
レッド・ソニアの新作映画化は、何度も企画され、何度も消えた。ロバート・ロドリゲス版、ローズ・マッゴーワン版、ブライアン・シンガー版――いずれも頓挫し、“永遠に完成しない企画”とまで言われた。映画ファンの間では、ソニアは“呪われた企画”として語られ、映画化はもはや伝説のような扱いになっていた。ではなぜ今回、ついに映画化が実現したのか。答えは、M・J・バセット監督の“ジャンル映画への愛”にある。
監督のM・J・バセットは、80年代ソード&サーサリー映画の“荒々しさ”を現代に持ち込みつつ、実写寄りのクリーチャー造形やロケーション撮影で“触れられる世界”を作り上げた。巨大サイクロプス、マンドリル人、闘技場の土埃――どれもCGではなく“そこに存在する”質感を持つ。この“触感”こそ、現代のファンタジー映画が失いかけていたものだ。観客は、ソニアが立つ大地の冷たさや、剣の重み、馬の息遣いを“感じる”ことができる。またバセットは、限られた予算で世界観を作り上げる職人監督だ。『ソロモン・ケイン』『ローグ』など、泥と血の匂いがする作品を得意とし、CGよりも“触れられる世界”を選ぶ。今回の『レッド・ソニア』でも、巨大VFXではなくロケーション撮影、実写寄りのクリーチャー、泥と血の質感を重視した。その結果、近年のファンタジー映画では珍しい“生々しさ”がスクリーンに宿る。
さらに、主演のマチルダ・ルッツが“完璧ではない強さ”を体現し、ロバート・シーハンが怪演で物語を牽引する。ルッツのソニアは、筋肉ではなく意志で戦う。シーハンのドラガンは、狂気とユーモアを併せ持つ“破壊的改革者”として、物語に強烈な存在感を与える。こうして、40年の迷走を経て、レッド・ソニアはようやくスクリーンに帰還した。この映画は、単なるリブートではない。“開発地獄から蘇った奇跡の企画”なのだ。そして、この背景を知れば、作品の粗さすら愛おしく感じられる。80年代のソード&サーサリー映画の精神を現代に蘇らせようとする、その挑戦そのものが、映画としての価値を持っている。
解禁された特別映像では、監督やプロデューサー、キャストが制作の舞台裏を語り、激しいアクションシーンや大自然の中で行われた撮影の様子を収めたメイキング映像が映し出される。今回の映画制作において最大の課題であり、同時に醍醐味でもあったのは、「世界中の人々に知られている物語を、いかに自分たちの解釈で描き直すか」という点だったという。既存の作品やセットに依拠するのではなく、安易に中世的なビジュアルへ寄せることも避けながら、これまでにない独自の世界観の構築を目指したと明かしている。
また、主人公ソニアの象徴ともいえるビキニアーマーは、当初は鎖帷子をベースにしたデザインが検討されていた。しかし、監督と衣装チームによる議論を重ねる中で、「光の反射」や「動きの美しさ」を重視する方向へと転換。その結果、うろこ状の質感を持つ銀のビキニアーマーが採用され、キャラクターの存在感をより際立たせるビジュアルが完成した。
制作は紆余曲折を経て、実に10年という長い歳月を要したという。それでもなお、「作品を愛し、深く理解している人々が手がけること」が絶対条件だったと語られる。その強い想いの積み重ねは、細部に至るまでスクリーンに宿り、唯一無二の映像体験として結実している。
『レッド・ソニア/反逆の剣』は、5月8日(金)より新宿バルト9ほかにて絶賛公開中。
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