デカローグ<第6話 ある愛に関する物語> 作品情報

でかろーぐだいろくわあるあいにかんするものがたり

孤児の少年トメク(オラフ・ルバシェンコ)は友人の母親(ステファニア・イウィンスカ)の家に住んで郵便局で働いている。マグダ(クラジナ・シャポフォスカ)が郵便局に為替の受取りにくるが、通知はあっても為替はない。その晩、彼はいつものように団地の向かいのマグダの部屋を望遠鏡で覗く。マグダは毎晩恋人と愛し合う。トメクは無言電話をかけたり、ガス屋を彼女の部屋に呼んだりして二人の情事を妨害する。また毎朝彼女の顔を見るために牛乳配達の仕事を始める。ある日、マグダが再び為替の受取りに来るが、また未到着だった。トメクは彼女に為替の通知は自分が彼女に会いたくてでっち上げたもので、自分は毎晩彼女を覗き見しており、彼女が恋人と喧嘩したことも知っていると打ち明ける。その晩マグダはトメクに見せるため恋人をベッドに誘い、行為に入る直前に覗き屋のことを告げる。恋人は怒ってトメクを呼び出し、まだ子供のくせにと殴りつける。翌朝、トメクが牛乳配達に行くとマグダが呼び止める。覗きの理由を問われるままに、彼は彼女を愛していると告げ、午後にデートを約束する。デートの後、彼女は彼を部屋に連れ込み、半裸になって誘惑する。童貞のトメクが服も脱がぬまま射精してしまうと、彼女はこれが愛なのだと彼をからかい、トメクは言葉もなく帰ってしまう。マグダがなんとか謝ろうとしている間に、彼は手首を切って自殺を図る。マグダは彼の忘れたコートを届けに行って、彼が入院したと知る。それからというもの、彼女は彼がまだ戻らないかと朝は牛乳配達を見に行き、昼には郵便局を訪ね、夜は自室からオペラグラスでトメクの部屋をうかがう。そしてある日、トメクが郵便局の窓口に戻った。喜びに目に涙をため、マグダが窓口に向かう。じっと見つめ合う二人、そして彼が言う「もう覗きはしないよ」。

「デカローグ<第6話 ある愛に関する物語>」の解説

旧約聖書の“十戒”をモチーフに、人間世界の様々な問題、事件、感情、人間関係、運命を描いた10のエピソードからなる連作の人間ドラマ。それぞれ1時間ずつのエピソードで、当初テレビのミニシリーズを想定して製作されたが、ヨーロッパ各国の劇場で上映された。10の挿話はそれぞれに独立した作品となっているが、登場人物はいずれも同じワルシャワ効外の集合住宅の住人で、ある挿話の主人公が他の挿話に脇役として顔を見せる。監督は本作の評価がきっかけで国外に活動の拠点を移し、「ふたりのベロニカ」「トリコロール三部作(青の愛/白の愛/赤の愛)」のポーランドの名匠クシシュトフ・キェシロフスキ(95年死去)。製作のリシャルド・フートコフスキ、脚本をキェシロフスキと共同で手掛けるクシシュトフ・ピェシェヴィチ、音楽のズビグニェフ・プレイスネルは、いずれも以後キェシロフスキ監督の全作品に参加。全10話中第9話まで、それぞれ異なる役柄で登場する謎の青年はアルテュル・バルシス。ちなみに、第5話と第6話はそれぞれ劇場用長編映画に再編集され、「殺人についての短いフィルム」「愛についての短いフィルム」としてすでに公開済だが、構成やエンディングなどが異なるため掲載した。89年ヴェネチア映画祭国際映画批評家連盟賞、88年ヨーロッパ映画グランプリ受賞。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 1996年1月20日
キャスト 監督クシシュトフ・キェシロフスキ
出演グラジナ・シャポフォスカ オラフ・ルバシェンク ステファニア・イヴァンスカ アルテュル・バルシス スタニスラウ・ガウリク ピオトル・マチャリカ ラファト・インボロ ヤン・ピエショチンスキ マトゴルザタ・ロズニアトウスカ エム・チョジュナスカ ティー・グラドウスキ ケー・コペルスキ ジェイ・ミカレススカ イー・ジロコウスカ
配給 シネカノン
制作国 ポーランド(1988)
上映時間 58分

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最終更新日:2022-07-26 11:03:42

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