髪結いの亭主 作品情報

かみゆいのていしゅ

ドーヴィルの海岸沿いの家に住む少年アントワーヌ(アンリー・ホッキング)。彼は床屋に行くのが大好きだった。一人で店をやっている、ふっくらとした美人のシェーファー夫人(アンヌ・マリー・ピザーニ)の髪に触れる手触りや彼女の体臭にうっとりする時間は彼にとって至福のときだった。ある暑い日、白衣のボタンを多めにあけたシェーファー夫人の胸に見入ったアントワーヌは、興奮して何も手につかず、夕飯の時に「女の床屋さんと結婚する!」と宣言してしまう。突然のことに驚いた父(ローラン・ベルタン)は彼をブン殴ってしまうが、彼は心を固く決めたのだった。それから10数年後、大人になったアントワーヌ(ジャン・ロシュフォール)は、一軒の床屋で美しい女理髪師マチルド(アンナ・ガリエナ)を見かける。「自分の結婚相手はこの人しかいない」と心に決めたアントワーヌは店に入り、散髪の途中で唐突に求婚の言葉を咳く。彼女は聞こえなかったようにそれを無視し、彼を外に送り出す。彼女の気持ちを測りかねながらも、アントワーヌは、「強く念じれば必ず願いは叶う」という父の言葉を胸にひたすら念じる。三週間後、店を訪れたアントワーヌにマチルドは「あなたの言葉に心を動かされました。あなたの妻になります」と。彼の夢は叶ったのだ。ささやかな結婚式をあげ、2人は一緒に暮し始める。夢が叶ったアントワーヌは彼女以外何も要らなかった。仕事も、友人も、子供さえも。2人の店に様々な客がやって来ては帰って行き、幸福で静かな日々が続く。昔のことはあまり語りたがらないが、アントワーヌを深く愛しいつも静かに微笑んでいるマチルド。しかし、ある雷雨の日、客のいない店の中で愛を交した後、マチルドは「買い物にいく」と言って雨の中に飛び出していく。次に出会った時、マチルドは川から引き上げられ息をひきとっていた。彼女は水の中に身を投げたのだ。「あなたが心変わりして不幸になる前に死にます」という手紙を残して。マチルドのいない店の中で、一人アラブの音楽にのせて踊り続けるアントワーヌの姿があった。

「髪結いの亭主」の解説

女の床屋さんと結婚すると決めた男と謎に満ちた美しい女理髪師との奇妙な恋物語。監督・脚本は「ムッシュー・イール」のパトリス・ルコント、製作はティエリー・ド・ガネー、撮影はエドゥアルド・セラ、音楽は「プロスペローの本」のマイケル・ナイマンが担当。出演はジャン・ロシュフォール、アンナ・ガリエナほか。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 1991年12月21日
キャスト 監督パトリス・ルコント
出演ジャン・ロシュフォール アンナ・ガリエナ アンリー・ホッキング アンヌ・マリー・ピザーニ ローラン・ベルタン モーリス・シュヴィ
配給 アルシネテラン=テレビ東京
制作国 フランス(1990)
上映時間 80分

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ユーザーレビュー

総合評価:4.88点★★★★☆、8件の投稿があります。

P.N.「pinewood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2023-08-31

💃知人の訃報を知って本篇のラストシーンが思わず眼に浮かんで来る。死は突然に訪れる。人はいつか亡くなるとは知りつつも。ところで本篇のユニークなアラブの踊りのルーツはベリーダンスなのかも知れぬ

最終更新日:2023-09-10 16:00:01

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