男と女(1966) 作品情報
おとことおんな
アンヌ(アヌーク・エーメ)はパリで独り暮し。夫をなくして、娘はドービルにある寄宿舎にあずけてある。年はそろそろ30歳。その日曜日も、いつも楽しみにしている娘の面会で、つい長居してしまい、パリ行きの汽車を逃してしまった。そんなアンヌに声をかけたのはジャン・ルイ(ジャン・ルイ・トランティニャン)彼も30歳前後で、息子を寄宿舎へ訪ねた帰りだった。彼の運転する車でパリへ向う途中、アンヌは夫のことばかり話しつづけた。その姿からは夫が死んでいるなどとは、とてもジャン・ルイには考えられなかった。一方、彼はスピード・レーサーで、その妻は彼が事故を起したとき、ショックから自殺への道を選んでいた。近づく世界選手権、ジャン・ルイは準備で忙しかったが、アンヌの面影を忘れられなかった。次の日曜も自分の車でドービルへ……。肌寒い日曜日の午後、アンヌ、ジャン・ルイ、子供たちの四人は明るい笑いに包まれていた。同時に、二人はお互いの間に芽生えた愛を隠し得なかった。血と汗と泥のレースを終えたとき、ジャン・ルイはアンヌからの電報を受けとった。それには、愛してます……と書いてあった。彼はすぐに車を駆ってパリへ、そしてドービルへ。二人は砂浜で身体をぶっつけ合い、その夜は安宿のベッドに裸身をうずめた。だが、愛が高まったとき、思いもかけずアンヌの脳裡に割りこんできたのは死んだ夫の幻影だった。二人はただ黙って帰り支度をした。アンヌは汽車で、ジャン・ルイは自動車でパリへ向った。しかしアンヌを忘られぬ彼は、彼女が乗換える駅へと車を飛ばし、ホームに彼女の姿を求めた。思いがけぬ驚きと喜びをひとつにして、アンヌはジャン・ルイの腕の中へ。凍てついた空気の中での口づけ。それは最後の口づけかも知れなかった。だが二人には、そんなことはどうでもよかった。
「男と女(1966)」の解説
「女を引き裂く」のクロード・ルルーシュが、製作・脚本(ピエール・ユイッテルヘーヴェンと共作)・監督・撮影を担当した恋愛篇。音楽はフランシス・レイ、劇中の歌は、ピエール・バルー(作詞も担当)とニコール・クロアジール。出演は「81/2」のアヌーク・エーメ、「マタ・ハリ(1965)」のジャン・ルイ・トランティニャン、ピエール・バルーほか。2016年10月15日より製作50周年を記念したデジタル・リマスター版を上映(配給:ドマ、ハピネット)。
クロード・ルルーシュ監督によるラブストーリーの製作50周年を記念してデジタルリマスター版で劇場公開。夫を亡くし、パリで一人暮らしするアンヌは寄宿舎に預けている娘の面会の後、帰りの汽車を逃してしまう。そこで同じ寄宿舎に息子がいるジャンが現れ……。
公開日・キャスト、その他基本情報
キャスト |
監督:クロード・ルルーシュ
出演:アヌーク・エーメ ジャン・ルイ・トランティニャン ピエール・バルー ヴァレリー・ラグランジュ シモーヌ・パリ ヤーヌ・バリー |
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配給 | UA |
制作国 | フランス(1966) |
上映時間 | 103分 |
公式サイト | http://otokotoonna2016.com/ |
(C)1966 Les Films 13
予告編動画
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ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、5件の投稿があります。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2023-11-25
この映画「男と女」は、1966年度カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作で、当時28歳の新人監督クルード・ルルーシュが、世界をアッと言わせた恋愛映画だ。
この映画は、クロード・ルルーシュ監督とフランシス・レイの名コンビが生んだ、フランス映画の傑作で、冬のドーヴィルで、妻を失った男と夫を亡くした女が出会い、互いに過去の辛い記憶を引きずりながらも、魅かれあっていく。
揺れ動く男女の心の機微を、セピアとモノクロームの陰影に富んだ色彩で描いた、クロード・ルルーシュ監督の映像感覚といい、フランシス・レイのボサノバ調の甘美なメロディといい、二人の抜群のセンスが、一見ありふれたこの物語を、これ以上ないほど、美しいエスプリに満ちた作品に仕上げていると思う。
新しい愛に目覚めながらも、亡夫への思いを断ち切れず、苦悩する女心の揺れを、最高の美しさで演じたアヌーク・エーメの素晴らしさに陶酔させられましたね。