赤目四十八瀧心中未遂 作品情報

あかめしじゅうやたきしんじゅうみすい

すべてを捨てたのか、それとも、すべてに捨てられたのか……。判然としないが、ただひとつ確かなことは、この世に自分の居場所がない、ということだった。そう思い定めて、男(大西滝次郎)は尼崎にたどり着いた。男の名は、生島与一。焼鳥屋「伊賀屋」の女主人・勢子ねえさん(大楠道代)は、生島が薄暗い店先に立ったとき、身を捨てようとしながらも捨てきれないでいる生島の性根を、一瞥で見抜く。生島は、勢子にあてがわれた古いアパートの一室で、来る日も来る日も、焼き鳥屋で使うモツ肉や鳥肉の串刺しをして、口を糊するようになる。串1本に対して3円。1日に1000本は刺してゆく。周囲の誰もが、勢子すらがそんな生活をしていて、よく平気でいられるもんだな、と生島に言う。しかし、男はただひたすらに串を刺してゆく。生島の前に現れたのが、若く美しい女・綾(寺島しのぶ)だった。猛禽のような凄い目の光を放つ女。その目に魅入られたら、もはや逃れる術はない。自らは「ドブ川の泥の粥すすって育った女やのに」と言うが、菩薩のような微笑をたたえた女でもある。親子ほどの年のはなれた刺青師・彫眉(内田裕也)と暮らし、女の背中には一面に迦陵頻伽の刺青が翼を広げていた。臓物の臭いのこもる生島の部屋で、彼女が白いワンピースを脱ぐと、背中の迦陵頻伽がほの暗い光の中に揺れる。二人はやがて関係をもち、綾は生島に自分を連れて逃げるよう懇願する。綾を連れ、生島は尼ヶ崎、大阪天王寺、赤目四十八瀧をさ迷う。しかし、ふたりは死にきれず大阪へ戻るのであったが、その途中、綾は生島と別れ、ひとり博多へ向かうのだった。

「赤目四十八瀧心中未遂」の解説

直木賞を受賞した車谷長吉の『赤目四十八瀧心中未遂』(文藝春秋社)を、荒戸源次郎によって映画化。寺島しのぶが映画初主演を果たし、ヒロインを演じる。主人公の男に扮するのは、新人・大西滝次郎。ほか大楠道代、内田裕也らが共演。2003年9月25日より大阪・あべの橋近鉄アート館にて先行上映。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 2003年10月25日
キャスト 監督荒戸源次郎
原作車谷長吉
出演大西滝次郎 寺島しのぶ 大楠道代 内田裕也 赤井英和 麿赤兒 新井浩文 大楽源太 大森南朋 榎田貴斗 秋山道男 渡辺謙作 大村琥珀 沖山秀子 内田春菊 絵沢萠子 牧口元美 上杉幸子 森下能幸 金子清文 江森檜男 森山一裕 貴山侑哉 武田一度 狸穴善五郎 小園久史 小島博幸 金堂修一 岩井美智子 辻本晴夫 崎山雅隆
配給 赤目製作所
制作国 日本(2003)
年齢制限 R-18
上映時間 159分

ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。

P.N.「pinewood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2022-03-26

ラジオ深夜便の明日への言葉は本篇ヒロインの寺島しのぶ。読後に読者葉書にこの役は自分にしか出来ないと想い思わず投函して仕舞ったエピソードや老け役にチャレンジする心根や子育て等に就いて興味深く聴く

最終更新日:2022-07-26 11:03:39

広告を非表示にするには