頭に受信機。指には送信機。男はそう信じていた。『クリーン、シェーブン』公開決定

頭に受信機。指には送信機。男はそう信じていた。『クリーン、シェーブン』公開決定

撮影監督としてフレデリック・ワイズマンに師事し、ナショナルジオグラフィックやミュージックビデオで撮影を行ってきたロッジ・ケリガンが、93 年に発表した衝撃の映画『クリーン、シェーブン』が、25年の時を経て、8月27日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開することが決定!

自分の頭に受信機、指には送信機が埋め込まれていると信じているピーター。彼は施設を出所した後、里子に出された娘を探すため故郷に戻る。しかし図らずも幼児殺人容疑で刑事に追われ、その世界は混迷を極めていく...。
本作は、幻覚幻聴に悩まされながらも娘を探し続ける統合失調症の男の姿を徹底的に抑制されたトーンで映し出した哀しく陰鬱なサスペンス。ロッジ・ケリガン監督が約 3 年を費やし完成させた渾身の初監督作である。主人公ピーターは、『パルプ・フィクション』(94)、『ユージュアル・サスペクツ』(95)、近年では『テスラ エジソンが恐れた天才』(20)にも出演し、性格俳優として知られるピーター・グリーンが務め、難しい役柄を誠実かつ不気味に演じている。
第 20 回テルライド映画祭でワールドプレミアの後、第 11 回サンダンス映画祭や第 47 回カンヌ国際映画祭の他、ニューヨーク近代美術館でも上映され、スティーヴン・ソダーバーグ、ダーレン・アロノフスキー、ジョン・ウォーターズといった錚々たる監督たちから、忘れがたき表現性を絶賛された本作。日本では、96 年の公開以降、作品全体が放つ疲労感を覚える空気、悲惨さと哀愁が話題となり、未だに語り継がれるも観ることの出来ない幻の作品となっており、昨年頃から一部で再公開を希望する声も多数あげられていた注目作である。

この度解禁したポスタービジュアルは、実際に手作業で劇中の写真をコラージュしたもの。主人公の混乱と不安を表現しており、これから始まる苦痛と不穏さをも感じさせるビジュアルとなっている。世の中は静かであっても、常に頭の中のノイズに悩まされる哀しき男。ただ娘に会いたいだけなのに、周りは彼の行動を理解できない。狂っているのはこの男なのか。それともこの世の中なのか。主人公の行動は、ときに目を覆いたくなるほど、観る者に計り知れない痛みや切なさ、やりきれなさを与え、一生脳裏にこびりつき、忘れられない衝撃を与える。ノイズにまみれた唯一無二の映像表現で観る者を哀しき虚無に突き落とす『クリーン、シェーブン』は 8 月 27 日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開。

© 1993 DSM III Films, Inc. © 2006 Lodge Kerrigan. All Rights Reserved.

最終更新日
2021-06-22 18:00:00
提供
映画の時間編集部

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