追悼のメロディ 感想・レビュー 1件

ついとうのめろでぃ

総合評価3点、「追悼のメロディ」を見た方の感想・レビュー情報です。投稿はこちらから受け付けております。

P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★☆☆
投稿日
2023-11-09

さすがはフィルムノワールの大ベテランと言うべきか、アンリ・ヴェルヌイユ監督の語り口は、極めて常套的な一匹狼の復讐譚を、凝りに凝った時制の管理によって、誠に切れ味良く見せていく一転において、実に見事だと思う。

映画の冒頭でまず、7年の刑務所暮らしの後に、北フランスの生まれ故郷に、主人公が帰って来る現在を起点に、少年時代の大過去へ、甘やかな愛を育む中過去へ、そして廃墟の工事現場から、かつて失意のうちに支配人を務めた、ナイトクラブの小過去へと変奏されていく一方、主人公を殺人罪にデッチ上げた影の黒幕は誰かという、真相追及の過程が、現在進行形で時にスリリングに、時にセンチメンタルに描かれていくのだ。

「赤と黒」風な物語のヴァリエーションにベルモンド流の活劇感覚で味付けし、マリー=フランシス・ピジェの情感で仕上げた作品だと思う。

最終更新日:2023-11-19 16:00:02

広告を非表示にするには