P.N.「水口栄一」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-02-09
この映画をまた観た。私は最近、地元に伝わる茨木童子について研究していて、この映画も気になってしかたがなかったからだ。茨木童子の住み家は羅生門とされている。私は芥川龍之介の小説も飽きるほど読んでいるし、この映画も何度も観ているが、これほど人間というものを見事に追求した作品はなかなか見つからないと思う。この映画を観ながら、茨木童子のことを思った。生まれてまもなく捨てられ、近くの床屋に拾われた。床屋の仕事をしていた時に手をすべらし、客を傷つけた。吹き出した客の血を指で取り、舐めた。そこから茨木童子は鬼として目覚めていく。やがて羅生門の鬼と呼ばれるようになるが、最後は父のもとで看病する優しい鬼だった。このストーリーも、また羅生門とは違う角度で人間を見事に追求している。私はこれからも何度もこの映画を観るだろう。