追悼のメロディ 作品情報

ついとうのめろでぃ

北フランスのある町。折りしも、列車が駅に到着し、今、1人の男フランソワ(ジャン・ポール・ベルモンド)が降りたった。そして彼はタクシーの運転手(シャルル・ジェラール)にホテルの名を告げる。7年ぶりの町は変っていた。この7年間彼は、フットボール選手と1人の女を殺害したかどで投獄された。まったく身におぼえがないこの罰、今日彼は出獄する。そして、彼は思い出す、あの父が選挙で敗北した頃の事を--。繊維業界のボスはいわばこの町の支配者であり、その中で実力者はリエガール(ベルナール・ブリエ)。フランソワは、リエガールの娘ジルベルト(マリー・フランス・ピジェ)が子供の頃から、優遇されているのに頭にき、ある日彼女を誘惑してモノにした。だが彼女はフランンワには愛しい女性だったのである。やがて、フランソワはリエガール一族に迎え入れられ、リエガールの会社の重要なポストにおさまった。しかし、フランソワの父が、リエガールの立てた候補者に対抗して選挙に出たため、フランソワは一族よりしめ出され、会社も追われる。そして彼はあるクラブの支配人におさまるが、ここは麻薬密売所。彼だけが知らなかった。やがて、フランス対スペインのフットボール試合が行なわれる前晩、フランソワのリボルヴァーで、選手とホステスが殺される。法廷では、フランソワがすべて不利だった。それはすべて組織のしかけた罠--。やがて出獄したフランソワは、この事件の黒幕をあばくため、亡霊のように昔の知人を訪れた。ジルベルトは父に無理矢理進められた結婚に破れており、彼の復讐に手を貸してくれることになった。フランソワはじりじりと組織の核心にふれていく。敵もフランソワを殺すかくごで爪をのばしてくる。そして黒幕は彼の目前に姿をあらわした。リエガールだ。だが、彼を殺すことを無理だとあきらめたフランソワは、以前のクラブの共同経営者を殺る。そして翌朝、ゴルフ場にてリエガールは何者かに狙撃された。

「追悼のメロディ」の解説

無実の罪で投獄された男の、出獄してからの復讐を描く。製作はジャン・ポール・ベルモンド、アンリ・ヴェルヌイユ、監督は「恐怖に襲われた街」のアンリ・ヴェルヌイユ、脚本はアンリ・ヴェルヌイユ、ミシェル・オーディアール、フェリシアン・マルソー、台詞はミシェル・オーディアール、原作はフェリシアン・マルソー、撮影はジャン・パンゼル、音楽はフランシス・レイが各々担当。出演はジャン・ポール・ベルモンド、ベルナール・ブリエ、マリー・フランス・ピジェ、シャルル・ジェラールなど。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 1977年11月3日
キャスト 監督アンリ・ヴェルヌイユ
原作フェリシアン・マルソー
出演ジャン・ポール・ベルモンド ベルナール・ブリエ マリー・フランス・ピジェ シャルル・ジェラール
配給 コロムビア
制作国 フランス(1977)

ユーザーレビュー

総合評価:3点★★★☆☆、1件の投稿があります。

P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★☆☆
投稿日
2023-11-09

さすがはフィルムノワールの大ベテランと言うべきか、アンリ・ヴェルヌイユ監督の語り口は、極めて常套的な一匹狼の復讐譚を、凝りに凝った時制の管理によって、誠に切れ味良く見せていく一転において、実に見事だと思う。

映画の冒頭でまず、7年の刑務所暮らしの後に、北フランスの生まれ故郷に、主人公が帰って来る現在を起点に、少年時代の大過去へ、甘やかな愛を育む中過去へ、そして廃墟の工事現場から、かつて失意のうちに支配人を務めた、ナイトクラブの小過去へと変奏されていく一方、主人公を殺人罪にデッチ上げた影の黒幕は誰かという、真相追及の過程が、現在進行形で時にスリリングに、時にセンチメンタルに描かれていくのだ。

「赤と黒」風な物語のヴァリエーションにベルモンド流の活劇感覚で味付けし、マリー=フランシス・ピジェの情感で仕上げた作品だと思う。

最終更新日:2023-11-19 16:00:02

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