妖刀物語 花の吉原百人斬り 作品情報
ようとうものがたりはなのよしわらひゃくにんぎり
武州佐野の次郎左衛門は、真面目な商人だったが、生れながらの醜い顔に痣があった。この痣が彼の人生を狂わせたといえる。幾度目かの見合いの帰り、さそいにのって次郎左衛門は吉原の門をくぐった。一夜、遊女玉鶴の情けを受けた。「心の中まで、痣があるわけはないでしょ」この言葉を次郎左衛門は忘れることができなかった。が、玉鶴はいやしい遊女で、栄之丞というやくざの情夫があり、太夫の位に憧れを抱いていた。次郎左衛門は吉原に居続けする上、引手茶屋の女将に五十両預けて女の身請けを夢みるようになった。玉鶴に太夫の位をねだられて、夫婦約束の上承知した。折から、信州一円に雹が降り、桑の木が潰滅、下請け業者の生死にかかわる事態となった。武州に帰った次郎左衛門は、思案のあげく、捨て児時代の守り刀を手離すことに決めた。その金で玉鶴を妻に迎え、故郷に帰って仕事に精を出すつもりだった。しかし、兵庫屋に駈けつけてみると、すでに二代目八つ橋太夫の襲名が内定していた。玉鶴の本音を聞いた。次郎左衛門は一旦武州に帰り、家屋、身代を一切整理して再び吉原にきた。兵庫屋の表は黒山の人だかり、二代目八ツ橋の玉鶴が豪華な盛装で現われた。出世披露目の道中で、次郎左衛門が行列の群に飛びこんだ。その右手には村正が握られていた。あっという間に男衆を斬った。うろたえまわる女を、男を、次々に斬った。八ツ橋を追い、一太刀斬り下げた。彼女の死体のそばで、次郎左衛門は叫び続けた。「寄るな、この女に手を触れるな、これはわしの女房だ、わしの女房だ……」。
「妖刀物語 花の吉原百人斬り」の解説
歌舞伎の『籠釣瓶花街酔醒』に材をとり、「かくれた人気者」の依田義賢が脚本を執筆、「酒と女と槍」の内由吐夢が監督したもので廓を舞台にした悲劇。「暴れん坊兄弟」の吉田貞次が撮影した。
公開日・キャスト、その他基本情報
キャスト |
監督:内田吐夢
出演:片岡千恵蔵 水谷良重 水野浩 松浦築枝 片岡栄二郎 青山京子 岡村文子 木村功 原健策 千秋実 星十郎 沢村貞子 利根はる恵 三島雅夫 高橋とよ 花柳小菊 千原しのぶ 霧島八千代 玉喜うた子 飛鳥井かほり 松風利栄子 江崎ひで子 中村時之介 尾形伸之介 凰衣子 桜川忠七 同社中 加藤浩 阿部九洲男 北龍二 源八郎 浪花五郎 古石孝明 村居京之輔 丸平峰子 大浦和子 紅かほる 青葉のり子 高松錦之助 野村鬼笑 熊谷武 滝千江子 光美智子 矢奈木邦二郎 中村幸吉 大崎四郎 八汐路佳子 疋田圀男 |
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配給 | 東映 |
制作国 | 日本(1960) |
上映時間 | 109分 |
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