夫婦善哉 作品情報
めおとぜんざい
曽根崎新地では売れっ妓の芸者蝶子は、安化粧問屋の息子維康柳吉と駈落ちした。柳吉の女房は十三になるみつ子を残したまま病気で二年越しに実家に戻ったままであった。中風で寝ついた柳吉の父親は、蝶子と彼との仲を知って勘当してしまったので、二人は早速生活に困った。蝶子は臨時雇であるヤトナ芸者で苦労する決心をした。そして生活を切り詰め、ヤトナの儲けを半分ぐらい貯金したが、ボンボン気質の抜けない柳吉は蝶子から小遣いをせびっては安カフェで遊び呆けていた。夏になる頃、妹の筆子が婿養子を迎えるという噂を聞いて、柳吉は家を飛び出して幾日も帰って来なかった。地蔵盆の夜、蝶子は柳吉を見つけ身を投げかけてなじった。柳吉は親父の家に入りびたっていたのは、廃嫡になる前に蝶子と別れるという一芝居打って、金だけ貰って後二人末永く暮すためだと云った。それは失敗に終ったが、妹から無心して来た三百円と蝶子の貯金とで飛田遊廓の中に「蝶柳」という関東煮屋を出した。ところが暫くして柳吉は賢臓結核となり、蝶子は病院代の要るままに店を売りに出した。柳吉はやがて退院して有馬温泉へ出養生したが、その費用も蝶子がヤトナで稼いだのであった。柳吉は父からもその養子京一からも相手にされず、再び金を借りて蝶子とカフェを経営することになった。やがて柳吉の父は死んだ。蝶子との仲も遂に許して貰えず、葬儀には参列したが柳吉も位牌も持たせてもらえなかった。二十日余り経って、柳吉と蝶子は法善寺境内の「めおとぜんざい」へ行った。とも角、仲の良い二人なのであった。
「夫婦善哉」の解説
故織田作之助の小説を「「春情鳩の街」より 渡り鳥いつ帰る」の八住利雄が脚色、「麦笛」のスタッフで豊田四郎が監督、三浦光雄が撮影、団伊玖磨(「「春情鳩の街」より 渡り鳥いつ帰る」)が音楽を夫夫担当。出演者は「芸者小夏 ひとり寝る夜の小夏」の森繁久彌、「修禅寺物語」の淡島千景、「おえんさん」の司葉子、「新鞍馬天狗 夕立の武士」の小堀誠など。第29回キネマ旬報ベスト・テン第2位。
公開日・キャスト、その他基本情報
キャスト |
監督:豊田四郎
原作:織田作之助 出演:森繁久彌 小堀誠 司葉子 森川佳子 淡島千景 田村楽太 三好栄子 浪花千栄子 万代峰子 山茶花究 志賀廼家弁慶 田中春男 春江ふかみ 二条雅子 梶川武利 丘寵児 大村千吉 三條利喜江 上田吉二郎 吉田新 広瀬正一 谷晃 本間文子 出雲八枝子 江幡秀子 登山晴子 宮田芳子 沢村宗之助 若宮忠三郎 河崎堅男 |
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配給 | 東宝 |
制作国 | 日本(1955) |
上映時間 | 120分 |
ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。
P.N.「pinewood」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2019-10-11
台湾ニューウェーブのシネマ〈台北暮色〉の日常生活を切り取った様なホームドラマ・恋愛映画を観てると処処に日本情趣が感じられてエンストした自動車を押したりとキャラが立った自然な演出で夫婦という二人の機微を描いた本篇のタッチに近い