栄 澤村國太郎 伊藤雄之助 長浜陽二
配給 日活
制作国 日本(1956)
上映時間 116分

動画配信で映画を観よう! [PR]

ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。

P.N.「水口栄一」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2020-05-18

ビルマの竪琴はは少年時代、単行本で読んだ。大人になってこの映画を観た時、水島上等兵の生き方に共感した。今でも素晴らしい映画だと思う。

最終更新日:2023-01-26 02:00:04

広告を非表示にするには