P.N.「グスタフ」さんからの投稿
- 評価
- ★★★☆☆
- 投稿日
- 2019-10-19
夫に先立たれ認知症が世間に公表された頃を軸に、過去の主要な出来事を頻繁にインサートして、イギリス政界や社会状況をダイジェストに編集した記録もの。映画「リトルダンサー」にある国営化政策撤廃に絡む労働組合との軋轢や、IRAのテロへの強硬姿勢、アルゼンチンと戦ったフォークランド紛争、そして人頭税導入から保守党内部で孤立する様子もあり、歴史の中の立場は理解できる。対して私生活は極端に抑えられており、娘キャロルは登場するも息子マークの成人姿はない。夫デニスとの婚約エピはあるが、幻覚に度々現れるも夫婦愛の核心は描かれていない。故にメリル・ストリープの独り舞台に終わる。中年から晩年までのサッチャーの妥協なき強靭な政治家像を見事に演じてる。伝統に凝り固まった男性組織の硬直化を打破する、女性政治家の必然性をより深く描いても良かったのではないか。副首相の辞任劇がもっと生きたはず。