〈あきらめ症候群〉となった娘を救えるか?「生存放棄 クワイエット・ライフ」

〈あきらめ症候群〉となった娘を救えるか?「生存放棄 クワイエット・ライフ」1
〈あきらめ症候群〉となった娘を救えるか?「生存放棄 クワイエット・ライフ」2

提供:キネマ旬報

スウェーデンで報告された、難民申請中の子どもたちが患う〈あきらめ症候群〉。強烈なトラウマや不安が原因で、歩くことも話すことも食べることも、目を開けることさえできなくなるとされる。この症候群を題材に、ロシアからスウェーデンへ逃れてきた一家の危機と選択を描いた「生存放棄 クワイエット・ライフ」が、12月11日(金)より新宿シネマート、ヒューマントラストシネマ渋谷、アップリンク吉祥寺ほか全国で公開される。ポスタービジュアルが到着した。

母国ロシアで迫害されたセルゲイとナタリアは、二人の娘を連れてスウェーデンへ逃れてきた。そして労働と言語習得に励みながら、普通に暮らせる日を待っていたが、難民認定申請は却下されてしまう。すると下の娘カティアが〈あきらめ症候群〉で倒れ、彼女を目覚めさせるには家族の安全と希望を取り戻すことが必要だと医師に告げられた。そこでセルゲイとナタリアは再審査に望みを繋ごうと、上の娘アリーナに偽りの証言をさせる──。

作品は第81回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門に出品され、インターフィルム賞を受賞。監督のアレクサンドロス・アブラナスは、次のように語っている。

「共同脚本家のスタヴロス・パムバリスと私は2人とも、クーデターや戦争、住む場所を追われた記憶がまだ生々しく残る国で生まれ育ちました。自ら体験したものであれ、前の世代から受け継いだものであれ、政治的混乱のトラウマは私たちの血の中にあるのです。近年の世界の出来事が進行する中でこの物語を練り上げてきたことで、私たちにとって、その背景はいっそう重みを増しました。周囲の至るところで戦争が起こっているように見えます。そこで生まれる難民たちは、西側社会によって、ますます二級の人間として扱われるようになっています。一方で、世界は気候危機の渦へと落ち込んでいるように見えます。この危機は私たち全員に影響を及ぼし、すでに新たな気候難民の波や、経済的な理由による移住を生み出しています。政治の仕組みがこうした事態に示してきたのは、冷淡さの増大、ポリティカル・コレクトネス(政治的な正しさ)、そして壁を築こうとする姿勢です。共感するのではなく、無関心になることです。この映画で私たちは、人間性と愛を通して、そうしたあり方に対抗するものを見出そうとしました」

「何百万人もの子どもたちが、戦争や貧困、政治的抑圧によって住む場所を追われ、人間らしい暮らしを求めて移動しています。しかし、決して楽観できない現実を知りながら、親はどうすれば子どもたちを守り、安定した生活を与えられるのでしょうか」

「庇護申請を却下され、末娘が〈あきらめ症候群〉に陥ったとき、父セルゲイと母ナタリアはまさにその問題に直面します。これは深い絶望の状態で、スウェーデンだけでも何百人もの子どもたちが陥っています。懸命の努力さえすれば、何もないところから何かを生み出せるのでしょうか。結局、幸福は私たち自身がつくり出すものなのでしょうか。本作はどんな代償を払ってでも希望と安定を取り戻そうとする彼らの闘いを、そして非人間的な状況の中に光を見出そうとする姿を描いた映画です」

「生存放棄 クワイエット・ライフ」監督:アレクサンドロス・アブラナス
脚本:スタヴロス・パンバリス、アレクサンドロス・アブラナス
出演:チュルパン・ハマートヴァ、グリゴリー・ドブリギン、ナオミ・ランプ、ミロスラヴァ・パシュティナ、エレニ・ルシヌー
2024年/フランス・ドイツ・スウェーデン・ギリシャ・エストニア・フィンランド/ロシア語・スウェーデン語・英語/99分/カラー/スコープサイズ
原題:QUIET LIFE 字幕翻訳:加賀爪琴
提供:クロックワークス 配給:ミッドシップ 配給協力:Lino 宣伝:長村亜紀
© les films du worso
公式サイト:mid-ship.co.jp/quietlife

最終更新日
2026-11-04 16:04:18
提供
キネマ旬報(引用元)

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