国境や時代を超えグローバルな読者を獲得し、世界に名作・話題作を発信し続ける作家、村上春樹。名実ともに日本を、そして世界を代表する作家である彼の珠玉の短編作品「ハナレイ・ベイ」がついに映画化! 2018年10月19日(金)に全国公開されることが決定した。
2005年に発表され単行本、文庫あわせ累計70万部を超えるベストセラーとなっている『東京奇譚集』(新潮文庫刊)の一篇である本作は、サーフィンに明け暮れる思春期の息子と、シングルマザーで彼を育ててきた母親サチの姿を描いた感動の物語。ハワイのハナレイ・ベイで一人息子をサーフィン中の事故で亡くした主人公サチは、10年間、毎年息子の命日の頃にハナレイ・ベイを訪れ、ビーチの近くの大きな木の下で海を見つめ過ごしている。そんな時出会った若い日本人サーファーから“片脚の日本人サーファー”の存在を聞いた彼女は、自らの人生を変える一歩を踏み出すことを決意する…。これは、<人生で一番大切な人>に会いたくなる、希望を描いた物語。
主演は近年多くの映画・ドラマに出演し、主演から脇役まで目覚ましい活躍を見せる女優・吉田羊。本作では息子を失った母親サチを、圧巻の存在感で見事に体現している。サチの息子・タカシを演じるのは佐野玲於(GENERATIONS from EXILE TRIBE))。『虹色デイズ』など演技面でも注目を浴びる彼が、本作でも役者として鮮烈な印象を残している。サチがハナレイ・ベイで出会う日本人サーファー・高橋には村上虹郎。不思議な魅力を漂わせる青年を自然体かつ抜群の感性で表現する。監督は『トイレのピエタ』が多くの批評家から絶賛された日本映画界の新鋭・松永大司。
ハワイ・カウアイ島の神秘的なほどに美しい湾 ハナレイ・ベイを舞台に、一筋の希望を探し求める女性の10年を描いた珠玉の感動作が今、紡がれる。
映画『ハナレイ・ベイ』特報
https://youtu.be/wMg5MWsV5CM
吉田羊/サチ役コメント:
読書が苦手だった私が、初めて一気に読んだ本が「ノルウェイの森」でした。頁を手繰る手ももどかしかったあのムラカミハルキの作品世界にしかも映画で自分が生きられる、これ以上の幸せはありません。予てよりご一緒したいと切望していた松永監督の現場は、厳しさと真剣さと愛で溢れていて、文字通り、監督と一緒に闘い作り上げた主人公サチは、もはや本の中の登場人物にとどまらず、ありありとした痛みを伴い実在する非常に生々しいヒロインになりました。恐らく、私がこれまで演じてきたどの役にもない生命力をサチは持っています。静謐ながら雄弁なカウアイ島の自然の中で「喪失」と向き合い、もがき苦しみながらも声をあげることすらままならない彼女の深い悲しみの先の、ふっと小さく生まれる救いのような希望のような何かを、日本そして世界中の皆様と共有したいと願っています。村上春樹さん、松永大司監督、この映画に関わった全ての皆様に感謝をこめて。
佐野玲於(GENERATIONS from EXILE TRIBE)/タカシ役コメント:
世の中に沢山の名作を発信し続けてきた村上春樹さんの物語の映画化ということで、その作品に携わることが出来てとても光栄です。村上春樹さんの作品は人の心と記憶に残る作品で、このハナレイ・ベイの”希望の物語”というところを沢山の方々に伝えられるよう、意識して作品に入らせていただきました。家族、友人、恋人どの世代においても、生きている上で人それぞれ一番大切な人に会いたくなるような、その人への思いがより深くなるような、そんな物語です。人と人の心の話、そしてハナレイ・ベイの大自然が織りなす風景の美しさを、是非劇場でご覧下さい。
村上虹郎/高橋役コメント:
ハナレイ・ベイでなら鮫に喰われてもいいんじゃないかと思うほど、カウアイ島の自然は美しくて神聖でしたが、絶対ダメです鮫は怖いです。高橋はなかなか掴み所のないモテたくてサーフィンをやっているような大学生ですが、時に熱い男で、相棒の三宅を演じた佐藤魁はほんとにワンダフルナイスガイなので面白いコンビになっていると思います。
松永大司/監督・脚本コメント:
美しく、そして時に僕らの命を奪う自然。 「死」はこの自然の循環の一部であるという原作のテーマに強く惹かれた。 そして吉田羊、佐野玲於、村上虹郎をはじめとする俳優たちが、この圧倒的な ハワイの自然と真っ正面から対峙してくれたことで、普遍的で力強い作品にな った。 スクリーンに映し出される自然、そして人間を早く劇場で観てもらいたい。
小川真司/プロデューサーコメント:
『ノルウェイの森』をはじめ、村上春樹氏の作品は喪失からの再生をテーマにした作品が多いのですが、本作もサチ(吉田羊)という女性の、再生への希望を描きます。理不尽にもある日突然やってくる哀しい運命--残された者はそこからいかにして立ち直るのか。『トイレのピエタ』で生と死の尊厳を瑞々しく描いた松永大司と再びタッグを組み、その先にある命の循環を描こうと思いました。サチと一緒にハナレイの豊な自然に身をゆだねてみてください。きっと、いままでにない映画体験になるはずです。