日時:1 月 29 日(火)
場所:スペース FS 汐留
登壇者:安田顕、倍賞美津子、松下奈緒、村上淳、石橋蓮司、大森立嗣監督
宮川サトシの大人気エッセイ漫画を映画化した、『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』が 2 月 22 日(金)より全国順次ロードショーとなる。2013 年に WEB 漫画サイト「くらげバンチ」にて連載がスタートした大人気エッセイ漫画「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」(新潮社刊)。作者の宮川サトシが実際に体験した母との最期の日々から葬儀、そしてその後の生活の日々を母親への溢れる愛情をふんだんに散りばめて描き、Amazon レビューや SNS で話題沸騰となり、500 万 PV を記録した話題作の映像化が実現!メガホンをとるのは、『さよなら渓谷』『日日是好日』などで高い評価を得ている大森立嗣監督。主演には『愛しのアイリーン』「下町ロケット」などの話題作で、硬派な役から個性的な役まで幅広く演じる安田顕。母・明子には、黒澤明・今村昌平など数多くの名監督とタッグを組んできた倍賞美津子。サトシを支える恋人・真里に NHK 連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」「まんぷく」の松下奈緒、父と兄には、石橋蓮司、村上淳と日本映画界を代表する実力派俳優が集結した。1 月 29 日には東京・スペース FS 汐留で完成披露試写会が行われ、主演の安田顕をはじめ共演者とスタッフが登壇し、上映前に舞台挨拶を行った。
母を献身的に支える漫画家志望の宮川サトシ役の安田は、ベテラン女優・倍賞との初共演を「光栄なこと」と喜ぶと、パワフルなサトシの母・明子役の倍賞も「母親思いの優しい息子です」と相思相愛。安田が「倍賞美津子さんの醸し出す穏やかな雰囲気のおかげで、ゆっくりとした素敵な時間が流れたという思いがある」と 2 年前の撮影を振り返ると、倍賞は「初日が暑い日で、走るところから始まってやっていけるのかと思ったけれど、終わるころには涼しくなって、素敵ないい時間を過ごせた映画になりました」と懐かしんだ。さらに安田に向かって「こんな母親思いの息子っているんですねぇ~」と語りかけると、すかさず安田は「私はすぐに親元を離れてしまい、あまり連絡もしていないので、いい息子だとは…」と照れるように頭をかいた。
サトシの恋人・真里役の松下は「穏やかな岐阜というのどかな場所で育った真里さんは、優しさの中に厳しさのある女性。宮川家の男性はお母さんがいないとダメなんだとヒシヒシ感じました。男性にとってお母さんというのは偉大な存在」と実感を込めると、安田は「松下さんは『私は色々なタイプの男性の奥さんをやっていて、いつだっていい奥さんになる準備はできているんだけどなぁ』という話をされていた」と暴露。それに松下は「いままで色々なタイプの男性の奥さんをやらせてもらってきたけれど、サトシさんのようなタイプは初めて。子供に戻っちゃたようなところが好き。愛おしかった」と優しい微笑みを浮かべながら話していた。
サトシの兄・祐一役の村上は「石橋蓮司さんは自分にとっての大スーパースター。小手先ではいかないぞという決意で臨んだ」と意気込みを明かすと、サトシの寡黙な父・利明役の石橋は「素晴らしかったね」と絶賛。また石橋は 2005 年の映画『ゲルマニウムの夜』以来となる大森監督とのタッグに「今ではこちらが『監督!』と頭を下げなければいけなくて、立場が逆転になりましたね(笑)」と親しさをにじませるジョークで笑わせた。
大森監督は「この顔ぶれを見ると、温かい家族なのか、ヤクザ一家なのかわからない(笑)」と盛り上げる一方で、琵琶湖での安田・村上・石橋ら親子の裸での入水シーンに触れて「服を脱がすことで撮影的に大変になるかと思ったけれど、倍賞さんの『全部脱がせなさい!!』のひと言ですぐに決めました!」と撮影の舞台裏を明かし、それに石橋は「僕は抵抗しました(笑)。昔は脱いだけれど今は自信がないので…」と告白した。男性陣を脱がせた倍賞はこのやり取りを母性溢れる笑みで見守っていた。さらに安田は同シーンの村上の絶叫熱演に圧倒されたといい「リハから手を抜かず、冒頭から、持っているポテンシャルや力をぶつけて来られるので、ただただ涙が止まらなかった」と舌を巻くと、当の村上は「もっとその話をしてくれる?」と照れ隠しのおねだりをし、会場を沸かせた。
また、「“遺骨”を食べたいと思うほどに、母親を愛おしく思う」というタイトルにちなんでそれぞれが“食べたい”と思うほどに愛しているものをフリップで発表。「麦焼酎」という安田は「飲むことしかできず、食べられないことが残念」と悔しそう。ハードな作風が多い大森監督は「空に浮かぶくも」と意外とロマンチックで共演者たちを沸かせ、「酒」と挙げた石橋に「やっぱり監督は違うね~」といじられていた。松下は得意な「ピアノ」で、村上は映画俳優らしく「現場(あらゆる)」と答えた。
一方、倍賞のフリップには「葛餅」と記されていたのだが、それを安田は「葛飾ですか!?」と読み間違い。すぐに勘違いに気づくも「葛飾だったらお姉さん(映画「寅さんの」さくらさん)になっちゃう~!」と上手くまとめ場内大爆笑となった。
最後に大森監督は「たくさんの方に観ていただきたい作品です!面白かったらぜひたくさんの方に拡散して下さい」とアピールし、安田は「少し怖いタイトルかもしれませんが、見終わった後は笑顔であたたかい気持ちになっていただけると思います。僕自身がそうでしたので。そして撮影に協力していただいた岐阜、大垣市も思い出深いですし、宮川さんのお母さんにも感謝しています」と各所に謝辞を述べつつ、全国公開に期待を込めた。