映画感想・レビュー 6/2487ページ

ツリー・オブ・ライフ:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-22

そんなドラマに、生命や自然の躍動を伝える壮大なイメージ映像が重ねられる。
CGも駆使し、星の誕生や太古の海、恐竜のいた時代など、今の自分へ繋がる、途方もない命の連鎖が、生き生きと浮かび上がってくる。

そしてドラマは、喪失感を抱えたまま成人となった、ショーン・ペン演じる現代の長男が、家族との和解に至るまでを描いていく。

全編を通して、人生の意味を神に問うような語りが、実に印象的だ。

大学で哲学を教えていたというテレンス・マリック監督は、農場の風景が美しい「天国の日々」や、哲学的な戦争映画「シン・レット・ライン」などで、愚かな人間をそのまま包み込む自然を描くことを、モチーフとしてきた映画作家だ。

そして、わずか5本目のこの監督作で、カンヌ国際映画祭の最高賞を受賞したのだ。

ツリー・オブ・ライフ:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-07-22

この映画「ツリー・オブ・ライフ」は、厚みのある人間ドラマと、そこからイメージを羽ばたかせる美しい映像、クラシックの流麗な音楽。
これらが、混然一体となった秀作だと思います。

孤高の天才・テレンス・マリック監督の「ツリー・オブ・ライフ」は、家族を亡くした喪失感や父と子の確執など、誰もが経験する家族の物語を、太古から繰り返される、命の物語として、壮大に描き出していると思います。

この映画の主要な舞台は、1950年代のアメリカのテキサス州の小さな町だ。
ブラット・ピットとジェシカ・チャスティン演じる夫婦は、3人の子をもうけて、幸福な日々を送っている。

庭の木漏れ日、母のスカートの揺らぎ、ギターを爪弾く音-------。
日常にありながら、移ろいやすい奇跡のような輝きが、丹念に描かれていく。

やがて、野心を抱いた父は、家庭でも強権的に振る舞い始め、穏やかな母や子供たちとの幸せな日々が軋みだす。
長男は純真さを失って、父を強く憎むようになる。

ハロウィン(1978):P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-22

※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]

悪霊の化身の如く、闇の中で襲い続け、殺し続ける。
女性たちが悲鳴を上げて助けを求めても、ハロウィンの夜なので、みんな悪戯だと思ってしまう。

夾雑物を一切排除し、ストレートに、スリルを味わわせるのが、この映画のポイントだ。

クライマックス。死んだと思った殺人鬼は、何度も立ち上がる。
そして、最後は、弾を五発も体に受けて、それでも姿を消してしまう。

脚本・監督・音楽を、一手に引き受けているジョン・カーペンターは、南カリフォルニア大学出身の若手監督だった。

この殺人鬼、実は現代人の精神の深奥に潜んでいる、悪の部分の象徴なのではないだろうか。
犯人の心理を語らない、恐怖づくりの裏側に、そんなジョン・カーペンター監督の真意を思ってしまう。

殺人鬼が最後に狙う女性。扮しているのが、ジェイミー・リー・カーチス。
あの「サイコ」のジャネット・リーと「お熱いのがお好き」のトニー・カーチスの娘ですね。

ハロウィン(1978):P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-07-22

万聖節の前夜。平時は闇に身を潜めている、あらゆる魔性の者たちが、この夜だけは姿を現わす。

そんな伝説の中、子供たちは、妖精のコスチュームとマスクを着け、家々のベルを鳴らして、お菓子をもらう。

ハロウィンの夜とは、現代人にふっと自ら心の空洞を、覗き見させる時でもあるのかも知れない。

アメリカのイリノイの小さな町。ハロウィンの夜、6歳の少年が、姉を殺した。
それから15年。またハロウィンの夜。

あの少年も今は青年。嵐の中を精神病院から脱走し、この街に戻って来た。
白いデスマスクを着け、木陰から闇へ。次々と人を殺す。

両親たちが出かけた後、幼い子供たちのお守りをしている、若い女性を襲うのだ。
彼を追う医師。この犯罪、動機は一切なし。

欲望という名の電車:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-22

というより、心の内側から溢れてくる感情を溢れるままに任せておく時、どんな風に肉体や神経が生き生きと動き出すかを経験させ、それを与えられた役に応用させるというわけだ。

つまり、役の気持ちというより、俳優自身の気持ちをナマナマしく吐露することに重点が置かれるわけで、それでは役に忠実ではないみたいであるが、俳優だって生身の現実の人間である以上、自分という人間の本当の感情に忠実であれば、それはそれで、現実的なものになるのだ。
このことで、役という他人を真似るよりも実在感は、より強いものに成り得るのだと思う。

マーロン・ブランドという俳優は、この"メソッド"という演技理論を、映画の中で最初に体現してみせた役者なのです。

欲望という名の電車:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-22

このアクターズ・スタジオは、彼の後もジェームズ・ディーン、ポール・ニューマン、ダスティン・ホフマン、アル・パチーノなどのハリウッドを代表する演技派スターをゾクゾク排出したことでも有名で、ブロードウェイやハリウッドのスターたちもが、我も我もと演技の勉強に押しかけてくるところになったのです。

そして、このアクターズ・スタジオのやり方というのは、もともとはスタニスラフスキーの演技理論に基づく、"メソッド"というもので、俳優自身の内面にある喜びや悲しみや怒りやコンプレックスを重要視しているのだ。

誰だって自分の心の中を覗いてみれば、複雑に絡み合った様々な感情があるものだ。
ただそれを、いちいち表に出していたのでは世間を渡っていけないから、余計な感情は押し隠したり、押し潰したりしているまでなのだ。

ところが、この"メソッド"では、日頃、忘れているその微妙な感情を思い出させ、それを体の動きや表情で具体的な表現にすることを教えるのだ。

欲望という名の電車:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-22

野性的な逞しい男と言えば聞こえはいいが、品性下劣な卑しい男というよりなく、決してヒーローではない。
しかし、この役を演じたマーロン・ブランドが、なぜスターで主役のヴィヴィアン・リーを食うほどに評判になったかというと、その演技が、まるで実在の人間のようにナマナマしかったからだと思う。

それまで、スターと言えば、なんといっても、スクリーンの中でいい格好を見せるものと決まっていたと思う。
例え、リアリズム映画であっても、また適役や脇役でも、それはそれなりにいい格好というものがあって、いい格好をすることが演技であるのは当たり前だったのだ。

この衝撃的なマーロン・ブランドの演技は、彼が新人時代にこの映画の監督でもあるエリア・カザンなどが教授陣の一員に加わって、当時発足したばかりのニューヨークのアクターズ・スタジオという俳優養成所で学んだことが大きいと思う。

欲望という名の電車:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-22

※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]

ところが映画化された「欲望という名の電車」では、ブランシュを「風と共に去りぬ」の大スター、ヴィヴィアン・リーが演じて決して悪い出来でもなかったにもかかわらず、彼女以上に、コワルスキーを演じた、当時新人のマーロン・ブランドの方がより評判になったと言われています。

この映画での彼の役は、ニューオーリンズの工場労働者で、ある日ふっと、自分の妹の家に訪ねて来て、居ついてしまった姉のブランシュが、親譲りの財産を使い尽くしてしまったばかりか、高校教師なのに教え子をホテルに引っ張り込むなどの淫乱ぶりのために、学校や町を追われて自分たちを頼って来たのだと知る。

ブランシュは、淫乱というより一種の神経症で、とてもかわいそうなハイ・ミスなのだが、お上品ぶったものに反感を持っているコワルスキーは、彼女がそんな正体を隠して、まるで貴族のように振る舞うのに腹を立て、キム・ハンター演じる妻がお産で入院している間に、ブランシュを犯してしまうのだ。

欲望という名の電車:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-07-22

このエリア・カザン監督の「欲望という名の電車」は、テネシー・ウィリアムズのアメリカ演劇を代表する戯曲の映画化作品ですが、この戯曲は単に戦後アメリカの生んだ最良の戯曲であるだけではなく、恐らくは20世紀以降の世界の戯曲の中でも屈指の傑作に数えられるものだと思う。

南部の地主階級に代表される古い文明が没落していって、それが貧しく粗野ではあるけれども、バイタリティー溢れる都市の労働者に組み伏せられていく。

ヴィヴィアン・リーが、今は無残な境遇なのに昔の夢にすがって生きる、没落地主の家のハイ・ミスの役で、マーロン・ブランドが、この女の夢をひっぺがえして、遂に発狂させてしまう、ニューオーリンズのポーランド系移民の労働者の役を演じている。

もともとこの戯曲は、このあわれにも誇り高き、ハイ・ミス、ブランシュ・デュボアがヒロインで、彼女の哀しい運命を切々と謳い上げるところに主眼が置かれている。

黒い警察:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-22

あのサンフランシスコを舞台にした「ダーティハリー2」もそうでした。
法律では裁けない凶悪犯たちを、現職の白バイ警官たちが、次々に処刑していく話でした。
「ダーティハリー4」では、ハリー自身が悪を処刑します。

それから、チャールズ・ブロンソン主演の「狼よさらば」。
あの映画は、ニューヨークが背景だったが、警察が捕まえても、すぐ釈放されてしまう街のチンピラたちを、一人のインテリが、自分で次々と処刑するというストーリーだった。

現行法の中でしか行動できない警察に対する、じれったさを感じて、犯罪を憎み、憤る庶民の気持ちは、よくわかります。

こうした映画がヒットするという事も、実は庶民一人一人の心の中に、そうした怒りがあるからなのだと思う。

しかし、こうした思想が、誤った形でエスカレートした時、それがファシズムを生む源になる事も、我々は同時に考えなければならないと思う。

黒い警察:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-07-22

このイタリア映画「黒い警察」は、現代の恐怖を鮮烈に描いた問題作だ。

国際都市ローマでは、凶悪犯罪が益々エスカレートし、警察は必死になって捜査網を広げていくのだが、捕まえた犯人たちは、罰せられる前に、次々と釈放されるのだった。

法の網の目をかいくぐって、犯罪はより強烈に、凶悪化していくのだった。
そんな中で、法を逃れた犯罪者たちを、次々と死刑にしていく、残酷な黒い集団が現われる。

本物の警察では、法律が邪魔して処罰できない犯罪者たちを、この集団は叩き殺し、縛り上げ、銃弾をぶち込んで、私刑の血祭にしていくのだった。

この黒い警察の正体は、いったい何なのか?

イタリア映画伝統のリアリズムと、残酷な手法が重なりあって、凄い迫力を盛り上げていく。

イタリアでは、上映禁止にまでなった問題作で、全篇に流れる哀調のテーマ曲が、たまらなく胸を打ちます。

とにかく、恐ろしい話です。混乱の時代だからこそ生まれた映画だと思う。
しかし、それにしても、こういう映画は、1970年代の初め頃は、世界各国で製作されていたんですね。

赤い影:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★
投稿日
2024-07-22

水の都ベネチア。幼い娘の死のショックから、まだ立ち直れないでいる夫婦が、この街を訪れる。

おりしも猟奇的な連続殺人事件が発生し、妻は盲目の霊媒師に会って以来、精神状態が益々マイナスの方向に傾くし、ホテルの部屋を全裸でチョロチョロしていた夫も、自分の葬式の幻影を見る。
そして、赤い服を着た子供の後ろ姿がちらつくのだった。

ラストには度肝を抜かれるので、要注意だ。

フェラーリ:P.N.「ige」さんからの投稿

評価
★★★☆☆
投稿日
2024-07-22

フェラーリの創始者。エンツォ・フェラーリの壮絶な半生を描いた作品。
本年度ベスト級。

カーレースメインの作品と思いきやちょっと違ってた(笑)
エンツォ・フェラーリの公私に渡る色々な出来事をメインに展開するストーリーだった。

エンツォ夫婦に起こった出来事がかなりエグい!
これは当事者でないと解らないけど関係する人々が皆、辛い感じで落とし所が見出だせない(笑)
でもエンドロールで本当の結末が解る親切設計(笑)

期待したレースのシーンは後半に登場。
年間に100台も売れないフェラーリが倒産の危機の中、イタリア全土1000マイルを走る「ミッレミリア」と言うレースに参加する展開。
街中には防護フェンスとかあるけど郊外には何も無し。
だけど郊外をレースカーが走るシーンの風景がとても美しい。
かなり危険な感じで走る郊外で案の定事故が発生。
かなりのインパクト!
シートベルトって当時は無かったの?

エンツォを演じたアダム・ドライラーさん。
今まで見た雰囲気とは異なった格好良い感じが印象的でした( ´∀`)

潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断:P.N.「ige」さんからの投稿

評価
★★★☆☆
投稿日
2024-07-22

イタリア潜水艦の艦長の生き様を描いた感じの作品。
本年度ベスト級。

派手なシーンも美しい映像も無かったけど観応えはあった感じだった。

イタリアの潜水艦が敵国の船を沈めるミッション。
その潜水艦の艦長を軸に進む展開。
登場人物像は男性ばかり。
唯一艦長の奥さんが登場するんだけど美しかった(笑)

出だしで1人の乗組員が艦長に乗船を拒否される謎の展開。
後で館長の人柄を知るシーンだった。

敵船に攻撃され反撃の上、船が沈没。
その乗組員を救う為、潜水艦に招き入れるも全員乗船する事が出来ず、数人の人間が甲板に取り残される事に。

この為、潜水艦は潜航する事が出来ず海上を進みながら安全な港まで向かう感じ。

途中、戦闘機や戦艦に攻撃されながら港に向かう展開。

ほぼ潜水艦の中の映像で男臭い(笑)

本作は実話ベースらしいけど、こんな艦長が実在していた事に驚く。

エンドロールは色々な料理名を語っていた感じ(笑)
乗組員達が食べたい食べ物だったのか?
気になります( ´∀`)

フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン:P.N.「ige」さんからの投稿

評価
★★★★
投稿日
2024-07-22

月面からの映像が真実なのか偽りなのか?
かなり引き込まれる作品。
本年度ベスト!

NASAの広報に抜擢された元マーケティング会社の敏腕女性社員のケリー。
アポロ11号の発射責任者のコール。
この二人の恋愛ストーリーを中心に進む展開。

ケリーがかなり有能な広報って感じ。
多くのスポンサーを獲得した上、反対する政治家を味方にする等、有能さを発揮(笑)
ケリーの偽りだらけの過去がそうさせた感じの彼女の姿が印象的。

一方、発射責任者のコール。
宇宙飛行士の夢が叶えられずも自分に正直に生きている姿が良かった。

全く異なる人生を歩んで来た二人がお互いを認め、寄り添い計画を進めて行く感じが本作の軸になっていた印象。

スクリーンに度々登場する黒猫。
何かあると思いきや終盤の大事なシーンにも出没!
緊張感があるシーンに更に緊張感が高まる(笑)
ラストも王道なハッピーエンドって感じでストレス無く鑑賞出来た感じ。

実際のアポロ11号。
当時の技術で本当に月面に行けたのか?
気になります( ´∀`)

Billie ビリー:P.N.「pinewood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-07-22

NHKラジオ深夜便は本篇出演のトニー・ベネット特集,霧のマンハッタン,ナイト・アンド・デイ,バーブラ・ストライサンドとのデイエットのスマイル他ムード歌謡曲

砂の女:P.N.「pinewood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-07-22

ラジオ深夜便の文芸館,名作短篇集は安部公房の小説・白い蛾,砂のミラージュと云う映画も想い出しながら幻想作品を味わう

異人たちとの夏:P.N.「pinewood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-07-22

🥀本篇出演の片岡鶴太郎,今朝NHKラジオ深夜便の鶴太郎の人生の愉しみ,画家・城戸真亜子guestの回を聴く。2人の共通点は絵を描くと云うこと。タレント時代の城戸真亜子に取ってお笑い芸人時代の鶴太郎は恩人でも有ったとか云々。川が好きで隅田川沿いに住み移った彼女の話。ふと早朝見かけた一輪の椿に誘われて絵を描き始めた鶴太郎の話。そういえば文房堂ギャラリーの個展に居たヒロイン,其の近くの茶房の装飾壁画の鮮やかな色彩が想出されてー

最終更新日:2024-07-26 16:00:01

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