関東大震災時の虐殺事件を森達也監督が映画化。「福田村事件」Blu-ray&DVDが4月3日発売

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提供:キネマ旬報

関東大震災の混乱の中で起きた虐殺事件の顛末を、数々の傑作ドキュメンタリーを放ってきた森達也監督が自身初の劇映画として描いた「福田村事件」。そのBlu-ray&DVDが4月3日(水)に発売される。
1923年9月1日11時58分、関東大震災が発生。その5日後の9月6日、千葉県東葛飾郡福田村の自警団を含む住民100人以上により、香川から訪れた薬売りの行商団15人のうち幼児と妊婦を含む9人が殺された。混乱により「朝鮮人が集団で襲ってくる」「朝鮮人が略奪や放火をした」というデマが拡がる中、讃岐弁で話していた行商団が朝鮮人と疑われたためだ。逮捕された自警団員8人は実刑となるが、大正天皇の死去に関連する恩赦ですぐに釈放された--。

森達也は十数年以上前から〈福田村事件〉の映像化を構想していたが、朝鮮人虐殺および部落差別という“タブー”を孕んでいたため企画が通らなかった。そうした中で、同様の思いを抱いていた脚本家の荒井晴彦と出会い、さらに脚本家の佐伯俊道、映画監督の井上淳一といった志を同じくする映画人が集まり、企画は急発進する。
映画化が発表されると名だたる俳優たちが出演を希望し、クラウドファンディングでは瞬く間に3500万円以上の支援金を集めることに成功。そして関東大震災から100年後の2023年9月1日に映画が公開されると、ミニシアター規模の興行ながら2ヵ月強で上映館200以上、興行収入2億5千万円超のヒットを記録した。また、第28回釜山国際映画祭ではコンペティション部門ニューカレンツアワード最優秀作品賞を受賞している。
100年間も歴史の闇に葬られていた〈福田村事件〉。流言に惑わされ、不安や恐怖を肥大させた群衆は暴走する。過去の出来事では片付けられない、現代にも通じる物語だ。

〈ソフト化に寄せたコメント〉
森達也
人は集団になったとき、なぜ一人ならばとてもできないようなことをしてしまうのか。初めて映画を撮った27年前から、いやもしかしたらもっとずっと前から、この命題は自分の中にあったような気がする。その最悪の典型は戦争と虐殺。ホロコーストにしてもクメールルージュにしても文革にしても、キーワードは常に集団だ。もちろん関東大震災時の朝鮮人虐殺についても。一人でオウム施設の中で撮影を続けながら、自分はどこに帰属しているのかと考え続けていた。会社からは解雇されテレビメディアからパージされ、カメラを手にオウムと社会のあいだを行き来しながら、なぜ自分はいつも一人なのかと考えた。『A』に続いて『A2』、『311』、『Fake』、『i-新聞記者ドキュメント-』、これまで僕の作品はすべて、組織と個の相克がテーマになっている。明確に意識していたわけではない。結果としてそうなっている。だからこそこの命題について、自覚的に撮った『福田村事件』は僕にとって重要だ。初めてのチームワークで悔いることは少なくないけれど、とりあえずは一人でも多くの人に観てほしいとの思いは今も変わらない。
水道橋博士
『福田村事件』への出演はボクの生涯でも大事件でした。敬愛する森達也監督の第一回劇映画に出演を請われたものですから即決で引き受けましたが、撮影直前の2022年の7月10日の投開票の参議院選挙に出馬して初当選、撮影時には新人国会議員でした。撮影期間と国会の委員会招集が重なりスタッフ&キャストの合宿撮影のなか、ボクはひとりだけ何時でも国会対応できるように毎回、京都へ通っていました。夏の京都盆地の熱さは聞きしに勝るもので、大正時代の詰め襟の軍服姿は高熱のサウナの中にダウンジャケットで入浴している状態でした。そしてボクの演じた在郷軍人会長役は怪演と褒めていただいていますが、決して入魂の演技ではなく、国会と映画の重圧のなか、一度魂を抜かれた状態を経ての憑依であり、役が抜けないまま軍国主義に洗脳される役と現実のシンクロニシティを感じました。その後、議員は鬱病でスピード辞職をしてしまいましたが、議員時代にボクが遺した唯一の仕事がこの作品です。映画が百年の時を越え、政治的にも現代に影響力を持ち、邦画史的にも新時代を画する傑作になったこと、そして病に侵されていきながら自分の姿をスクリーンに焼き付けたことを誇らしく感じています。はからずも、この映画の宣伝隊長になった小池百合子都知事、松野官房長官が、何時か、この映画を見る日までボクは上映運動をやめないつもりです。

「福田村事件」
●4月3日(水)Blu-ray&DVDリリース(レンタルDVD同時)
●Blu-ray:6,380円(税込) DVD:4,620円(税込)
【封入特典】
プレスシート縮尺再編集版
【映像特典】
メイキング映像(BDのみ)、初日舞台挨拶(BDのみ)、劇場用オリジナル予告編
●2023年/日本
●監督:森達也
●脚本:佐伯俊道、井上淳一、荒井晴彦
●音楽:鈴木慶一
●撮影:桑原正
●出演:井浦新、田中麗奈
永山瑛太
東出昌大、コムアイ、木竜麻生、松浦祐也、向里祐香、杉田雷麟、カトウシンスケ
ピエール瀧、水道橋博士、豊原功補、柄本明
●発売元:ピカンテサーカス
●発売協力:ディメンション
●販売元:ハピネット・メディアマーケティング
©「福田村事件」プロジェクト2023

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最終更新日
2023-12-15 16:56:34
提供
キネマ旬報(引用元

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