- 評価
- なし
- 投稿日
- 2024-07-14
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そして、ラストでは、愚直でひたむきなベニーニの頑張りが、夢のような奇跡を呼び起こすんですね。歴史は真実の愛に微笑みかけたのです。
この映画で、ベニーニの妻役を演じたニコレッタ・ブラスキは、実生活でもベニーニの奥さんと言う事で、庶民的で愛らしいキャラクターには、とても好感が持てましたね。
この映画は、全体的には、少々粗っぽさの目立つ作りながら、どんどんベニーニのペースに乗せられている自分に気づかされました。
頑なに息子の前で道化を演じ、どんな過酷な状況でも、笑いのある人生の素晴らしさを伝えた父親と同様に、ベニーニの演出も、あくまでファンタジーのスタイルを崩していませんね。
その強い信念が、我々の心を動かすのだと思います。
歴史の暗闇にユーモアという光を灯した勇気を、心から讃えたいと思いますね。
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-07-14
この映画は、1990年代のチャップリンと称される、ロベルト・ベニーニの魅力満載の作品ですね。
結婚までの物語の前半は、とにかく笑いの渦で、テンポの良いドタバタぶりと、張り巡らされた笑いの伏線は、もう見事の一言に尽きますね。
それでいて、さりげない雨の中でのラブシーンなどは、とても美しく、忘れられない名場面でしたね。
ベニーニの嫌味のないキャラクターと、見事に仕掛けられた"恋の魔法"は、妻となる女性だけでなく、観ている我々の心までも、がっちりとつかみましたね。
しかし、ナチスのユダヤ人迫害の影響を受け、家族そろって、収容所でつらい生活を強いられる後半こそが、ベニーニ映画の真骨頂だと思います。
かくも悲惨な歴史の荒波に巻き込まれた家族の半生を、さらりとした笑いを基調に描き出し、爽やかな感動を演出しているんですね。
収容所内のマイクを使って、妻に呼びかけ、父子の無事を伝えるシーンや、死の間際に息子をかくまい、元気な行進を見せる父親の勇気と愛情には、ホロリとさせられましたね。
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-07-14
僕のペンネームでもあるように、ビオランテは個人的にすごく好きな東宝怪獣の一つです。ファンからの評価はあまり高くなかったりしますがすごく面白いと思います。
- 評価
- なし
- 投稿日
- 2024-07-14
原作を先に読むか、後に読むか、迷いどころだが、ミステリのオチは、知らないほうがドキドキできると思う。
しかし、この作品は、原作から頭に思い描いていた情景と、比較してみるのも悪くないと思う。
- 評価
- なし
- 投稿日
- 2024-07-14
淡々と謎を解き明かしていく加賀役は、TVドラマ同様、阿部寛が演じ、物語の舞台となる、人形町周辺の雰囲気も味わえ、とにかく、原作に忠実に、そつなくまとめた印象だ。
中井貴一は、思春期の息子を理解しようと奔走する父親役を、いつものワンパターンの演技で、観ていてうんざりするが、息子の悠人役の松坂桃李は、心に闇を抱えた高校生を、実にうまく演じていると思う。
加賀の従弟で、相方の松宮を演じる溝畑淳平は、相変わらず捜査1課の刑事らしくない風貌だが、その身軽さが生きるアクションで見せている。
ドラマも原作のシリーズにも触れていない人も楽しめると思うが、加賀と元刑事だった亡き父との関係や、田中麗奈演じる看護師の存在が、浮いて見えるのが残念だ。
「父と息子の絆」が良いだけに、劇場版だけでは、加賀親子の描写が物足りなかったと思う。
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2024-07-14
東野圭吾のミステリ小説は、謎解きの中で浮かび上がる、深遠な人間ドラマが、人気の秘密だろう。
この「麒麟の翼 劇場版・新参者」は、東野圭吾のベストセラー小説を原作にした、連続テレビドラマ「新参者」の劇場版だ。
日本橋署の刑事・加賀恭一郎が、映画版の中で殺人事件の真相に迫る。
東京・日本橋の麒麟像の下で、腹部を刺されたまま息絶えた、青柳武明(中井貴一)が発見された。
青柳の鞄を持って逃走した八島(三浦貴大)は、車にはねられ意識不明になる。
八島の恋人の香織(新垣結衣)は、八島の無実を訴えるのだった。
八島は、果たして犯人なのか?
青柳は、なぜ刺されてから8分間も歩き続け、日本橋へ向かったのか?
家族、友人、様々な人間関係の裏に、真相が見えてくる。
- 評価
- なし
- 投稿日
- 2024-07-14
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戦争をリアルな戦争シーンとしてではなく、いわば”what-if”的なシナリオで描くような、婉曲的な表現方法が好まれたのかもしれないということです。
この映画の数年先には、キューバ危機のような事件も発生するのですが、「渚にて」という映画は、"戦争の無益さ"を描いた、東西冷戦時代の映画の先駆けだと言ってもいいのではないでしょうか。
いずれにしても、「渚にて」は常套的な手段に頼らない、非常に変わった印象のある映画であり、カテゴリー的には、時としてSFとして扱われることもありました。
だが、製作意図という見地から見た場合には、時代的背景も考え合わせてみれば、SFというよりは、もっとより現実感覚へのアピールという側面が強い映画だったのではないかと思います。
- 評価
- なし
- 投稿日
- 2024-07-14
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それから、放射能汚染による即時の生命の壊滅から免れた、地球上で唯一の国であるオーストラリアにも徐々に放射能が迫ってくるのですが、そこで営まれている生活が、最後の最後まで通常通り続いていく様を描いた後に、最後のシーンで、そのオーストラリアも無人の廃虚と化したシーンが写し出されます。
今まであったものがなくなってしまう様子を通じて、なんとも言えない虚無感、あるいは無為感が表現されているように思います。
こういう表現になったというのも、恐らくこの映画が製作された時代の、時代的な背景も一役買っていたのかもしれません。
もちろん、先ほど述べたような、東西の冷戦の初期の頃という背景もそうなのですが、この時代が、第二次世界大戦及び朝鮮戦争が終った後で、なおかつ、ベトナム戦争はまだ先であったという、中間的な時代であったということです。
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-07-14
この映画の面白いところは、戦争の残虐さを残虐なシーンを見せることによって訴えるというような、通常よくある手法を用いるのではなく、逆に全くそういうシーンを描くことなく、見事に"戦争の無益さ"というテーマを表現している点です。
この映画においては、核戦争が発生したならば、軍事施設の次にターゲットになるであろうはずのサンフランシスコのような大都市ですら、無傷で残っているのです。
ただし、そこには誰一人生存者はいないわけであり、無傷で残った大都市に、ただの一人も人間が住んでいないという不思議な光景が、実に奇妙な虚無感を生み出すことに成功しているように思われます。
- 評価
- なし
- 投稿日
- 2024-07-14
ミュージカル映画の作品賞のオスカー受賞は、1960年代の「オリバー!」以来の快挙で、登場人物の全員が悪い奴で、したたかに生き抜く彼らの姿は、なんと痛快なことか。
悪の魅力に満ちた男女の原動力は、名声への欲望だ。
煌びやかで猥雑、甘美な陶酔感がたまらない。
この作品は、"極上"という言葉が思い浮かぶ、大人のためのエンターテインメント映画だと思います。
- 評価
- なし
- 投稿日
- 2024-07-14
この作品は、出演俳優の達者なパフォーマンスも見逃せない。
なんでも、キャサリン・ゼタ=ジョーンズとリチャード・ギアは経験者らしいが、初挑戦のレニー・ゼルウィガーは、この二人に比べてちょっと拙い。
舌足らずな歌い方は、ハラハラさせられるが、それが少しおバカだが、したたかでこ狡いロキシーというキャラクターにピッタリ合っていて、結果的に成功しているからたいしたものだ。
リチャード・ギアは、彼のタップが話題となったが、腹話術で人形を操るシーンが、アイロニカルで出色の出来だったと思います。
そして、グラミー賞歌手のクィーン・ラティファの上手さは言うまでもないが、気弱で哀れな、ロキシーの夫役のジョン・C・ライリーの歌の意外な味わい深さも捨て難いものがありますね。
- 評価
- なし
- 投稿日
- 2024-07-14
唐突に歌い出し、不自然に明るいミュージカルを苦手とする人は、意外と多いものだ。
しかし、この作品の演出の特徴は、登場人物の空想部分を、ショウ形式で表現している事だ。
本来、留置所という地味な場所ながら、心象風景を歌と踊りで華麗に演出し、華やかなステージとサスペンスフルな裁判を同時進行させているんですね。
とにかく、ミュージカルにつきものの不自然さは皆無で、その切り替えが、実に巧みなのだ。
更にこの作品の最大の魅力は、ある種のブラックさだ。
なにしろ素材は、"美人妻の不倫殺人"。
獄中にいる人物が、茶番劇の裁判で、時代の寵児になり代わるというのだから、相当にクレイジーなのだ。
さあ、最後に笑うのは、いったい誰なのか?----------。
- 評価
- なし
- 投稿日
- 2024-07-14
スキャンダルを利用して、ショウビジネス界でのし上がろうとする二人の歌姫と、名声を操るやり手の弁護士の思惑が交錯する物語は、家族愛や人間愛というモラルとは一切、無縁の世界が描かれているんですね。
しかし、ロブ・マーシャル監督のこの映画化作品には、そのようなものはなくとも、圧倒的な魅力があります。
大きな目のアップの導入部から、階段を駆け上がるスピーディーなショット。
名曲「オール・ザット・ジャズ」で始まるオープニングは、文句なくカッコいい。
粋なステージを最初からたっぷり見せられたら、もう誰もがこの作品の虜になってしまうこと請け合いだ。
舞台でキャリアを積んだロブ・マーシャル監督は、この作品が初監督ながら、その演出の手腕は非常に高いと思います。
エネルギッシュなパワーが、画面いっぱいに炸裂し、ゴージャスなドラマが幕を開けるのだ。
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-07-14
1920年代のシカゴ。スキャンダル好きで、飽きっぽいこの街で、またしても殺人が。
舞台でのスターを夢見るロキシーが、不倫の相手を殺して逮捕されたのだ。
獄中の先客で大スターのヴェルマも、同じく殺人罪だが、敏腕かつ金権弁護士のビリーを雇って、刑務所の中で脚光を浴びているのだ。
彼女を見て刺激されたロキシーは、同じくビリーと手を組んで、一躍スターダムにのし上がろうとするが、世間の注目を奪われたヴェルマが、黙っているはずがないのだ--------。
この映画「シカゴ」は、元々は1975年に、ブロード・ウェイの神様・ボブ・ファッシーが手掛けた大ヒット舞台劇の映画化作品ですね。
この舞台劇は、映画「キャバレー」でも有名なボブ・フォッシー監督の演出だけあって、当然テイストは、ダークで退廃的だ。
- 評価
- なし
- 投稿日
- 2024-07-14
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ドイツ兵を一人づつ、独自の方法で殺していくジュリアンの行為は、冷酷非情な復讐の鬼と化して、火炎放射器を放つシーンなどで描写されていますが、ロベール・アンリコ監督は、決して激情のみに走る事なく、映画全編を通して、そのソフトで温かな語り口を失いませんが、だからこそ、よけいに映画を観終わった後に残る、心の底からの恐ろしさというものが感じられたのかもしれません。
- 評価
- なし
- 投稿日
- 2024-07-14
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ジュリアンの生き甲斐としていたものの全てが、一瞬の内に音をたてて無残にも崩壊していき、彼の心の奥底に激しく噴き上げてくる憎悪の感情。
回想シーンに出てくる妻クララのあまりにも美しく、幸福そうな笑顔に満ち溢れていた姿を思い出す事で、彼の憎悪の念が、我々観る者の気持ちと一体化し、より一層心の中に深く響いてきます。
この回想シーンのロミー・シュナイダーの溢れんばかりの光り輝くような美しさは、例えようがないほど素晴らしく、よけいに、その後に訪れる悲劇との乖離が痛ましくも哀れに見えてなりません。
"戦争は不可抗力であったかもしれないが、妻子への残虐な行為は不可欠であったのか"と心の中に問いかけるジュリアンの報復の執念は、普段は大らかな、肥満体で温厚な小市民のイメージのフィリップ・ノワレが演じる事で、不気味なほどの恐ろしさでドイツ兵に向けられ、その変貌の凄まじさが、我々観る者の心を激しく揺り動かすのです。
- 評価
- なし
- 投稿日
- 2024-07-14
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我々日本人の場合ですと憎しみの感情もいつしか悲しいあきらめの感情に変わっていきがちですが、西欧人の場合、愛情のエネルギーも、もの凄く大きいだけに、その裏返しでもある憎悪のエネルギーも、一段と激しく熱いものがあるような気がします。
ジュリアンの残虐な行為を行ったドイツ兵への報復も徹底しており、憎しみの執念がたぎっています。
彼は昔、使用した"古い銃"を持ち出して、報復のためドイツ兵を次々と殺害していきます。
かって知ったる場所の優位性(秘密の通路や抜け穴等)を活かした、その周到な実行の仕方、行動の機敏さ、執念の炎の燃えさかるジュリアンの報復には、人間の尊厳を傷付けられた者しか持ちえない、激しい何かを感じてしまいます。
ロベール・アンリコ監督は1931年4月の生まれで、この「追想」の時代背景になる1944年頃は13歳の少年であり、その頃の時代の印象が心の中に鮮明に残像として残っているものと思われ、ジュリアンの妻子が殺された時の、真っ赤な血のイメージは鮮烈ですが、それは恐らくロベール・アンリコ監督自身の"少年時代の心象風景の反映"なのかもしれません。
- 評価
- なし
- 投稿日
- 2024-07-14
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第二次世界大戦末期の時代を背景に、映画の前半で、中年医師のジュリアン(フィリップ・ノワレ)とその美しい妻のクララ(ロミー・シュナイダー)との愛情に満ちた幸福そのものの家庭生活の描写があります。
特に回想シーンでのこの夫婦の最初の出逢いの頃の、甘くも希望に満ちた追想は、実に繊細なムードで描かれていますが、やがてこの映画が、一見ソフトで温かいムードでありながら、実は極めて残酷で執念にも満ちたものを内包している事が徐々にわかってきます。
ドイツ軍が、最後のあがきでフランス国内で残虐な行為を行ってきている中、ジュリアンは、友人の勧めもあり、妻子を自分が昔、育った故郷の村の、今は別荘になっている古城へ疎開させます。
疎開後しばらくして、何の連絡もない事を不審に思ったジュリアンは、妻子の疎開先へ急ぎ出かけます。
そこでジュリアンは、ドイツ兵によって無残に射殺された娘、火炎放射器で焼き尽くされ石垣に染みついた黒影と化した、妻の無残な姿に対面する事になります。
普段は、温厚でおおらかなジュリアンの心に、これ以上の激しい憎悪はないだろうと思われるほどの憤怒の炎が燃え上がります。
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-07-14
この映画は、戦争の無残さを人間の尊厳を賭けた一人の男を通して描いた、ロベール・アンリコ監督の映画史に残る不朽の名作だと思います。
1975年製作のフランス映画「追想」は、原題を"古い銃"と言い、永遠の青春レクイエムの名作である「冒険者たち」のロベール・アンリコ監督の映画史に残る名作で、フランスのアカデミー賞に相当する、第1回セザール賞の最優秀作品賞、最優秀主演男優賞(フィリップ・ノワレ)、最優秀音楽賞(フランソワ・ド・ルーベ)を受賞していますね。
クエンティン・タランティーノ監督が「イングロリアス・バスターズ」で、この「追想」にオマージュを捧げて撮ったのはあまりにも有名な話ですね。
映画の冒頭で描かれるフランスの田舎の一本道を、親子三人が自転車で走るのをスローモーションで捉えた、ソフトで心温まるシーンからすでに「冒険者たち」で魅了したロベール・アンリコ監督独特の映像美の世界にすっと引き込まれてしまいます。
- 評価
- なし
- 投稿日
- 2024-07-14
せっかく、お金をかけ、豪華な役者も集めたのに、何ともったいないことかと、つくづく思います。
確かに、顔ぶれの楽しさ、原作の骨組みの確かさで見せてくれますが、アガサ・クリスティーの大ファンとしては、文句なしに面白かったと言えないのが残念です。