斬る(1962) 作品情報

きる

高倉信吾は小諸藩士である養父の高倉信右衛門の許しを得て、三年間の武道修行に出た。やがて三年の歳月が流れた。信吾の帰りを最も喜んだのは義妹の芳尾だった。信吾は藩主牧野遠江守の求めにより、水戸の剣客庄司嘉兵衛と立会った。信吾は“三絃の構え”という異様な構えで嘉兵衛を破った。数日して、下城中の信吾は、信右衛門と芳尾が隣家の池辺親子に斬殺されたという知らせをうけた。池辺義一郎は、伜義十郎の嫁に芳尾を望んだが、断わられこれを根にもってのことであった。信吾は池辺親子を国境に追いつめて討った。その時、信吾は自分の出生の秘密を知った。信吾の実母は山口藤子という飯田藩江戸屋敷の侍女で、城代家老安富主計の命をうけて殿の愛妾を刺したが、処刑送りの駕籠から彼女を救った長岡藩の多田草司と、一年を送ったのち生れたのが信吾だった。それから藤子は捕えられたが、彼女を斬る役が多田草司だった。信吾は遠江守から暇をもらって旅に出た。その旅籠で、信吾は、二十人もの武士に追われている田所主水という侍から、姉の佐代を預ってくれと頼まれた。しかし、佐代は主水が危くなった時、自分を犠牲にして主水を逃がした。彼女の崇高な姿にうたれた信吾は、彼女を手厚く葬った。江戸に出た信吾は、千葉道場主栄次郎と剣を交えたが、その技の非凡さを知った栄次郎は、幕府大目付松平大炊頭に彼を推挙した。大炊頭に仕えて三年、信吾はその大炊頭の中に、養父信右衛門の慈愛に満ちた面影をみるようになっていた。文久元年、世は尊王攘夷の嵐に狂っていた。中でも水戸はその急先鋒であった。大炊頭は水戸藩取締りのため信吾を伴って水戸へ赴いた。水戸へ着いた時、大炊頭を襲う刺客の中に庄司嘉兵衛があったが、その嘉兵衛も信吾に倒された。あすは江戸へという水戸最後の日、城内に入った大炊頭と信吾は、先祖の命日焼香のためというので両刀を取上げられ、仏間と控えの間に通された。仏間には刺客が待っていて大炊頭はあっという間に騙し討ちにあった。危機を直感した信吾は、床の間の梅一枝を持って刺客を倒し、仏間にかけつけたが、大炊頭はすでに絶命していた。今はこれまでと信吾は、静かに切腹の用意をするのだった。

「斬る(1962)」の解説

柴田錬三郎の原作から「裁かれる越前守」の新藤兼人が脚色、「座頭市物語」の三隅研次が監督した剣客もの。撮影は「三代の盃」の本多省三。出演は「「破戒(1962)」」「中山七里」の市川雷蔵、「破戒(1962)」の藤村志保、他。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督三隅研次
原作柴田錬三郎
出演市川雷蔵 藤村志保 渚まゆみ 万里昌代 成田純一郎 丹羽又三郎 友田輝 柳永二郎 天知茂 稲葉義男 千葉敏郎 毛利郁子 伊達三郎 浜田雄史 南部彰三 浅野進治郎 細川俊夫 玉置一恵 原聖四郎 藤川準 岩田正 菊野昌代士 加賀美健一 木村玄 細谷新吾 佐山竜一郎 山岡鋭二郎
配給 大映
制作国 日本(1962)
上映時間 71分

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ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。

P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-02-26

この映画「斬る」は、柴田錬三郎の原作を新藤兼人が脚色、市川雷蔵主演、三隈研次監督による時代劇だ。

お家騒動に巻き込まれ、手討ちとなった腰元と、出家した侍との間に生まれ、他家に養子に出された悲運の子が、剣を生き甲斐とし、数々の生死の境地を彷徨いながらも、遂に、自ら死んでいくまでの生涯を三人の女性の死に様を通して、硬質に映像美たっぷりに描いた大映時代劇の傑作だ。

母親、養父の娘、弟の身代わりとなった通りすがりの武家の女と、三人の女の死に直面した主人公が、虚無の淵に立ちながら、己をテロリストへと駆り立てていく過程を、シュールな手法と端正な語り口で表現していると思う。

最終更新日:2024-03-07 16:00:01

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