撮影現場で起きた幸運は神頼みのおかげ?「人を笑わせること・泣かせることは似ている」大九監督の語る製作秘話とは!?『勝手にふるえてろ』一般向け試写会トークセッション

撮影現場で起きた幸運は神頼みのおかげ?「人を笑わせること・泣かせることは似ている」大九監督の語る製作秘話とは!?『勝手にふるえてろ』一般向け試写会トークセッション
提供:シネマクエスト

日時:12月4日(月)
場所:神楽座
登壇者:大九明子監督

松岡茉優主演映画「勝手にふるえてろ」が12月23日より公開となる。原作は、01年に「インストール」でデビュー、「蹴りたい背中」で第130回芥川賞を受賞した作家・綿矢りさによる同名小説。12/4(月)、大九明子監督による試写会上映後のトークセッションが行われた。

試写を終えた会場に拍手で迎えられ登壇した大九明子監督。まずは作品が出来た経緯について、『でーれーガールズ』という作品でご一緒した白石プロデューサーがこの企画を持ってきてくれました。タイトルを見た瞬間にすぐにやりたいと思いましたね。」という監督。「この原作は読んだことはなかったですが、私は”若い人に向けた毒のあるエール”のように聞こえた。自分が20代の時に撮った『意外と死なない』という作品と通ずるものを感じられました。」と自らの過去作との繋がりを述べた。

「原作では勝手にふるえてろというセリフはイチに向かって言っているのですが、最初の第一印象が若い女の子へのメッセージのように感じたので、それを払拭できず、その勢いで映画ではヨシカがヨシカ自身に言うという脚本にしました。」と原作との変更点に触れた。

モノローグで進む原作からのアレンジについて監督は、「最初に白石プロデューサーから会話劇にしたいという要望がありました。構成を思いつくまではとても苦労しましたが、主演松岡さんとは現場で何度かお仕事をしていたので、松岡さんは相手が誰であれ話をしていくという性格で、序盤のヨシカの一人会話劇を思いつきました。松岡さんは理想のキャスティングだった。」と主演松岡さんからの着想を語った。

他のキャストについて監督は、「二はマッチョな感じにするのかなどビジュアル含めていろいろ悩んだが、結局はお恥ずかしながら自分の好みで決めました。」と意外なキャスティング理由を暴露。「大知くん自体は役柄の二よりももっと鬱陶しくて、考え込むとずっと考え込むタイプで、大変でしたね。」と普段の姿について言及。「あと、大知くんは卓球をずっとやっていて、それで猫背。大知くんのキャスティングが決まってから、卓球のシーンをいれました。」と、渡辺さんご自身が、キャラクターに反映されていることを語った。

続いて話題はイチ役北村匠海さんについて。「ヨシカは王子様として見ているけど、人のことに興味がない残酷な人というキャラクター。北村くんの優しい声はとても気持ちがいいので、1度目は“素敵・・”“と思わず思ってしまう言い方でした。そこで、普段人のことを真っ直ぐ見ないイチがヨシカを真っ直ぐ見て話すシーンはヨシカを見下していたからと説明したら、次のテイクはすぐに演技が変わって、頭の良い方だなと思いました」とイチというキャラクターらしさの演出を語った。

「そのシーンは朝日をバックにしたベランダのシーンで、部屋中シーンの撮影後に朝日までずっと待っていた。朝日を撮影したことがない人はわからないかもしれないけど、ものすごいスピードで登るんですよ。緊張感のある撮影でしたね。」と苦労を話した。その他の印象的なシーンとして、「歌のシーン。あれは現場で松岡茉優が歌っているものを同録しています。松岡茉優は「私はもっと歌がうまい」と言っていたが、あれは歌ではなく、ヨシカの心の叫びなのであえて練習をしないでと言いました」とヨシカらしさを出すためのこだわりを話した。

劇中に登場するアンモナイトについても聞かれた監督。「あれはネットで買った本物です。アンモナイトが赤ちゃんみたいなんだよねと私が言ったら、松岡さんも赤ちゃんをあやすように演技をしてくれた。ただ孤独な部屋でその演技はあまりにも可哀相だったのでカットしました。」と小物にまつわる裏話を披露。また、序盤のタイトルロゴついて、「こだわりました。今年の一月に仕上げ作業をしていたが、お気に入りの阿武咲関のまわしの色という指定をしました。生まれた時から相撲が好きなので。」とまさかの理由を暴露。

「撮影はちょうど去年の12月頃。トータルで20日間ぐらいの撮影でした。実際の撮影日でいうと18日ぐらいだった。普通は天気予備日というものをつくっておくのですが、最初から入れていなかったんです。雨が振ったら雨をいかして撮影しようというテンションだった。ただ、撮影運がとてもよかったんですよ。私、神頼みをいつもしていますから。財布は五円玉でぱんぱんですし。今作だけじゃなく昔から恵まれてました」と自らの強運をアピール。「例えばラブホテル前のシーンは町田だったのですが、撮影時、アメダスで“雨”となっているにも関わらず、撮影している場所はまったく降っていなかった。終盤にちょっと降り始めたぐらいで、撮影を終えた瞬間に一気に降ってきました。やっぱり神様っていると思いましたね。」と本作を完成までの秘話を語った。

続いて「演出がとても面白くて、普段からネタをためているのですか?どういうところからアイデアが出てくるのか。」という観客からの質問に対して、「人を笑わせること、人を泣かせることは似ていると思っていて。人の感情を撼わすということは難しいことなんだよと昔教わったので、常に大事にしていこうという意識はいつも思っています。」と自身のポリシーを述べた。

監督は最後に、「映画を撮る上で、ご覧になった方々がどう思っているかについてはいつも心震わしているので、願わくばいい時間だったなと思っていただければ嬉しいです。」と述べ、イベントは終了した。

最終更新日
2017-12-07 12:00:08
提供
シネマクエスト(引用元

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