異母兄弟 作品情報
いぼきょうだい
利江は陸軍大尉鬼頭範太郎の家へ女中奉公に出た。やがて利江は範太郎に手ごめにされて身ごもり、範太郎の病妻つたは一郎司、剛次郎の二児を残して死ぬ。範太郎は、ただ、世間体だけから利江を後添えにしたが、雇い女としてしか取扱おうとせず、一郎司、剛次郎にも、お利江と呼ばせ続ける。やがて十年の歳月が流れ、範太郎は連隊長、一郎司は陸士、剛次郎は幼年学校に在学、利江の生んだ良利は十二歳、智秀は六歳、そして利江は脂ののった女盛りになっていた。範太郎は依然として利江を虐げ、良利、智秀をも異母兄達ときびしく差別した。台所の片隅、そこが利江たちに与えられた部屋だった。それからまた十年。範太郎は少将で予備役となり、在郷軍人会の分会長をしていた。一郎司、剛次郎とも出征した。相次ぐ二人の勝報は範太郎にとり最上の誇りだった。良利も海軍少尉となり出征した。中学四年になった智秀は学業はできたが病弱だった。そうした智秀を軍人の家の面汚しと感じている範太郎は、ますます智秀を虐げた。新しい女中のハルは、親身に智秀をいたわった。智秀はハルの部屋に憩いの場所を見つけた。二人の心は急速に結びついて行ったが、範太郎に感づかれて智秀は勘当された。婆やの実家に預けられた智秀は、ハルが身売りされたことを知り、その面影を求めて家出する。そして終戦--。出征した三人とも戦死し、範太郎はすっかりうつけてしまった。利江に家財道具を売り払わせては、飲みふけた。そんなある日、飯場を渡り歩いていた智秀が帰ってきた。利江は狂喜した。が範太郎は寄せつけなかった。噴きあげる怒りに利江は初めて範太郎を見据えて言った。「智秀はあなたの子です。私ばかりの子ではありません。……もう言わせてもらいます。……私はもう女中ではありません!」
「異母兄弟」の解説
田宮虎彦の原作を、「ともしび」の寺田信義が脚色、「仇討崇禅寺馬場」の依田義賢が改訂した。監督は「こぶしの花の咲くころ」の家城巳代治。撮影は「黄色いからす」の宮島義勇。主な出演者は、「黄色いからす」の田中絹代、「ニコヨン物語」の三國連太郎、「女だけの街」の高千穂ひづる、「まだら頭巾剣を抜けば 乱れ白菊」の中村賀津雄、「警視庁物語 追跡七十三時間」の南原伸二。ほかに、飯田蝶子、近藤宏、島田屯、永井智雄など。
公開日・キャスト、その他基本情報
キャスト |
監督:家城巳代治
原作:田宮虎彦 出演:三國連太郎 田中絹代 西田昭市 浪江孝次 遠藤征行 近藤宏 春日井宏往 大友良雄 南原伸二 森下義秀 中村賀津雄 菅野彰雄 高千穂ひづる 飯田蝶子 豊島八重子 島田屯 富田仲次郎 太田恭二 永井智雄 打越昭八 水村靖 宮坂昌介 水谷勇 降旗昭司 伊藤享治 中村智 陶隆 志賀夏江 徳間みどり 相沢治夫 |
---|---|
制作国 | 日本(1957) |
上映時間 | 110分 |
動画配信で映画を観よう! [PR]
ユーザーレビュー
レビューの投稿はまだありません。
「異母兄弟」を見た感想など、レビュー投稿を受け付けております。あなたの映画レビューをお待ちしております。