変奏曲 作品情報
へんそうきょく
10数年ぶりに再会した過去をひきずる男と、過去を捨てた人妻との再生を賭けた恋をめくるめくセックスの官能の中に描く
1972年、夏のパリ。工芸品の買い付けにプラハに旅立った夫を送った杏子は、とあるカフェで森井統三と再会した。男の姿は、遠い時間を逆流させ、10数年前の彼を思い出させた。大学生の頃、学園祭で人形芝居を公演していた杏子は、警官に追われて楽屋に飛びこんで来た森井を助けた。このことが二人の結びつきのきっかけだった。その年の秋、森井は警察に追われて、突然、杏子の前から姿を消した。その森井が、今、杏子の前にいる。そして、今なお、国際的な政治組織に属し、運動を続けている。森井は杏子を自分の部屋に誘った。杏子はベッドの上で森井に寄りそった。だが、彼は危険な活動を続けているうちに神経をすり減らし、不能に陥っていた。杏子は不意に森井に対し暖かな感情をおぼえた。「この街をはなれましょう、二人だけで」杏子は少しの迷いもなく彼に囁いた。
「変奏曲」の解説
原作は五木寛之の同名小説。脚本は市古聖智、監督は脚本も執筆している「混血児リカ ひとりゆくさすらい旅」の中平康、撮影は浅井慎平がそれぞれ担当。(キネマ旬報 全映画作品データベースより抜粋)
公開日・キャスト、その他基本情報
キャスト |
監督:中平康
出演:麻生れい子 佐藤亜土 松橋登 パトリシア・ブールドレル ギイ・デュラン キャロリーヌ・ガブリエル |
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制作国 | 日本(1976) |
ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。
P.N.「pinewood」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2017-10-04
本編の浅井慎平の自然光のカメラワークはネストール・アルメンドロスの撮影術を連想させる。麻生れい子と佐藤亜土のmysteriousなコンビはアジア映画の〈ピクニック〉 とベルトリッチ監督作品のテイストが感じられた。世紀の演奏を他所にカーテン越しに垣間見るベッドシーンの奔放さとスリリングさ等異色の実験映画を目撃した感が在る。ワースト・イズ・ベストの典型的な中平康監督の遺作!