鑑定士と顔のない依頼人 作品情報

かんていしとかおのないいらいにん

ヴァージル・オールドマン(ジェフリー・ラッシュ)は、世界中のオークションで活躍する一流オークショニア。早くに親を亡くし、結婚もせず、友人もいない人間嫌いの彼の楽しみは、自宅の隠し部屋の壁一面に飾った女性の肖像画鑑賞だった。自分が仕切るオークションで、パートナーのビリー(ドナルド・サザーランド)が名画を格安で落札するよう仕向け、自分のコレクションに加えていたのだ。そんな彼の元に、クレア・イベットソン(シルヴィア・ホークス)と名乗る女性から電話が入る。1年前に亡くなった両親が遺した家具や絵画を鑑定してほしいという依頼だった。指示された邸宅に向かったものの、彼女は姿を見せず、後日再び訪問したところ、使用人のフレッド(フィリップ・ジャクソン)が現れる。やむなく1人で家の中を見て回ったヴァージルは、地下室の床に転がった何かの部品に気付き、密かに持ち帰る。だが、鑑定が進んでもクレアは一向に姿を見せない。フレッドによると、歳は27だが、奇妙な病気を患っており、11年の勤務中に一度も会ったことがないとの事。やがて、修理屋のロバート(ジム・スタージェス)に調査を依頼していた謎の部品が、18世紀に作られた機械人形の一部である可能性が出てきた。数日後、“広場恐怖症”と呼ばれる病気により、“15歳から外へ出ていない”と告白したクレアに同情したヴァージルは、壁越しのやり取りに同意する。自由な出入りを許され、彼女が屋敷の隠し部屋で暮らしていることに気付くと、影に隠れて彼女の姿を目撃。美しいその素顔に、恋に落ちてしまう。再度の覗き見を彼女に見つかった時、ヴァージルは全てを打ち明け、遂に対面を果たす。互いに心を許してゆく2人。ところが、外出に強い拒絶反応を示していたクレアが、ある日忽然と姿を消す。果たして、鑑定依頼の本当の目的は?そして、クレアの過去に隠された秘密とは?謎はまだ、入り口に過ぎなかった……。

「鑑定士と顔のない依頼人」の解説

「ニュー・シネマ・パラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレ監督が贈るミステリー。美術品の鑑定に天才的な才能を発揮する男が、姿を見せない依頼人からの鑑定を引き受けたことをきっかけに、思いがけない運命に巻き込まれてゆく。出演は「英国王のスピーチ」のジェフリー・ラッシュ、「クラウド アトラス」のジム・スタージェス。第26回(2013年)東京国際映画祭上映作品。

イタリアのアカデミー賞にあたるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で作品、監督賞など6部門に輝いたトルナトーレによるミステリー。一流鑑定士のもとに届いた資産家の屋敷の美術品鑑定依頼。そこには姿を現さない謎に包まれた依頼人がいて……。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 2013年12月13日
キャスト 監督ジュゼッペ・トルナトーレ
出演ジェフリー・ラッシュ ジム・スタージェス シルヴィア・ホークス ドナルド・サザーランド フィリップ・ジャクソン ダーモット・クロウリー リヤ・ケベデ ジョン・ベンフィールド Anton Alexander
配給 ギャガ
制作国 イタリア(2013)
年齢制限 PG-12
上映時間 131分

(C)2012 Paco Cinematografica srl.

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ユーザーレビュー

総合評価:4.8点★★★★☆、6件の投稿があります。

P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★
投稿日
2024-01-22

ジェフリー・ラッシュが、老獪な美術品鑑定士として登場するジュゼッペ・トルナトーレ監督の「鑑定士と顔のない依頼人」は、謎めいた女性から舞い込む遺産処分の話が発端。

約束の日時に、屋敷を訪ねても相手の姿はなく、その後も壁の向こうの隠し部屋から話しかけてくるのみ。
好奇心と悪戯心から、その姿を盗み見てしまうが、その日を境に依頼人は心を開きはじめ、鑑定士は彼女の繊細な美しさに心ひかれていく。

巧みなミスリードと精緻な作りで、ひとりの男の孤独な人生を浮かび上がらせるあたりは、仲々のものなのに、真相が明らかになった後のカタルシスが、今ひとつに思えてしまうのはそのせいか。

オートマタ(自動人形)のガジェットとモリコーネの劇伴は、実に効果的なのだが。

最終更新日:2024-02-01 16:00:02

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