若獅子大名・二部作 作品情報

わかじしだいみょうにぶさく

第一部--徳川御三家筆頭、紀州家の嫡男松平長福に、将軍綱吉の娘鶴姫の輿入れ約束が決った元祿十年春。婚約を取り決めた紀州家江戸詰家老水野土佐は、これを機に国元家老安藤帯刀を退け、紀州五十方石を意のままにと謀んでいた。だが当の長福は腰元小萩を想っており、結婚を聴き入れない。好色の土佐は小萩に横恋慕していたが、長福との結びつきを知り嫉妬心も手伝って腹心金森庄兵衛らと二人の身辺を監督し出す。この時、小萩はすでに懐妊。老女松風にこれを聞いた長福は弟長七とも計り、無事出産をと剣の達人、近習上田益之進をつけ実家京都へ小萩を送る。益之進は一味の刺客佐々木の眼をくらまして隠遁。以後一年、幡州有馬の温泉で小萩は男児を出産、これを探知した佐々木も益之進には歯が立たず江戸に応援を頼む。益之進は元より小萩も多数の刺客に敢なく落命したが、赤子の竹若丸は子守りのおきちに護られて生命を全うすることができた。それから幾星霜。今は逞しい青年に成長した竹若丸は、彼の腕前を見込んだ石州浪人広瀬軍太夫からも剣術の修業を受け、武者修業へ出発することになった。だが、ある日、おきちの残した油紙包みを開いた竹若丸は、自分こそ紀州家の若殿と知った。彼に同情した軍太夫は一層の修業を積ませようと考え、京で道場を開く友人近藤平馬に竹若丸をあずけた。修練も積み、江戸へ発つ前おきちの墓参をと丹波に向う竹若丸は、街はずれで十八年間、彼を探し続けた刺客の佐々木らの銃口に直面。「お前は近習益之進と小萩の不義の子」という佐々木に、困惑の極に立つ竹若丸……。第二部--風前の灯と見えた竹若丸の生命も、虫の知らせで駈けつけた軍太夫と平馬の奮戦で救われる。汚名に悩みつつ、東海道を急ぐ竹若丸と軍太夫。見えがくれに後を追う一人の女を軍太夫の機転で捕えてみればお千代という江戸の女目明し。佐々木一味の依頼を受けていたのだが、いつか竹若丸の気性に惚れ込み、逆に道案内をつとめる。一行は刺客を避けて海路、江戸へ到着。お千代のすすめで竹若丸と軍太夫は、益之進の姉琴が内儀をしている一膳飯屋へ落着く。仔細を知らぬ二人も、女中のお染やお福、駕篭屋の茂十や当八、按摩の与ノ市や飴屋の正六らの厚意を喜びつつ、紀州家へ乗込む機会を待つ。さて、佐々木の報告で失敗を知った水野士佐は刺客の数を増し竹若丸を追究。また紀州では病に衰えた長福の看病に出府した安藤帯力が、山中、吉沢の近習が伴って来た平馬から竹若丸の近況を聞き喜ぶ。飴屋に変装し父との対面を狙う竹若丸は、いつか庶民生活に馴染み、お染との間にもほのかな恋が芽生える。だがやがて佐々木輩下の岡っ引弥吉が隠れ家を発見。、一味の大挙襲撃を退けた竹若丸は、軍太夫に内証で単身、紀州家へ乗込む。帯刀を監禁した土佐は己れが帯刀と偽って竹若丸に会う。その頃、一膳飯屋で協議する軍太夫ら。お千代は帯刀が土佐邸へ監禁されたと知らせてくる。偽者と竹若丸をののしる土佐も、老女松風の出現で今やこれ迄と逆上、竹若丸と刃を交えるに至る。そこへ土佐を救って駈けつけた軍太夫、長七ら。士佐は竹若丸の刃に倒れ、父子は固く抱き合う。程なく、一膳飯屋の面々に送られ、品川から旅立つ竹若丸、お染、軍太夫。我子を市井に置いておこうと決意を下した長福も、久々の床離れで、その顔はまことに明るい。

「若獅子大名・二部作」の解説

尾崎倉三の原作から「浅草三四郎」の小川正が脚色、「母孔雀」の伊賀山正光が監督する連続時代劇。撮影は「風雲黒潮丸 完結篇 南海の若武者」の杉田正二。主な出演者は「純情部隊」の東千代之介、星美智子、「新諸国物語 七つの誓い・三部作」の波島進、三笠博子、「やくざ大名」の風見章子、「旗本退屈男 謎の紅蓮塔」の丘さとみ、ほかに坂東簑助、原健策、徳大寺伸などが顔を揃える。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督伊賀山正光
原作尾崎倉三
出演東千代之介 徳大寺伸 中野雅晴 丘さとみ 風見章子 波島進 八汐路佳子 原健策 清川荘司 坂東簑助 立松晃 津村礼司 阿部九洲男 堀正夫 月形哲之介 大丸巖 青柳竜太郎 木南兵介 近江雄二郎 星美智子 坂東三津右衛門 不二和子 尾上華丈 円山栄子 矢奈木邦二郎 七条友里子 岸田一夫 富久井一朗 岸井明 梅村直次郎 河村満和 千舟しづか 佐々木松之亟 三笠博子 時田一男 山内八郎 若水美子 楠本健二 小田部通麿 加藤浩 若井緑郎
制作国 日本(1957)

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最終更新日:2022-07-26 11:03:47

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