妹 作品情報
いもうと
小島ねりは同棲していた耕三と別れ、鎌倉からたったひとりの肉親である、兄秋夫のところに帰って来た。秋夫は亡くなった両親のやっていた食堂の小型トラックで、学生相手のモグリの引越し屋をやっている。翌日の早朝、耕三の妹のいづみが訪ねて来た。いづみは鎌倉でブティックを営み、耕三とねりもそこに住んでいた。いづみはねりの突然の家出、そして時を同じくして何処かへ行ってしまった耕三の原因が、小姑のような存在である自分にあるのではないか、と案じていたのだった。家出の理由を聞くいづみに、ねりはろくな返事をしなかったために、ついには口論となり、いづみは寂しく鎌倉に帰っていった。兄妹ふたりの生活が始まった。若い男と女の体臭のむせかえるような生活でもあった。ねりの心の底から耕三が消えてはいなかったのだろう。耕三の友人を訪ねたり、耕三の次兄夫婦の顔色を遠くから垣間みたり、鎌倉の両親を訪ねたりもした。秋夫は、ねりを妹としてと同時に、一人の若い女性として愛しくてたまらなかった。そんなある日、ねりはテンプラ屋をやっている叔母の店を手伝うと言って秋夫の元を去った。秋夫の恋人ミナコに遠慮してのことだった。すぐにねりを連れ帰った秋夫は、一層可愛く思うのだった。「花嫁衣裳を買ってやるから、鎌倉のお前たちのアパートで耕三の帰りを待ちなさい」と優しく言う秋夫。兄妹二人だけの最後の夜、秋夫はねりに花嫁衣裳の打ち掛けを着せてやった。秋夫が苦労して貯めた金で買ったものだった。翌朝、近所の人々の祝福の笑みの中を着飾ったねりを乗せた秋夫の車が出発した。そして数日後、「耕三さんは死んでるかもしれないけど、今度三輪車にのっておくれないで追っ駈けて行きます」という遺書と、花嫁衣裳を部屋に残してねりは消えた……。
「妹」の解説
喧噪とした現代に、二人だけで寄り添って生きる、兄と妹の哀歓を描く青春映画。脚本は内田栄一、監督は「修羅雪姫 怨み恋歌」の藤田敏八、撮影は「赤ちょうちん」の萩原憲治がそれぞれ担当。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 1974年8月14日 |
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キャスト |
監督:藤田敏八
出演:秋吉久美子 林隆三 吉田由貴子 吉田日出子 伊丹十三 初井言栄 片桐夕子 村野武範 藤田弓子 ひし美ゆり子 藤原釜足 沢田みゆき 山田つぐと 高橋明 溝口拳 玉井謙介 浜口竜哉 雪丘恵介 野村隆 桂小かん 榎木兵衛 |
配給 | 日活 |
制作国 | 日本(1974) |
上映時間 | 92分 |
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ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、4件の投稿があります。
P.N.「pinewood」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2023-11-21
👩今朝のNHKラジオ深夜便は作詞家・喜多條忠特集,神田川,赤ちょうちん等かぐや姫の歌声に藤田敏八監督のフレッシュな本篇映像が暫し目に浮かんで来たんだなあ