- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2024-05-14
ナバロンの要塞を撃滅してから2年後、マロリー(ロバート・ショウ)とミラー(エドワード・フォックス)の次なる任務は、ドイツ軍に包囲されたユーゴスラヴィアのパルチザンの救出。
この作戦遂行の中で、特にマロリーは、二重スパイだと思われるレスコヴァー(フランコ・ネロ)を抹殺することであり、ミラーはドイツ軍の重要な進撃路であるネレトバ橋を爆破するのが使命だ。
映画は、先ず空輸される途中で敵機に襲われ,パラシュートで脱出するという見せ場があり、大男のドラザック(リチャード・キール)を首領とするドイツ協力派チェトニクスのゲリラ隊に捕まり、殺されかけたところを、一味を装っていたパルチザンの娘マリッツァ(バーバラ・バック)に救われるというサスペンスが展開していく。
ミラーが破壊しようとするネレトバ橋は、堅牢に出来ており、完全に破壊するのは容易な事ではなかった。
そこで、上流にあるダムを決壊させ、水の勢いで破壊する計画をたて、そのための爆薬を奪うために、ドイツ軍の弾薬集積所に潜入するが、発見されかけ、危機を招くというスリリングな見せ場になる。
このシークエンスが、映画としてのサスペンスの見せ場になっており、貨車で逃げる途中、マロリーは裏切り者の正体を表わしたレスコヴァーを倒し、ミラーたちが照明弾などで敵を牽制している隙に、この作戦の特命隊長バーンズビー中佐(ハリソン・フォード)と二人で、ダムの基底部に潜入し爆薬を仕掛けるという、最大の見せ場へとなっていく。 前作のグレゴリー・ペック、アンソニー・クイン、デーヴィッド・ニーヴンといった重量級の豪華なメンバーに対して、この作品では、ロバート・ショウ、ハリソン・フォード、エドワード・フォックスと中量級となった感は否めず、また舞台はナバロンとは関係がなく、物語自体も難攻不落の要塞にある巨大な大砲を破壊するという、前作の大迫力の痛快さに比べて、平凡でそれまでに数多くあった戦争冒険活劇の域を出ていない感じもします。 だが、それらを差し引いても、ガイ・ハミルトン監督は、それなりに見せ場も数多く用意し、戦争アクション映画のツボをよく押さえ、楽しめる作品にしていたと思う。
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-05-14
キューバ危機は、一歩間違えば、人類の歴史を大きく変えたかもしれない、20世紀の大事件だ。
この映画「13デイズ」は、事実のみが持つ説得力を生かし、この題材を息詰まる政治サスペンスドラマに仕立てた作品だ。
1962年、キューバでソ連製の核ミサイルが発見され、当時のジョン・F・ケネディ大統領が、海上封鎖で対抗し、撤去を迫ったのだった--------。
この危機が回避されるまでの13日間を、ケビン・コスナー演じる、大統領特別補佐官の立場でたどるのだ。
映画は、二重の対立構造を描き、緊張を高めていく。
一つは、事件の本筋である米ソの駆け引き。
米側がつかんだソ連軍の動きは描写しても、モスクワの思惑は見せぬまま、物語が進行する。
こうした展開により、疑心暗鬼を生む冷戦の危うさを訴えかけるのだ。
そして、もう一つの緊張関係が、外交努力で核戦争の危機を避けたい大統領らと、キューバ侵攻や空爆など強行策を主張する、軍幹部の対立。
やや誇張もある気がするが、軍部を”悪者”扱いしたため、物語がより面白くなったと思う。
大統領が決断をためらえば、弟の司法長官ロバート・ケネディは、勇み足を踏むなど、美化されがちなケネディ兄弟を人間臭く描いているところもいい。 ケビン・コスナーも、ヒーローとして出しゃばらず、ケネディ兄弟を支える役に徹して、映画を引き締めている。 一方、硬い話になりがちな題材に、家族を登場させた事で、この映画に膨らみが出たと思う。 この状況で、家族を守るには、武力衝突を避ける以外にないとの主人公の思いは、素直に頷ける。 家族愛が、そのまま武器を取る事に結びつくアメリカ映画が多いだけに、妙に新鮮な印象を残す作品になったと思う。
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2024-05-14
この映画「ザ・メッセージ 砂漠の旋風」は、イスラム教の開祖マホメットの激動の生涯と戦士たちの物語だ。
オイルダラーのアラブ諸国が、最大のスポンサーで、監督はTV出身のムスターファ・アッスド。
マホメットの戦いを支えていく伯父役に、個性派の名優アンソニー・クインが扮し、熱演している他、ギリシャの名女優イレーネ・パパスらが出演している。
支配者たちの腐敗と狂気を鋭く批判し、まやかしの偶像崇拝を攻撃したのだ。
メッセージは広がっていったが、その効果はどうか? といったところまで追求していかないまでも、アラブの風土がよく滲み出ていたと思う。
イスラム教が、どのような歴史で、どのように確立されていったかが語られており、この点でも興味ある映画だ。
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2024-05-14
この映画「メル・ブルックス/逆転人生」は、彼が傑作パロディ映画「スペースボール」の4年後に監督、主演した人情コメディだ。
ケチで嫌味な金の亡者メル・ブルックスが、ライバルの大富豪ジェフリー・タンバーと賭けをする。
「スラム街で30日間暮らせたら土地をやる」と言われ、ホームレス姿でサバイバル生活に挑戦するが、とても暮らせるわけはなく、女の浮浪者レスリー・アン・ウォーレンに助けられて人生に目覚めていく-------。
「大逆転」みたいな、ありがちの立場入れ替わりコメディだが、一見ヒューマンに見えながら、ブルックスの持ち味であるベタで下品な毒も忘れていない。
ライバルを文字通り、吊るし上げるクライマックスのパワーショベルの下らない一騎打ちまで、徹底して金持ちと貧乏を笑い飛ばすのだ。
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-05-14
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明るく面倒見のいい性格から”若大将”と渾名される、すきやき屋の老舗・田能久の息子で京南大学の大学生・田沼雄一。
彼が水泳部をはじめ拳闘部、マラソン部など毎回、所属する部を変えて、あらゆるスポーツにチャレンジし、途中で美人OLの星由里子扮する澄子をめぐって、ライバルの田中邦衛扮する、石山製菓のドラ息子の”青大将”こと石山新次郎と対決するが、最後は愛とスポーツの両方に勝利するというのが、基本パターンだ。
このルーティンこそが、若大将映画の楽しみだし、個性豊かなレギュラー陣によるアンサンブルの楽しさこそ、娯楽映画のシリーズの良さでもある。
若大将の屈託のなさは、1960年代の日本の若者の憧れの象徴ともなっていて、同時に「そんな夢みたいな青春なんてなかった」という現実からの格好の逃避場所として、ひたすら明るく楽しい映画になっていたのだと思う。
そして、若大将には当時、世相を賑わせた安保もドラッグもセックスも無縁の世界なのだ。
もちろん、東宝映画だから明るく健全にをモットーに、登場人物たちはみんな裕福だし、そのリアリティのなさが、コメディとしても青春映画としても理想的な空間を作っていたのだと思う。 その若大将シリーズの記念すべき第1作目の作品が「大学の若大将」だ。 京南大学水泳部のエースの田沼雄一は、すきやき屋の老舗・田能久の跡取り息子で、父・久太郎(有島一郎)と祖母りき(飯田蝶子)と暮らしている。 青大将は、美人OLの澄子に首ったけだが、彼女は若大将を愛している。 若大将の縁談話で澄子との仲は険悪になり、結局、最後には誤解が解けて元気になった若大将は、大学の対抗戦が始まっているプール会場に駆けつけ、見事、優勝するという、若大将シリーズの”黄金律”が、この第1作目ですでに完成されている。 脚本家の笠原良三と田波靖男は、加山雄三の実生活でのエピソードを若大将のキャラクター作りに取り入れ、日本映画で最も爽やかでカッコいいヒーロー、田沼雄一が誕生したのだ。
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-05-14
今朝のNHK深夜便でのジャパニーズ・ポップスの特集は本篇テーマ曲のEPO,もう1人は大貫妙子。ふたりをSNSで検索して見ると坂本龍一とツーショットの大貫の姿も
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-05-14
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この映画「エレキの若大将」は、第1作目の「大学の若大将」から「若大将対青大将」まで計17本製作された”若大将シリーズ”の第6作目の作品だ。
ストーリーは、すき焼き屋・田能久のひとり息子、田沼雄一(加山雄三)が、京南大学を舞台に、ヒロインの澄ちゃん(星由里子)をめぐってライバルの金持ちのドラ息子、青大将(田中邦衛)の妨害を乗り越えて、恋とスポーツに大活躍をするという、古き良き時代の”偉大なるワンパターン映画”なのだ。
そして、映画のラストは、青大将の妨害で大事な試合に最初から出場出来なかった若大将が、試合の終盤にギリギリ間に合い、彼の奮闘で奇跡の大逆転をするという、お約束のパターンも、わかっていても、毎回、楽しませてくれる。
水泳、ボクシング、サーフィン、スキー、アメリカンフットボールなど、毎回様々なスポーツに挑戦して、加山雄三のスポーツ万能ぶりをアピールすると同時に、第4作目の「ハワイの若大将」からは、映画の中で、岩谷時子作詞、弾厚作作曲(加山雄三自身のペンネーム)の歌を聞かせて、ミュージシャンとしての才能も開花させている。 なかでも、このシリーズ第6作目の「エレキの若大将」は、タイトル通り、加山自身が得意とするエレキ・ギターをメインとした構成で、主題歌の「君といつまでも」や「夜空の星」などのビッグヒットとともに、加山雄三の空前の人気を決定づける記念碑的な作品になっていると思う。 また、エレキの神様・寺内タケシや、内田裕也などのゲスト出演もファンにとっては嬉しいところだ。 この”若大将シリーズ”で描かれた映画的世界においては、暴力もセックスもなく、一見、絵空事の青春のようだが、加山雄三の育ちの良さを思わせる、愛すべき屈託のなさは、当時の東京の山の手の学生文化の雰囲気をしっかりと伝えていて、非常に好感が持てるのだ。
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-05-14
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この韓国映画「王になった男」は、王とその影武者の入れ替わり作戦を通して、指導者の真の役割を問う痛快無比な諷刺喜劇の傑作だ。
先入感なしで初めてこの映画を観た時、イ・ビョンホン主演の宮廷歴史大作というから、またコスチューム・プレイの空疎な内容の時代劇かなと高をくくっていたら、これが予想を覆してあまりの面白さに、続けて2回観てしまいました。
黒澤明監督の「影武者」を持ち出すまでもなく、王そっくりの影武者が本当の王を袖にして頑張ってしまうのだから、面白くないわけがないんですね。
イ・ビョンホンが演じるのは、17世紀初頭に実在した朝鮮王朝の15代目の王・光海君と、その影武者に引っ張り出された王と瓜二つの道化のハソン。
暴君ゆえに毒殺の危機におびえる王の代わりに、15日間だけ本物の王にすり替わる計画が実行されるが、果たしてその結末は? -------。
この手の影武者のお話は、最初のうちはうまくいくものの、やがて素性がばれてとんでもないことになるのが落ち。
この作品でも型通りの展開を見せるが、面白いのは本物の王になりすますイ・ビョンホンのコミカルな演技だ。
かつての”韓流四天王”のひとりで、韓国映画を代表する演技派スターにとどまらず、今やハリウッド映画界にも進出して、世界的な俳優の地位を確立したイ・ビョンホン。 ”七つの顏を持つ男”の異名をとる演技派イ・ビョンホンの愁いと哀しみを秘めた演技はまさに圧巻で、淡々と演じて笑いを取ってしまうその巧さには、唸らされましたね。 その年の韓国の映画賞を総なめにしたのも納得の演技だったと思いますね。 また、王妃役のTVドラマ「トンイ」での爽やかな演技が印象的だったハン・ヒョジュ、王の忠臣ホ・ギュン役の「最終兵器 弓」での憎々しい悪役ぶりが凄かったリュ・スンリョンの演技も素晴らしかったが、それ以上に、最後にハソンを命がけで守るト武将役のキム・イングォンの演技には、思わず目頭が熱くなりましたね。 しかし、何といってもこの映画が優れているのは、道化が王になって初めて見えてくる”リーダーの真の役割”を、チュ・チャンミン監督が的確に描いている点にあると思いますね。
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-05-14
遅すぎる初潮を、学校のシャワールームで迎えたキャリーは、狂信者の母からは、性的な成長を罪悪視されて育ち、クラスでは虐めにあっている超能力者だ。
恒例の学園のダンス・パーティへの出場を、キャリー虐めが原因で禁じられた生徒は、その恨みから、キャリーに豚の血を浴びせ、ここでキャリーの破壊的な超能力が爆発するのだった-------------。
このブライアン・デ・パルマ監督の「キャリー」は、公開当時のオカルト映画の流行の波に乗って製作された作品だ。
と言っても、ここにあるのは、青春学園ドラマの瑞々しい輝きだ。
薄幸の少女キャリーの超能力が、母や学友に虐めぬかれた末に、思春期特有の繊細で、昂ぶった感情が爆発したものに見えるところにも説得力があり、キャリーを演じるシシー・スペイセクの年齢を超越した”若さ”と”奇妙な味”には、ただ唖然とさせられる。 このシシー・スペイセクの演技は、後のデ・パルマの作品を考えてみると、彼の演出力によるものというよりも、むしろシシー自身の演技力によるものだと思う。 デ・パルマがその本領を発揮するのは、巧みに積み上げられる恐怖シーンや、的確に表現されている思春期の少年少女が持っている残酷さだ。 そして、最後の最後にある衝撃のシーン。 ここには、青春の持つ無知と、残酷さに対する復讐の思いが塗り込められていると思う。
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-05-14
NHKラジオ深夜便Jポップ特集は本篇音楽の大貫妙子とEPO,監督は多摩美術大学の人間講座に登場した一際気さくな竹中直人
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-05-14
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ヴェトナムに米兵が、今も捕虜となっている証拠の写真を撮る為に、ランボーが派遣される。
ところが、これが軍の首脳部のトリックで、捕虜はもういないとの証拠を作り上げ、議会へ提出しようとしていたのだ。
だから、ランボーが生き残りの捕虜を発見し、その中の一人を連れて帰ろうとした時、司令官は突然、作戦の中止命令を出すのだった。
捕虜が生き残っている事実を知られ、更にそれを知ったランボーが、生きている事はまずいというのだ。
ヴェトコン軍に捕らえられ、ソ連軍に拷問されたランボーは、脱出を図り、ヘリコプターを奪って、捕虜全員を連れて、基地へ帰ろうとするのだが--------。
この映画の見どころは、何と言っても、ランボーを演じるシルベスター・スタローンの超ハードなアクションだ。
文字通り、地に潜み、森を這い、一人また一人と殺していく格闘技の凄まじさは、目を見張るものがある。
監督のジョージ・P・コスマトスは、イタリア映画界出身だが、イタリア人特有の粘っこさに、「カサンドラ・クロス」で見せた、素材を大きく掴んで語り上げる、ハイテンポな力量を重ねて、我々観る者を画面の中に引きずり込むのだ。 あの戦争をどう自己の心に位置付けるにしろ、アメリカ人にとって、ヴェトナム戦争は、決してまだ終わってはいないのだという事実。 ランボーたちは国を信じ、命を賭して戦って来たのに、仮面を被った国のオポチュニストたちは、侵略者の如く、つまはじきにする。 失われた自分たちの青春はどうなる。 国の一人一人の為に戦って来た自分たちを、もっと理解して欲しいという、ヴェトナム戦争の世代の訴えが、画面に溢れていると思う。 ランボーを理解する、唯一人の上司が言う。「間違った戦争だったが、国を憎むなよ」 それに対して、ランボーが答える。「命を捧げます」 もう一度、あの自由と、明るい夢と努力が唸る国アメリカを、作り直そうよ--------と。 それは単に、一国の意識の高揚を乗り越えて、人間の心自体へ訴えかけた言葉であったと私は思う。
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-05-14
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このハンガリー映画「ハンガリアン」は、大国の動向に翻弄されてきたハンガリーの姿を純情な農民の姿に重ねながら、その運命をリアリスティックに描いたファーブリ・ゾルタン監督の力作だ。
第二次世界大戦中の1942年冬、雪に閉ざされたハンガリーの小さな寒村から、4組の夫婦と二人の独身男がドイツへと旅立つ。
1年間の契約で同盟国ドイツの農場に出稼ぎに行くのだ。
彼らはそれまで一度もハンガリーの村から出たことはなく、今度のドイツ行きで初めて外の世界に触れたのだ。
だが、時は第二次世界大戦のさなか、しかもドイツが敗戦への坂を転がり始めた頃だった。
彼らが初めて目にする悲惨で過酷な戦争の現実は、やがて彼らの運命を否応なく巻き込んでいく。
農場のドイツ人は、型通りの仇役ではなく、条理をわきまえ、温情の持ち主でもある。 支配人は、農民たちと同じマジャール人だが、これも虎の威を借りた狐みたいな仇役ではなく、厳しくはあるが、農民たちの立場もよく考えてやり、海を見たことがないという彼らを海岸に連れていってやったりする。 そして、近くにある捕虜収容所の連中と接触したり、収容所へ送られるユダヤ人たちを目撃したり、全体が暗いムードに包まれてはいるが、その中で人間的な優しさや温かさが、静かな調子で醸し出されていくのがとてもいい。 帰村してホッとする間もなく、召集されて死地へと赴かなければならなくなるラストも余韻があり、ナチスに押しつけられた戦争の悲劇が、強く印象づけられる。 出演者はなじみのない人たちばかりだが、一人一人が深く心に残る。
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2024-05-14
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この映画「ある愛の詩」は、「愛とは決して後悔しないこと」という主人公オリヴァーの名セリフで、公開当時、一世を風靡し、アメリカでも日本でも大ヒットした、爽やかで美しい純愛ドラマだ。
お話自体はなんてことはない。大学生のオリヴァー(ライアン・オニール)と女子大生ジェニー(アリ・マッグロー)が愛し合う。
男は名門の富豪(レイ・ミランド)の跡取り息子で、女はイタリア移民の菓子職人の娘。
だから、青年の親の反対にあうのだが、彼は家を捨て、家からの経済援助を捨てて、貧しい結婚生活にとびこむ。
そして、二人で力を合わせて苦労の末、オリヴァーは大学院を出て一流の法律事務所に就職、さあ、これから幸せにという時、ジェニーは白血病で死んでしまう。
身分違いの恋の障害といい、死が二人を分かつ悲劇性といい、なんと古風なまでのシンプルさ------。
だが、それでいて決してべとつかない。甘さに嫌味がない。
職人監督アーサー・ヒラーが見せる展開は、生き生きと新鮮だ。当時はやりのヴェトナム反戦と学園紛争の代わりに、アイスホッケーとバッハ。 そして、フランシス・レイの音楽。 その流麗で哀切の旋律が、あふれる”愛の優しさ”を謳いあげます。 よく考えてみると、この映画は本当は”夢物語”なのだ。 ヒロインは現代のシンデレラであり、オリヴァーは王子さまなのだ。 だが、嘘を現実だと思わせるこの映画のうまさ。 父と子の断絶に、当時の若い観客は共感し、愛し合う二人の姿に酔ったのかも知れません。 こんな風に勇気を持ちたい、こんな風に愛し愛されてみたいという、若い世代の叫びにも似た憧れなのだろうと思う。 最後にオリヴァーがジェニーを抱きしめる病室の場面では、訳知りの大人でさえ、心の底からこみあげてくる嗚咽を止めることさえできなくなってしまう。 それにしても、「愛とは決して後悔しないこと」、普遍的ないい言葉です。
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2024-05-14
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「戦う幌馬車」という西部劇の主演は、御大ジョン・ウェインとカーク・ダグラスという重量級俳優の魅力的な顔合わせです。
監督がバート・ケネディなので、内容的にはシリアス寄りではなく、コメディ寄りの痛快アクション西部劇になっています。
結論から言うと、この映画はとても面白かったのですが、ラストは主人公にとって残念な成り行きになっています。
思わず「オーシャンと11人の仲間」を思い出しました。
冒頭、主人公のトウ・ジャクソン(ジョン・ウェイン)が刑務所帰りという設定で登場するので、一瞬ビックリしました。
ジョン・ウェインが西部劇の悪役をやるわけがないからです。実は、無実の罪で刑務所送りになっていたのです。
そして、その無実の罪に追いやった敵をやっつけに来た、というストーリーでした。一種の復讐劇と言ってもいいかもしれません。
トウの標的は、自分を騙して牧場を奪ったうえに、牧場から出た金を独り占めしているピアースという男です。
トウは、ピアースが鉄製の装甲車のような馬車で運ぶ金を奪う計画をたて、仲間を集めます。
金庫破りの特異なローマックス(カーク・ダグラス)、古い馴染みのリーバイ、運び屋のフレッチャー、爆破が得意なビーリーの4人。 それぞれ特技を持った仲間が協力して、数十人の護衛のついた戦車のような馬車の襲撃作戦を決行するのです。 現金輸送車ならぬ砂金輸送馬車、この馬車の外観がかなり凄いです。 真っ黒で、上部には丸い砲台のようなものが付いていて、機関銃が据え付けてあるのです。 この不気味な馬車が、護衛を引き連れて荒野を疾走するシーンは迫力満点です。 爆破が専門のビリーは、若いくせにアル中で、運び屋の老人は、まるで孫のような若い奥さんがいる乱暴者、とまあこんな風に仲間もそれぞれ個性的で観ていて飽きません。 バート・ケネディ監督の映画は、以前に「夕陽に立つ保安官」を観ました。あれほどコメディ色は強くないですが、ジョン・ウェインとカーク・ダグラスが見せる絶妙の間合いの可笑しいセリフは得難いもので、観ていて微笑ましく癒されました。 西部劇はやっぱりアクション映画の原点だなと、あらためて思わせられた1本でした。
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-05-14
二人の男と一人の女の愛のトライアングルとくれば、恋愛映画、とりわけフランス映画の定番だ。
この手のラブ・ロマンスが魅力あるものになるかどうか、第一のキーポイントは、”女”。
誰が見ても、二人の男から熱烈に愛されるに相応しい女性でなければ、やはり、リアリティに欠けるし、観ていてシラケてしまうだろう。
その点、ロミー・シュナイダーは、まさにハマリ役だ。
特に、男たちの間で微妙に揺れ動きながらも、あくまでも、男の所有物になることを拒み、コケティッシュなくらい自由奔放に振る舞う、その生き様が、何とも小気味良い。
そんな彼女に逃げられて、共同生活をしながら、失恋の痛手を癒し合う男二人の、思わず苦笑したくなるような可笑しさ。
クロード・ソーテ監督の端切れの良い、流暢な演出が冴え渡っていると思う。
エスプリとユーモアと、そこはかとない皮肉の効いた、大人向けの愛の物語だ。
- 評価
- ★★★☆☆
- 投稿日
- 2024-05-14
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毒を盛られたため、アドレナリンを一定値以上放出していないと死んでしまう、凄腕のスナイパーが、解毒剤を求めてL.A.の街を奔走する--------。
毒を盛られた状態で始まるこの作品、最初から最後まで、ハイテンションでとても面白かった。
全体的に明るく楽しめる作品で、コメディタッチなのも良かったですね。
ジェイソン・テイサムのアクションは、相変わらず切れがあるし、見応え十分です。
常に、アドレナリンを放出してないといけないと言うのも困りものですね。
タクシーに乗るシーンは、興奮出来なくて苦労してたし、だったら運転手をどかして自分が運転した方が良かった気がしますね。
ラストは、ものすごく豪快で、あの高さから落下して、車がクッションになったとはいえ、衝撃は何トンにもなるのに、あの程度の傷というのはおかしいけど、エンタメ作品ですから、これでいいんですよね。
それから、ヒロインのイヴの天然ぶりも楽しめたし、イヴ役のエイミー・スマートが可愛く
てグッドでした。
- 評価
- ★★★☆☆
- 投稿日
- 2024-05-14
「インディー・ジョーンズ」シリーズの大ヒットに便乗して企画された、この「キング・ソロモンの秘宝」は、昔懐かしの”連続大活劇”で、かつて、ハラハラ、ドキドキしながら徹夜で読んだヘンリー・ライダー・ハガードの大冒険ロマン小説の映画化だ。
古代イスラエルの王ソロモンが所有したと言われる、金銀財宝をめぐって繰り広げられる”愛と冒険の物語”。
この秘宝に魅せられた冒険家、消息を絶った父を探す美女、悪徳軍人、更に人喰い人種などなど、この手の映画に欠かせない要素が勢揃いしている。
そして、出来栄えはというと、危機また危機の連続活劇に仕立ててあって、これは「レイダース」や「ロマンシング・ストーン 秘宝の谷」の完全な真似ではあるが、あれよあれよと話が展開していき、これはこれで結構面白い。
「ナバロンの要塞」「マッケンナの黄金」と、アメリカ映画界では連続活劇の大御所J・リー・トンプソン監督が、一時期はもう消滅したかと思われたエネルギーを猛然と盛り返して、手に汗握るスペクタクル・アクションを楽しませてくれる。
これは、当時、キャノン・フィルムを設立して、チャールズ・ブロンソンやチャック・ノリスと組んでヒット作を連発し、とにかく楽しくて面白い映画を我々映画ファンに提供し続けた、イスラエル出身のメナハム・ゴーランとヨーラン・グローバスの二人の製作者のアイディアの勝利だろう。 ただし、その代わり、キング・ソロモンの洞窟にまつわるミステリアスなロマンの綾が小さくなっていると思う。 これはヒロインの姿にも言えることで、連続活劇のヒロインとしても、この映画でのじゃじゃ馬の勝ち気な暴れ娘というキャラクターでは、かつてのデボラ・カーの気品やソフィスティケイションは望むべくもない。 確かに、演じているシャロン・ストーンも悪くはないが、デボラ・カーや「ロマンシング・ストーン 秘宝の谷」のキャスリーン・ターナーには及ぶべくもないのだ。 これは、ヒーローのリチャード・チェンバレンにも言えることだ。 ただ、そうは言っても、映画が始まるや否や、いきなり本題に入ってぐんぐん引っ張っていく、J・リー・トンプソン監督の演出のパワーは、やはり映画ならではの醍醐味を見せてくれる。
- 評価
- ★★★☆☆
- 投稿日
- 2024-05-14
この映画の邦題「ジャスティス」は、よく考えられたタイトルだと思う。
いろいろな意味で映画の中身と一致するし、ジャスティスの意味としては、正義、更正、裁判という意味があるけど、映画自体は、戦争映画と言うより法廷物という感じですね。
この映画での正義というのがよくわからないところは、これが主人公の正義?マクナマラン大佐の信じる正義?戦争自体の正義?ナチス軍大佐の正義?
それとも黒人差別に対する正義?-------
どれにも当てはめることができるわけですが、ストーリーの中でも、正義を示唆する演出が見て取れます。
また、それらを複線にしている部分もありますね。
十分面白かったけど、最後はブルース・ウィリスがおいしいところを持っていくあたりが、スター映画なのかと、ちょっとコリン・ファレリーが可愛そうでしたね。
内容的には、ぼんぼんのアメリカ将校が、自分の正義を信じ、貫き通そうとするといった内容の映画でしたね。
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2024-05-14
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この映画「サンクタム」の壮絶なサバイバル劇は、まさに手に汗を握ります。
閉所、狭所、暗闇、水------私の苦手なものばかり!!
空気はないし、見ているだけで、もう息苦しくなってしまいました。
あんな所を探検しようとするなんて、閉所恐怖症の私には信じられません。
自然の脅威に、自ら飛び込んでいく冒険家は、常に危険と隣り合わせで、何らかの犠牲、そして最悪は、死もあるという覚悟が、出来てないとダメですね。
主人公のフランクは、本物の冒険家なので、仲間の死も冷静に受け止めます。
楽にさせてやるため、水に沈める事もあります。
それを息子のジョシュやスポンサーのカールは、「どういう人間だ」となじるんですが、ジョシュたちこそ、甘ったれにしか見えません。
カールのガールフレンドも、冒険の恐ろしさを分かっていませんでしたね。
過酷な状況で冒険を成し遂げるには、自分にも他人にも厳しくないといけないということを痛切に感じました。
ジョシュは、そんな父フランクを、自己中心的で高圧的だとずっと反発してきました。 しかし、降りかかる危険をかわし進んで行くにつれ、少しずつ父を見直していく事になります。 父の方も、ジョシュが得意なロッククライミングで、ザイルを対岸にかける事を成功させてから、息子の成長を改めて感じるようになるんですね。 そして息子がだんだん、父に似た行動を取るようになっていくのです。 やっと空が見える場所に辿り着くも、上に登れそうにない時、父は判断を息子に託します。 父が子を認め、子が父を超えようとする--------。 そんな瞬間が、一筋の光のようで良かったですね。 二人の間に、初めて親子の絆が芽生えたというのに、裏切ったカールが、狂ったようにフランクを襲います。 パニックにおける人間模様が、いろいろ組み込まれていたと思いますね。 それでも、若者が人間的な成長を見せてくれて、救いのあるラストでした。 フランクのような頼りがいのあるオヤジさん、いいですよね。
- 評価
- ★★★☆☆
- 投稿日
- 2024-05-14
目撃者と言いながら、この映画の主人公は盲目の老人だ。妙な邦題なのに誰も不思議に思わないのは、観ているうちに難解なミステリーの展開に呑み込まれて、そんなことはどうでもよくなってしまうからだろう。
そして、この映画は数ある伏線が全くといっていいほど、犯人に繋がらないため、主人公だけでなく観ている者も推理不可能な状態に陥ってしまう。
これが狙いだったら凄いとは思うのだが、後に「ダリオ・アルジェンド作品はストーリー構成が破綻している」と言われ続けるが、この映画はその第一歩と言える作品なのかもしれない。
ダリオ・アルジェントの映画の主人公は、1980年代に低年齢化したが、この映画は8歳の女の子が拉致されるシーンがあり、その片鱗をうかがわせていると思う。
また、電車とホームの隙間に首を挟まれて死体が回転するシーンは圧巻で、伏線がなってないのは、このようなショッキングなシーンに力をいれ過ぎたせいなのかもしれない。