おばあちゃんが脳内アクションスターに!「レオノールの脳内ヒプナゴジア」

おばあちゃんが脳内アクションスターに!「レオノールの脳内ヒプナゴジア」1
おばあちゃんが脳内アクションスターに!「レオノールの脳内ヒプナゴジア」2

提供:キネマ旬報

映画監督だった72歳のレオノール。テレビが頭に落ちてヒプナゴジア(半覚醒)に陥り、未完のシナリオのアクションヒーローになった時、フィクションと現実が交錯し始める--。2022年サンダンス映画祭ワールド・シネマ(ドラマ)部門審査員特別賞に輝いたフィリピン発のメタコメディ「レオノールの脳内ヒプナゴジア(半覚醒)」が、2024年1月よりシアター・イメージフォーラムほかで全国順次公開。予告編、ポスタービジュアル、スチールが到着した。

「フィリピンではアクションスターが大統領になるのに、“おばあちゃんアクションスター” がいなかったのはなぜ?」という新鋭マルティカ・ラミレス・エスコバル監督の疑問から生まれた本作。
「今年の最も素晴らしくオフビートなデビュー作」(ロスアンゼルスタイムズ)、「SFのピンチで攪拌され、メロドラマのノスタルジアを浴びたアクション。ダグラス・サークがカンフーアクション映画でペドロ・アルモドバルと結合したような作品」(EXAMINER)、「映画制作にまつわる愉快なメタフィクションであると同時に、90年代のフィリピン製アクション映画へのラブレターでもある」(大阪アジアン映画祭)など、世界中が混乱しつつも激賞した。

《脳内アクションスターのおばあちゃん》であるレオノールを、チャーミングかつエネルギッシュに演じたのはシェイラ・フランシスコ。フィリピン人で初めてロンドンのロイヤル・ナショナル・シアターに立った名優だ。
なお今秋にはエスコバル監督が来日する予定。奇想天外な映画世界に熱狂すること必至だ。

〈コメント〉
マルティカ・ラミレス・エスコバル監督
マニラで生まれ育ちました。少し前のことですが、有名なアクションスターが、第13代フィリピン大統領に就任しました。当時6歳だった私は(政治経験のない)有名人が選ばれることに何の疑問も感じませんでした。それから数十年、さらに2人の「アクションスター」が大統領になったとき、私はこの不条理な現実に疑問を感じました。けれどその「不条理な現実」は「映画への愛」と重ね合わせれば、とてもすんなりと理解できました。
私たちがフィクションを愛するのは、フィクションは現実を曖昧にしてくれるからです。私が映画を見るのは、現実には決して存在しないような場所に連れて行ってくれるからです。本作は、自分が書いた映画の中に入り込んでしまう映画監督の話です。フィクションの中にしか存在しない人生に対するロマンチックな想いを形に表したものであると言えるでしょう。なので、もし私が崖から飛び降りる前に1本映画を作らなければいけないのなら「私と映画との関係性」をテーマにした作品を撮りたいです。私をいろんな場所に連れて行ってくれるうえに、私を正気のままでいさせてくれる、そんな映画です。
私たちは、いつも年配のマッチョな人たちに囲まれている、と思い始めたのです。なぜ、私たちの歴史の中で、何百本もの映画の中で、おばあさんのアクションスターがいないのだろうって。
アクションというジャンルに、多くの人が影響を受けているように見えるのはなぜでしょう? アクションスターの一人が大統領になるくらいにね。
映画の暴力にはドン引きします、しかし面白くもあり、そこが病んでいるところです。フィリピンでは暴力が普通であるかのように思われています。
アクション映画は、武器も必要だし、血も必要だし、たくさんの人が死ななければならない。しかしそれは、私が取り組む方法ではないのです。本作では、おばあさんというレンズを通して、彼女を取り巻く問題や葛藤を、優しいアプローチで捉えようとしました。愛を通して、コミュニケーションを通して、ね。私は映画を通して人々に貢献をしたいのです。人生をもっと愛おしく思ってもらえるように。
シェイラ・フランシスコ(レオノール役)
レオノールには超能力が与えられましたが、それはとても羨ましい話です。
この映画を作る旅は、本当に楽しかったです。マーティはいつもクールで、周囲を勇気づけ、そしてポジティブでした。彼女の奇抜なアイデアと、オープンで協力的な仕事ぶりが私は大好きです。

Story
フィリピン映画界の巨匠監督だったレオノール・レイエス。72歳の今は、借金および息子との関係悪化に悩みながら暮らしている。ある日、新聞で脚本コンクールの記事を目にした彼女は、一念発起して未完だったアクション映画の脚本に着手。そんな中、テレビが頭に落ちてヒプナゴジアに陥り、劇中に入り込んでしまう。息子は必死に母を現実世界に呼び戻そうとするが……。

「レオノールの脳内ヒプナゴジア(半覚醒)」
監督・脚本:マルティカ・ラミレス・エスコバル(初長編監督作品)
出演:シェイラ・フランシスコ、ボン・カブレラ、ロッキー・サルンビデス、アンソニー・ファルコン
2022年/フィリピン/99分/フィリピン語/字幕:日本語、英語
原題:Ang Pagbabalik ng Kwago 英題:Leonor Will Never Die 日本語字幕:細田治和
配給:Foggy、アークエンタテインメント
公式サイト:https://movie.foggycinema.com/leonor

おばあちゃんが脳内アクションスターに!「レオノールの脳内ヒプナゴジア」3
最終更新日
2023-10-04 14:38:57
提供
キネマ旬報(引用元

広告を非表示にするには