映画感想・レビュー 44/2520ページ

追想(1975):P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-14

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ドイツ兵を一人づつ、独自の方法で殺していくジュリアンの行為は、冷酷非情な復讐の鬼と化して、火炎放射器を放つシーンなどで描写されていますが、ロベール・アンリコ監督は、決して激情のみに走る事なく、映画全編を通して、そのソフトで温かな語り口を失いませんが、だからこそ、よけいに映画を観終わった後に残る、心の底からの恐ろしさというものが感じられたのかもしれません。

追想(1975):P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-14

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ジュリアンの生き甲斐としていたものの全てが、一瞬の内に音をたてて無残にも崩壊していき、彼の心の奥底に激しく噴き上げてくる憎悪の感情。

回想シーンに出てくる妻クララのあまりにも美しく、幸福そうな笑顔に満ち溢れていた姿を思い出す事で、彼の憎悪の念が、我々観る者の気持ちと一体化し、より一層心の中に深く響いてきます。

この回想シーンのロミー・シュナイダーの溢れんばかりの光り輝くような美しさは、例えようがないほど素晴らしく、よけいに、その後に訪れる悲劇との乖離が痛ましくも哀れに見えてなりません。

"戦争は不可抗力であったかもしれないが、妻子への残虐な行為は不可欠であったのか"と心の中に問いかけるジュリアンの報復の執念は、普段は大らかな、肥満体で温厚な小市民のイメージのフィリップ・ノワレが演じる事で、不気味なほどの恐ろしさでドイツ兵に向けられ、その変貌の凄まじさが、我々観る者の心を激しく揺り動かすのです。

追想(1975):P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-14

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我々日本人の場合ですと憎しみの感情もいつしか悲しいあきらめの感情に変わっていきがちですが、西欧人の場合、愛情のエネルギーも、もの凄く大きいだけに、その裏返しでもある憎悪のエネルギーも、一段と激しく熱いものがあるような気がします。

ジュリアンの残虐な行為を行ったドイツ兵への報復も徹底しており、憎しみの執念がたぎっています。
彼は昔、使用した"古い銃"を持ち出して、報復のためドイツ兵を次々と殺害していきます。

かって知ったる場所の優位性(秘密の通路や抜け穴等)を活かした、その周到な実行の仕方、行動の機敏さ、執念の炎の燃えさかるジュリアンの報復には、人間の尊厳を傷付けられた者しか持ちえない、激しい何かを感じてしまいます。

ロベール・アンリコ監督は1931年4月の生まれで、この「追想」の時代背景になる1944年頃は13歳の少年であり、その頃の時代の印象が心の中に鮮明に残像として残っているものと思われ、ジュリアンの妻子が殺された時の、真っ赤な血のイメージは鮮烈ですが、それは恐らくロベール・アンリコ監督自身の"少年時代の心象風景の反映"なのかもしれません。

追想(1975):P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-14

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第二次世界大戦末期の時代を背景に、映画の前半で、中年医師のジュリアン(フィリップ・ノワレ)とその美しい妻のクララ(ロミー・シュナイダー)との愛情に満ちた幸福そのものの家庭生活の描写があります。

特に回想シーンでのこの夫婦の最初の出逢いの頃の、甘くも希望に満ちた追想は、実に繊細なムードで描かれていますが、やがてこの映画が、一見ソフトで温かいムードでありながら、実は極めて残酷で執念にも満ちたものを内包している事が徐々にわかってきます。

ドイツ軍が、最後のあがきでフランス国内で残虐な行為を行ってきている中、ジュリアンは、友人の勧めもあり、妻子を自分が昔、育った故郷の村の、今は別荘になっている古城へ疎開させます。

疎開後しばらくして、何の連絡もない事を不審に思ったジュリアンは、妻子の疎開先へ急ぎ出かけます。
そこでジュリアンは、ドイツ兵によって無残に射殺された娘、火炎放射器で焼き尽くされ石垣に染みついた黒影と化した、妻の無残な姿に対面する事になります。

普段は、温厚でおおらかなジュリアンの心に、これ以上の激しい憎悪はないだろうと思われるほどの憤怒の炎が燃え上がります。

追想(1975):P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-07-14

この映画は、戦争の無残さを人間の尊厳を賭けた一人の男を通して描いた、ロベール・アンリコ監督の映画史に残る不朽の名作だと思います。

1975年製作のフランス映画「追想」は、原題を"古い銃"と言い、永遠の青春レクイエムの名作である「冒険者たち」のロベール・アンリコ監督の映画史に残る名作で、フランスのアカデミー賞に相当する、第1回セザール賞の最優秀作品賞、最優秀主演男優賞(フィリップ・ノワレ)、最優秀音楽賞(フランソワ・ド・ルーベ)を受賞していますね。

クエンティン・タランティーノ監督が「イングロリアス・バスターズ」で、この「追想」にオマージュを捧げて撮ったのはあまりにも有名な話ですね。

映画の冒頭で描かれるフランスの田舎の一本道を、親子三人が自転車で走るのをスローモーションで捉えた、ソフトで心温まるシーンからすでに「冒険者たち」で魅了したロベール・アンリコ監督独特の映像美の世界にすっと引き込まれてしまいます。

クリスタル殺人事件:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-14

せっかく、お金をかけ、豪華な役者も集めたのに、何ともったいないことかと、つくづく思います。
確かに、顔ぶれの楽しさ、原作の骨組みの確かさで見せてくれますが、アガサ・クリスティーの大ファンとしては、文句なしに面白かったと言えないのが残念です。

クリスタル殺人事件:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-14

芸達者なアンジェラ・ランズベリーですから、決してミス・キャストではなく、好演していると思いますが、私のイメージから言えば、多少派手すぎる感じがしないでもありません。

この映画の舞台となるセント・メアリー・ミードの村は、よく雰囲気を出して作られていて、名手クリストファー・チャリスのカメラも実に美しい。

ただ、監督が007シリーズのガイ・ハミルトンというのが観る前に気になっていて、その不安はどうも半ば的中してしまいました。
英国ミステリーの、生活感のあるムードがどうにも出て来ないのです。

そして上映時間が1時間45分というのも、はっきり言って短かすぎると思います。
ここはやはり、2時間以上かけて、じっくりと描き込んでもらいたかった。
大体、アガサ・クリスティーの作品は、世界中でかなりよく知られているのですから、話がわかっている観客をも、楽しませるように作ってくれなくては困るのです。

クリスタル殺人事件:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-14

この顔ぶれを観ていると、リズとロック・ハドソンは「ジャイアンツ」で夫婦役で共演していたなとか、キム・ノヴァクはヒッチコック監督の「めまい」で妖艶な魅力があったなとか、トニー・カーティスはジャック・レモンとのコンビでの「お熱いのがお好き」での女装がなかなか良かったなとか、様々な映画の思い出が走馬燈のように、次々と脳裏をよぎってしまいます。

かつての美男美女が、今やどこかうさんくさい、一癖ありそうな風貌となって、いかにも誰もが犯人らしく見えてくるから愉快です。
それから、忘れてはならない女優として、ジェラルディン・チャップリンが秘書役でなかなか好演していると思います。

そして、肝心の主人公のミス・マープルはアンジェラ・ランズベリー。
エルキュール・ポアロのアルバート・フィニー、ピーター・ユスティノフもそうですが、こういうよく親しまれた名探偵というのは、誰もが自分なりのイメージを持っていますから、どうしても違和感があるのはやむを得ないことだと思います。
私個人の好みとしては、エルキュール・ポアロは断然、アルバート・フィニーが良かったですね。

クリスタル殺人事件:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-14

セント・メアリー・ミードという英国の小さな田舎町から一歩も出たことがないという老嬢ミス・マープルが、その鋭い"人間観察"を通して事件を鮮やかに解決していきます。

その平和な田舎町へ、映画のロケ隊がやって来て、もう、てんやわんやの大騒ぎ。
そして、その歓迎パーティの席上で殺人が起きてしまいます。

この映画を原作を未読の人が見たら、どう思うのでしょうか?
原作をそれこそ深く知っている私としては、その辺の判断がつきません。

しかし、往年の人気スターを集めて、この田舎町へ乗り込ませたアイディアは実に楽しい。
エリザベス・テイラー、キム・ノヴァク、ロック・ハドソン、トニー・カーティス。

クリスタル殺人事件:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★☆☆
投稿日
2024-07-14

「オリエント急行殺人事件」「ナイル殺人事件」で、アガサ・クリスティー原作のミステリーを、豪華キャストで映画化すれば大ヒット間違いなしというやり方が定着したのか、その第3弾がこの「クリスタル殺人事件」ですね。

しかし、それにしても何とセンスのない邦題なのか。本当に安っぽい題名になっています。
時流に便乗というか何というか、アガサ・クリスティーを愛する一ファンとしては、苦情を言わずにはいられない気持ちになります。

これでは、原作の邦訳名の「鏡は横にひび割れて」のほうが、どれだけいいかわかりません。
いつもセンスの良い、素敵な邦題を付けていた東宝東和とも思えぬ、"悪題"ですね。

それはともかく、今までの2本がエルキュール・ポアロ物だったのに対して、今度の作品はアガサ・クリスティーのミステリーを代表するもう一人の名探偵、ミス・マープルの登場です。

殺人狂時代:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-14

偏執狂患者を暗殺者に仕立てる「大日本人口調節審議会」なる謎の組織に命を狙われた男が、日常品を武器に撃退するアクション・コメディ仕立てで、岡本喜八監督が大いに遊びまくった痛快作だと思います。

主演の仲代達矢のとぼけた三枚目ぶりや、団令子のお色気、がらっ八的な子分役を演じた砂塚英夫に、暗殺団のボス、溝呂木博士を怪演した天本英世など、まさに奇想天外なお話を、キャラクターの掛け合いでグイグイと引っ張る戦略が見事に功を奏し、ダンディズムとモダンが融合した、笑えるハードボイルドになっているところは、岡本喜八監督ならではのうまさだ。

この映画はまた、モンキー・パンチの「ルパン三世」に大きな影響を与えたことでも有名で、スタイル的には都築道夫なのだろうが、峰不二子のルーツは、間違いなく団令子だろう。

殺人狂時代:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-07-14

この岡本喜八監督のカルト映画中のカルト映画「殺人狂時代」は、面白ミステリーの元祖、都築道夫の「なめくじに聞いてみろ」が原作で、元々、日活が宍戸錠で映画化する予定だった脚本が、巡り巡って岡本喜八監督のところに回ってきたという、いわくつきの作品なんですね。

したがって、活劇路線の日活と岡本喜八監督のテイストが融合した、なんとも東宝カラーに合わない"面白映画"の誕生となったわけです。

ところが、完成された作品が、あまりのカルト性のため、案の定オクラ入りとなって、7,8カ月後にひっそり公開という憂き目にあっているんですね。

とにかく、都築道夫の大ファンを自認する岡本喜八監督としては、キャラクターからディテールまで凝りまくった、モダン・ハードボイルドとも言うべき快作なのですが、時代を先取りし過ぎたところが、理解されなかったのかも知れません。

エアポート’77 バミューダからの脱出:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-14

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皆を助けるために、進んで海の中へ入っていった科学者が、一瞬の事故から命を落とし、海上に浮かび上がっていき、それを見て、初めて夫への愛を理解する妻のリー・グラントの指には、大きな指輪がはめられていたのですが、あれは、彼女のそれまでの虚飾に満ちた生活が描き込まれていたのだと思うのです。

そしてまた、助かった時、オリヴィア・デ・ハヴィランドとジョセフ・コットンが、しっかりと指と指を絡ませるシーンには、まさに生きている実感が込められていたのではないかと思う。

この大きなスペクタクル・ドラマの中で、小さな指が人間の心を語るなんて、ジェリー・ジェームソン監督はなかなか憎い演出をしてくれます。

そして、一度は助けられながら、また救助に引き返した機長の勇気。
機長だから当たり前と言えばそれまでなのですが、スチュワーデスが震えていた時、彼は言うのです。
「僕も怖い。しかし、我々が助けなければ駄目なんだ」と。

私はここに、人間性を裸にした中での”勇気の真実”を見たように思うのです。

エアポート’77 バミューダからの脱出:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-14

そして、ドラキュラ役者として一世を風靡したクリストファー・リー。
この人は科学者役。彼は実際、大学で教鞭もとっており、大変なインテリ俳優なのです。
その彼を理解出来ずに酒びたりの奥さんが「シャンプー」のリー・グラント、機長を愛するスチュワーデスに「ロングウェイ・ホーム」のブレンダ・ヴァッカロ。

そして、この人が出てくると、必ずジャンボ機は助かるというシリーズのスター、ジョージ・ケネディが、お馴染みのパトローニ役で登場している。

また、乗客の衣装も豪華絢爛で、「ローマの休日」などでアカデミー賞をたくさん受賞しているイデス・ヘッド女史のデザインによる衣装で、もう目を奪われてしまいます。

この作品は、アメリカ海軍や沿岸警備隊の全面協力で、スケールの大きな撮影が可能となったわけですが、その一方で、”人間の指”という小さな部分でも、実に細かい印象的な演出がなされていたと思う。

エアポート’77 バミューダからの脱出:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★
投稿日
2024-07-14

この映画「エアポート’77 バミューダからの脱出」は、「大空港」「エアポート’75」に続く、航空パニック・シリーズの第3弾となる作品。

今回はジャンポ・ジェット機が遭難して、何と海の底に沈んでしまうのです。
しかも、その場所が、あの多くの謎に包まれたバーミューダ・トライアングル。

レーダーにもキャッチされず、無線も届かない。
さあ、乗客はどうなるのか? —-というハラハラ、ときどきする展開となっていきます。

この乗客が様々な人生を背負っているという面白さが、このシリーズの見どころなのですが、しかも、それを豪華なオールスターで描いているところがワクワクさせられるのです。

今回は機長がハリウッド映画界きっての名優ジャック・レモン。
彼はコメディ演技からシリアスな演技まで幅広い芸域を持つ、希代の演技派俳優ですね。

ジャンボ機の持ち主が「グレン・ミラー物語」「裏窓」のジェームズ・スチュアート。
乗客が「風と共に去りぬ」のオリヴィア・デ・ハヴィランド、「第三の男」のジョセフ・コットン—と、懐かしの俳優が顔を揃えていて、嬉しくなります。

さよなら子供たち:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-13

そして、そのうちの一人、ジャン(ラファエル・フェジト)は、ジュリアンと同じクラスになり、やがて二人の少年の間に友情が芽生えていくのです。

しかし、全ては避けることの出来ない悲劇的なクライマックスへと収束していくことになります。
ルイ・マル監督は、まるでアーチェリーの射手のように、狙いを定め、ゆっくりと弓を引き絞るのです。

そして、ラストの一瞬、矢は放たれ、我々観る者の心を真っすぐに射抜くのです————-。

ルイ・マル監督は、間違いなく彼の生涯で最も重要な、意味ある作品を撮ったのだと思います。

尚、この映画は1987年度のヴェネチア国際映画祭で、最高の作品に授与される金獅子賞を受賞していますね。

さよなら子供たち:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-07-13

フランスのヌーヴェル・ヴァーグの旗手、ルイ・マル監督が撮った「さよなら子供たち」は、戦争が引き裂いた二人の少年の間に芽生えた友情と別離を、感傷に訴えることなく淡々と描いた珠玉の名作だと思います。

この映画「さよなら子供たち」は、1977年以来、創作活動の場をアメリカに移していたルイ・マル監督が、10年ぶりに母国フランスに戻って撮った、”魂を揺さぶる”秀作です。

映画を観終えた後、目頭が真っ赤になっていた自分がそこにいました。
ルイ・マル監督は、かつてなく自伝的色彩の濃いこの作品で、感傷に訴えることを意識的に避けているような気がします。

第二次世界大戦下のフランスで過ごした自身の少年時代の痛ましい記憶を扱いながら、驚くほど抑制の効いた映画を撮ったと思います。

主人公の12歳の少年、ジュリアン(ガスパール・マネッス)は、ルイ・マル監督の分身だと思いますが、このジュリアンは、戦争を避けて、ファンテーヌブローに程近いカトリックの寄宿舎に疎開することになります。

そこに転入生3人が入って来ますが、彼らは実は神父がゲシュタポからかくまっているユダヤ人なのですが。

竹山ひとり旅:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-13

東北の雪景色の厳しい美しさ、旅芸人たちの人なつっこい人間味、民衆芸術の生みの苦しみ、そして母もの、夫婦愛ものとしての悲愴なまでの悲しみなど、様々な良さが渾然一体となった秀作だと思う。

竹山ひとり旅:P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-13

そして、「俺は乞食になる」と堂々と宣言して、実際に乞食に近いような門付け芸の放浪の旅に出る。
その旅は、一面では差別や蔑視を受けた悲惨なものだったが、別の一面では、放浪者らしからぬ自由な明るさと愉しさを持ったものだった。

その旅の中で、新婚の妻を目あきの金持ちに犯される悲惨と、一方では正業に転職した元コソ泥(川谷拓三)や、れっきとした農民でありながら道楽として門付け芸をやっている老人と道連れになるなどの面白いエピソードも描かれる。

しかし、戦争というものは、こんなしがない生活すら放ってはおかなかった。
門付け芸ではやってゆけなくなった定蔵は、マッサージに転業しようとして、盲学校に入る。

そこで、そこの教師にひどい人間的な裏切りを受けたことによる絶望と、それを立ち直らせるための母と妻の献身的な努力が、定蔵を芸術家として更に大きくしていく。

最終更新日:2024-10-28 16:00:02

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