昭和残侠伝 作品情報
しょうわざんきょうでん
太平洋戦争終結直後の東京は、日本古来の任侠道も社会道徳もすたれ、浅草もその例外ではなかった。浅草露天商は新興やくざ岩佐の牛耳る新誠会の縄張りの中で、売上げ、場所代を組織に納め、闇物資や統制品の横流れにささやかな商品の糸口を求めていた。昔からの由緒ある神津組二代目源之助は、この有様をなげきながらも、跡目と願う寺島清次の未復員を含め、戦死の組員が多く、人材に事欠く状態であった。悪らつな新誠会のやり方に、警察は親分衆を集め自粛をもとめたが、物資搬入ルートを握る新誠会に楯つく者はいなかった。唯一人、岩佐の手口をほのめかした源之助は、実子輝男の目前で射殺された。親の死、親分の死に憤怒する輝男や五郎、政の乾分達は新誠会に殴り込もうとはやったが一家の兄費分江藤は、確かな証拠がないかぎり、喧嘩を起すのは墓穴を掘るようなものだと戒めた。数日後、江藤の弟分で露天商からもしたわれる寺島清次が突然復員して来た。清次は源之助の死と、かつての恋人綾が縁続きの塚本組の女親分におさまった姿を見て、愕然とした。だが江藤のすすめで源之助の遺言通り清次は三代目を継ぐ決意をした。兄貴分江藤の協力を得て、露天商の商品集めに奔走する清次を、新誠会は執拗に妨害した。腹にすえかねた政や、五郎は、単身新誠会に殴り込んだが五郎は、恋人の娼婦美代をかばい遂に新誠会の手で殴殺された。五郎の通夜の最中、風間は美代が実の妹であったことを知り、驚愕するのだった。その頃新誠会は搾取した金でマーケットを新築した。浅草の真の復興を願う親分衆は、団結して清次にマーケットを作らせるため金策し、見事完成した。清次はこれを機に商人は直接問屋取引をすべきだと考えたが、夢の殿堂マーケットは、或る日不審火に包まれた。新誠会の仕業にちがいない。清次は風間と短刀を握り、神津組のマーケットに陣取った新誠会に殴り込んだ。清次、風間対岩佐、羽賀の死闘。今日の浅草の繁栄の陰にこんな悲話があった。
「昭和残侠伝」の解説
「暗黒街仁義」の村尾昭と「夢のハワイで盆踊り」の山本英明、それに松本功が共同でシナリオを執筆、「刑事 (デカ)」の佐伯清が監督した侠客もの。撮影は「暗黒街仁義」の星島一郎。
公開日・キャスト、その他基本情報
キャスト |
監督:佐伯清
出演:高倉健 三田佳子 伊井友三郎 中田博久 菅原謙二 中山昭二 松方弘樹 梅宮辰夫 潮健児 池部良 水上竜子 山本麟一 水島道太郎 江原真二郎 亀石征一郎 室田日出男 沢彰謙 梓英子 水城一狼 藤山竜一 岡部正純 大木史朗 北山達也 日尾孝司 関山耕司 八名信夫 久保一 三遊亭円生 曽根秀介 志摩栄 河合絃司 植田貞光 岡野耕作 内藤正 打越正八 清水正 石島房太郎 小塚十紀雄 伊藤慶子 |
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配給 | 東映 |
制作国 | 日本(1965) |
上映時間 | 90分 |
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ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-01-04
この映画「昭和残侠伝」は、東映任侠路線を代表するヒット・シリーズの1本で、1965年~1972年にかけて9本が製作されたが、その記念すべき第1作目の作品だ。
敗戦直後の浅草の露天商街。
新誠会は、神津組の縄張りを狙っていた。
復員して来た、高倉健扮する寺島清次は、神津組の跡目を継ぎ、新しいマーケットの建設に力を注ぐのだった。
新誠会は、妨害を繰り返し、遂にマーケットに放火する。
清次は、客人の池辺良扮する風間重吉とともに、新誠会に殴り込む。
健さんの他のシリーズ「日本侠客伝」「網走番外地」と違って、最初からシリーズ化を目論んでいたため、新旧ヤクザの対立や、高倉健=池辺良の道行きなど、すでにこのシリーズ1作目から、基本パターンがすでに出そろっている。