提供:キネマ旬報
問題だらけの子どもたちと完璧ではない大人たちが織り成すひと夏の映画撮影の物語を描き、第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリを受賞した「最悪な子どもたち」が、12月9日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかで全国順次公開。ポスタービジュアルと場面写真が到着した。
フランス北部の荒れた地区を舞台にした映画が企画され、地元の少年少女が公開オーディションに臨む。主役に選ばれたのは、異性との噂が絶えないリリ、怒りをコントロールできないライアン、心を閉ざしたマイリス、出所したばかりのジェシーという4人のティーンエイジャー。なぜ問題児ばかりなのか? 監督の狙いとは? 住民らが訝しむ中、波乱とともに撮影は進み、予期せぬ展開が訪れる--。
監督は、キャスティングディレクターや演技コーチとして数千人以上の若者と接してきたリーズ・アコカとロマーヌ・ゲレの新進タッグ。公開オーディションを題材とした短編「シャス・ロワイヤル」(2016)で監督デビューし、「なぜ映画というジャンルが、過酷な環境に生きる子どもたちに惹かれ、カメラを向けようとするのか?」というかねてからの疑問を出発点に、初長編となる「最悪な子どもたち」を完成させた。世代や文化の違いが生むハプニングで観客を楽しませると同時に、映画が個人やコミュニティにもたらす影響、作り手の倫理、社会格差といったテーマを突きつける。
4人の主人公を演じるのは、実際に撮影地近くの学校や児童養護施設でオーディションに臨み、選ばれた演技未経験の子どもたち。映画の表現と大人の責任の間で揺れる監督に扮するのは、「ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命」「オーバー・ザ・ブルースカイ」などの俳優であり、劇作家・映画監督としても活躍するヨハン・ヘルデンベルグ。
映画には「子供たちが経験する撮影体験を興味深い視点から描いている。刺激的で、時にダークな可笑しさがある作品」(Deadline)、「最高で素晴らしい映画。ワイルドな子供たち4人を監督自身が賢明にキャスティングした結果だ」(le Parisien)、「本物の素晴らしさと魅力を備えた若い俳優たちが、信じられないほどの感情の高まりを表現している」(ELLE)、「演技未経験の子どもたちに、劇場スクリーンも、観客の心も、揺さぶられる!」(TELERAMA)といった賛辞が寄せられている。
《映画の人物》を演じることで、《自身》と向き合うことになる子どもたち。その瑞々しく変わりゆく姿に魅了される注目作だ。
「最悪な子どもたち」
監督:リーズ・アコカ、ロマーヌ・ゲレ
出演:マロリー・ワネック、ティメオ・マオー、ヨハン・ヘルデンベルグ、ロイック・ペッシュ、メリーナ・ファンデルプランケ
原題:Les Pires 英語題:The Worst Ones 字幕:横井和子
2022/フランス/カラー/DCP/2.35:1/99分
配給:マジックアワー
©Eric DUMONT – Les Films Velvet
公式サイト:www.magichour.co.jp/theworstones