旅の重さ 感想・レビュー 1件

たびのおもさ

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P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2023-12-22

日本のクロード・ルルーシュこと、映像叙情派の斎藤耕一監督の「旅の重さ」は、当時、覆面作家などと言われ話題を呼んでいた、素九鬼子の同名小説を映画化した作品で、主演の高橋洋子の初々しい演技が素晴らしいですね。

貧しい絵描きで男出入りの多い母親(岸田今日子)や、学校生活が嫌で家を飛び出した16歳の少女(高橋洋子)が、四国遍路の一人旅に出る。

旅の出来事が、スケッチ風な美しい映像で展開していき、ところどころに、母親に送る手紙のような、少女の瑞々しいモノローグが入り、真っ青な夏の空に吸い込まれていく。

結局、少女は中年の行商人(高橋悦史)と夫婦生活に入る。

吉田拓郎の「今日までそして明日から」が流れる中、まだ初々しい高橋洋子が、山間の田園を歩く姿が、名手・坂本典隆の流麗なカメラワークによる美しい撮影で捉えられていて、新鮮で瑞々しい感動を与えてくれますね。

身体も心も大人に移りつつある少女の不均衡な精神と、その反面にある女としての本性が見事に描かれた作品だと思います。

最終更新日:2024-01-01 16:00:01

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