神州天馬侠(1958) 作品情報
しんしゅうてんまきょう
第一部--戦国時代は天正十年のこと。徳川家康と織田信長の連合軍に攻撃され、穴山梅雪の裏切りによって、武田勝頼は信州天目山に敗れた。勝頼の一子伊那丸は、家に伝わる秘宝、御旗楯無しの鎧と武田菱の御旗をもって、忠臣加賀見忍剣と共におちのびた。この武田家の末路を、鞍馬の山中から心をいためてみていたのは、亡き信玄の友で、幻術者の果心居士だった。彼は弟子の竹童を大鷲クロに乗せて伊那丸を富士の裾野の白旗の宮に迎えにやった。伊那丸と秘宝を狙うのは、家康、北条氏康、富士人穴城の和田呂宋兵衛、軍師丹羽昌仙等。家にゆかりの白旗の宮の湖に伊那丸は秘宝を沈め、人穴城の城主根来小角、妹の咲耶子に助けられた。しかし呂宋兵衛等の叛乱で小角は落命し、小太郎山の隠砦で会うのを約して、伊那丸は咲耶子と別れた。白旗宮で主人とはぐれた忍剣は、果心居士の高弟木隠竜太郎と会い、二人は伊那丸に再会した。浜松城下に潜入した三人を、家康は甘言をもって城中に招じた。偶然同宿していた武田の旧臣巽小文治、美登利の兄弟は、伊那丸の身を案じて城に忍びこんだ。城内に招かれた三人は吊り天井の一室にとじこめられたが、竜太郎の爆裂弾で脱出、伊那丸は天守の一角に家康を追い詰めたが、鉄砲隊に囲まれた。その時飛来した竹童の乗るクロが伊那丸を空から救った。しかし一弾をうけたクロは、ぐらりとかたむき、伊那丸は真黒な海にまっさかさまにおちこんだ……。 第二部--浜松の域から脱出した竜太郎、忍剣、小文治、美登利は、各地の同志のもとに急を知らせに発った。その頃、伊那丸は海賊竜巻九郎衛門の船に捕われ、宿敵穴山梅雪のもとに売り渡されていた。伊那丸を得意然と家康の前にひきすえた梅雪は、秘宝のありかを追求されて、ほうほうの態でひき下り、元武田の臣であった軍師・小幡民部の策で、伊那丸をさらし物にして富士の裾野に向った。宿舎に忍びこんで忘恩をなじる竜太郎に、民部は今の身上は武田家再興のための苦肉の策であるのを語った。クロに乗った竹童は果心居士の手紙を落したことから同じく武田の旧臣山県蔦之助を知った。クロと竹重の知らせで武田の一党は、こぞって裾野に向った。人穴城をのっとった呂宋兵衛、昌仙、伝内等も伊那丸をまちうけていた。こうして善悪両陣営対立のうちに、梅雪の軍勢に囲まれ、裸馬にのせられた伊那丸は裾野にやってきた。闘いの幕は切って落され、小勢ながら忠義の志固い武田勢は、梅雪を倒して敵を総くずれにした。新たに戦いを挑んできた呂宋兵衛の南蛮幻術毒煙弾による作戦も、クロに乗って飛来した竹童の、果心居士秘伝の爆発弾の効果で、うち破られた。白旗の宮からとりだした秘宝を前に、勢揃いした伊那丸等は、亡き勝頼の遺言状を開いた。そこには、みにくい争いをやめて楽土を建設せよとの遺志がのべられてあった。新しい日本の建設のために、正義の士達の歌声は高く大空にひびきわたったのである。
「神州天馬侠(1958)」の解説
吉川英治の原作を、「満月かぐら太鼓」の結束信二が脚色、昇進第一回の大西秀明が監督した娯楽時代劇。撮影は「少年三国志」の藤井春美。「満月かぐら太鼓」の里見浩太郎・円山栄子・高島淳子・屋上鯉之助らに、新人沢村精四郎(沢村宗十郎の次男)が出演している。(二部作)
公開日・キャスト、その他基本情報
キャスト |
監督:大西秀明
原作:吉川英治 出演:植木基晴 沢村精四郎 尾上鯉之助 五味勝之介 里見浩太朗 円山栄子 薄田研二 高島淳子 柳永二郎 中村歌之介 吉田義夫 堀正夫 小田部通麿 立松晃 青柳竜太郎 瀬川路三郎 小柴幹治 南郷京之助 |
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配給 | 東映 |
制作国 | 日本(1958) |
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