映画『のさりの島』初日舞台挨拶 主人公に注目の実力派若手俳優・藤原季節、名女優・原知佐子の遺作がついに公開!

映画『のさりの島』初日舞台挨拶 主人公に注目の実力派若手俳優・藤原季節、名女優・原知佐子の遺作がついに公開!
提供:シネマクエスト

日時:5月29日(土)
場所:ユーロスペース
登壇者:藤原季節、小谷野祥子、小山薫堂、山本起也

映画『のさりの島』が5月29日(土)に公開初日を迎え、渋谷ユーロスペースの初回上映はチケット即完売!上映後には、主演の藤原季節、小谷野祥子、小山薫堂プロデューサー、山本起也監督による舞台挨拶が行われた。

まず、本作で主人公、若い男・“将太”を演じた藤原は「今日はありがとうございます。この映画を撮影している時は、まさか自分にとってこんなにも大事な作品になるとは思っていませんでした。公開が延期になり、こういう時期を経て、この映画が自分にとって物凄く大事な作品になっていくんだなと感じています」と公開初日の心境を明かした。

本作品が遺作となった山西艶子役、原知佐子に代わり登壇した小谷野は「原さんはお話をいただいた時から「どうしてもやりたい」と仰っていました。大腿骨骨折の手術をしてリハビリ中でしたが、強い意志で臨まれていました。いつも「藤原君って良いのよ。絶対に売れるよ」と皆にお話されていましたので、今日のこの藤原さんの姿を見たらきっと自慢したと思います。原さんも一番喜んでいると思います」と亡き原の想いを届けた。

映画の舞台天草出身の小山プロデューサーは「天草出身の小山です。この作品に登場する第一映劇は僕が初めて映画を観た映画館でした。そんな本作が渋谷のユーロスペースで上映されるとは夢にも思わず、皆さまに感謝しています」、山本監督は「大変な状況の中ご来場いただきありがとうございます。去年公開予定が1年弱延期になりました。私たちはコロナの中でリモートという便利なものを手にしましたが、街に出て何かを楽しむ。当たり前だと思っていたことがこんなに貴重でかけがえのないことだと学びました。その気持ちを共有したくて、今日は映画館に来ました。ご来場いただき本当にありがとうございました」とそれぞれ公開初日を迎えた感謝の思いを語った。

藤原は、本名もどこから来たのかも分からない謎に包まれた主人公について、「台本読んだ時に、「若い男」と書かれていて素敵だなって」と振り返ると、「「若い男」を登場させた理由、僕を選んでくださった理由、僕からすると“のさった”のですが、役と出会えた縁をお聞きしたいです」と山本監督に質問。監督は会った時に「即決!」だった藤原の出演を振り返り、「根っからの悪人ではなくて、彼の人生で欠け落ちた部分があり、そこにスッと入り込んだのがオレオレ詐欺。天草に逃げてきた彼の穴にお婆ちゃんがスッと入り込む物語。そういう意味では“この男、ウチにも孫で欲しいな”と思っていただけるような男を造形したい。藤原さんが全国のお婆ちゃんのアイドルになれる映画にしたい!(笑)という思いでキャスティングしました」と、藤原季節キャスティングの裏話を明かした。

すると、藤原も本作への熱い想いを披露。
「あの当時はまさに今の現代の若者、目に見えるものが全てだと思っていました。例えば、劇中で箱に入っているお金を将太がとる。生きていくだけでお金に囚われるし、映画もお客さんが沢山入らないと意味がないとか、目に見えるものがすべてだ、面白いのがすべてだ、と思っているところがありました。この映画を経て、もっともっと目に見えないものを大事にしてきたんじゃないかと考えて。例えば、形見はモノが宿している記憶は目に見えないけど、大事にする。人を傷つけてしまったら罰を受けるとか地獄に堕ちると思うから悪いことはしないようにして維持してきた平和もあると思う。そういう目に見えない、人が信じてきたものが大事なものなんだと考えるようになりました。だからこそ、この映画は僕にとって大事にしていきたい映画です」

藤原演じる謎の男に“のさり”、謎の男が“のさった”艶子を演じた原について、現場でずっと側にいた小谷野は「天草に向かう新幹線の中から「謎の女だから」と捉えて、現場でもそれが拠り所になっていたようです。天草の方言に苦労なさっていて、ホテルに戻ると「私は謎の女なのよ」って半分言い訳、そして明日に向けて自分で応援しながら撮影に挑んでいました。ご自身でも大変だって気持ちがあったと思いますが、本当にやりきった女優人生だと感謝しています」と本作で素晴らしい演技を披露してる原の気持ちを代弁。原との撮影の思い出を聞かれた藤原は、「すごく元気でパワフルでした。地元の方がお酒を差し入れしてくださって、「原さん、飲んじゃダメですよ」と言うと「飲むわよ」とか(笑)(小声で)「私、たばこ一本吸ったのよ」とか」と、放射線治療をしながら参加された原との裏話を語った。

本作のタイトル「のさりの島」はプロデューサーの小山のアイディア。「天草の人たちには許す力があると思います。理不尽なことや納得できないことにも「よか、よか」というその精神、許す力を作品に込めたいと思っていました。最初は「婆ちゃんオレオレ」というタイトルでオレオレが強かったのですが、私の父が「薫堂は“のさりの男”ですから」とパーティーで紹介して、この作品は“のさり”だと思って監督にメールしました」と経緯を語ると、藤原は「今になってのさりを感じない日はないです。天草では宿の壁一面に差し入れを紹介する紙が並んで、厨房も食材で埋め尽くされていました。最後はずん胴で食材が届いて、それくらい僕らを受け入れてくれました。今は出会う人に、天草の魅力を伝えています」と、『のさりの島』のロケ地・天草への感謝も述べた。

最後に山本監督と藤原が登壇者を代表して挨拶。
山本監督「こういう状況で色んなものが中止になっています。ドイツの映画祭にも行くことが出来なくなりました。でも、今日だけはやりたかった!SNSで藤原さんのファンの皆さんが熱心に今日を楽しみにしている様子が伝わってきました。藤原さんも舞台『サンソン -ルイ16世の首を刎ねた男-』が途中で中止になり、映画以上に演者の皆さんは辛い思いをされている。今日は何としても全国の藤原季節さんファンのためにも、生・藤原さんを連れてきたかった。それが叶って嬉しいです。ユーロスペースで上映が続いていきますので、是非劇場に足を運んでください!」

藤原季節「この映画を観て感じた天草の風を日本中に届けたいと思っています。19歳で祖母を亡くした時に北海道に帰らずお葬式に参加しませんでした。だから、今でも生きているんじゃないかと思っていた。でも、この映画に参加して、生きてるか生きてないかはそんなに重要じゃない。その事実、生と死の分断ではなく、もっと自分がこの世界をどう感じていくかの方が大事だと思うようになりました。だからこそこの映画をどうしても届けたい、この風を日本中にもっと届けられるように皆さんのお力を貸してください。よろしくお願いします」
会場から大きな拍手が送られ、舞台挨拶は幕を閉じた。

最終更新日
2021-05-31 08:00:25
提供
シネマクエスト(引用元

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